クルマ漬けの毎日から

2014.11.26

説き伏せがたき最強の敵

Hardly game to tell the Steering Committee

 
おろしたてのランドローバー・ディスカバリーに乗って早朝にコッツウォルズを出発し、プリマス・ホーに向かった。ランドローバー・ブランドのファミリーカーとして長年にわたって人気を得てきたディスカバリーは今日、誕生25周年の日を迎え、プリマスのこの公園にはそれを記念してたくさんの人たちが集まっていた。敬意を表し、私は乗ってきた新車のディスカバリーを、年季の入った120台から少し離れた場所に駐めることにした。それらの多くは走行距離が30万kmを超えている。また、このうち“G○○○ WAC”のナンバープレートを付けた6台は、25年前の初代ディスカバリーの発表会で使われた個体である。“GWAC”と呼ばれているこれらのディスカバリーは、今やかなり価値が高まっている。

 
こういったクラブミーティングに参加するたびに思うのだが、こうした集まりを実現させる人びとの愛車精神は本当に素晴らしい。参加者は互いの交流を喜び合い、集まりに参加したことに単純に満足する。遠方からの参加者も多かったが、彼らはきっと来年もやって来るだろう。そして、仲間のクルマ好きから賞賛を受けるのだ。

 
長期テスト車の日産キャシュカイが編集部の駐車場にない。外出しなければならなかったので、キャシュカイで行こうと思っていたのだが、すでに誰かが持ち出したあとのようだ。この8カ月間、こういうパターンが何度も続いている。キャシュカイが編集部に配属されてから走った距離は、すでに3万kmを超えてしまった。長距離通勤用に使われているわけでもないのに走行距離が多いのは、単純にわれわれがキャシュカイが好きだからだ。数あるわれわれの長期テスト車のなかでも、このクルマがいちばんよく働いているのは間違いない。

 
ルノーは新型トゥインゴが、フィアット500に代わってセグメントリーダーになれるものと期待しているらしい。可愛らしさ、キャビンのスペース、5ドア、それに驚くほど小さい回転半径といったアドバンテージが買い手を魅了するはずとの予測がその根拠だが、たぶん正しいだろう。だが、私にはカミさんにこのことを伝える勇気はとてもない。彼女は2008年に買ったフィアット500ラウンジ(ペールブルーのディーゼル)に乗っていて、何度も買い換えを提案しているのだが、これが世界一のクルマだと信じて疑わないのだ。この状況を変えられるアイディアは、今のところ思い浮かばない。6年後も彼女は、まだ500に乗り続けているのではないだろうか。

 

 
英国版編集部の元ニュース・エディターで、現在は姉妹紙『What Car?』でテストドライブ責任者を務めるジョン・マキロイが、今日、北アイルランドの親戚を訪ねるため、BMW i3に乗って出発した。i3はこの数カ月、彼のお気に入りの長期テスカーとして活躍してきたが、今回の旅が最後の任務になる。この旅ではi3を、普通のクルマで走る場合とほぼ同じ所要時間(休憩と再充電時間も含む)で670kmの公道を走らせることが目標だ。ほとんどの行程を電気で走り、ガソリンは燃料タンク容量である9ℓしか使えないレギュレーションで出発したが、結果はどうだったのか? 一度だけ充電が必要になり、レンジエクステンダーを作動させたが、その30秒後には充電ポイントが発見した。つまり、もう少し運がよければ、ガソリンの消費量はゼロですんだはずだったわけだ。だが、重要なのは、たとえばゴルフ・ディーゼルのような従来型のクルマで出掛けた場合と同じレベルの所要時間で、i3で長距離旅行ができたことだと思う。

 
週末のドライブを、派手なイエローのルノー・メガーヌRSトロフィーに乗って楽しんだ。手頃な価格で卓越したパフォーマンスを持つ点でこのクルマの右に出るものはなく、刺激的でレアな一台だ。加速、グリップ、ブレーキ、ステアリング、ギヤチェンジ、シート、乗り心地、思いどおりに運転できること、スタイル、それにオールラウンドなおもしろさを兼ね備えたクルマは、1500万円まで予算を拡大してもそう多くはない。だが、このメガーヌRSトロフィーは、その4分の1の価格で手に入る。

 
マセラティ(それにアルファとアバルト)のトップのハラルド・ウェスターにパリでインタビューしたときのメモを読み返していて、彼のおもしろい発言を思い出した。新しい世代のマセラティに必須の個性として、彼は「フェラーリ製エンジンの搭載」を挙げたのだ。時代はまったく変わった。何年か前、ピーター・ロビンソンが本誌のヨーロッパ・エディターを担当していた頃の話だが(彼のフェラーリやマセラティに関するレポートはいつも絶品だ)、ピーターは数カ月間、フェラーリから取材拒否される事態に陥った。理由は、フェラーリとマセラティのV8エンジンはまったく同じと書いたためだ。同じラインに両方のエンジンがぴったり並んで流れていたのを見て、そのようにレポートしたのだが。幸いなことに今、その事実が公に伝えられる時代になった。

 
BMW M235iでロンドン郊外を走り、刺激的なドライブを楽しんだ。このクルマは私にとって、現時点で販売されているなかでもまさに最高のBMWであり、同時にすべてのクルマのなかでも最高に素晴らしい一台だといえる。洗練され、路面からのフィードバックに優れ、内装は完璧で、しかも速い。最近のプレミアムカーの多くは車重が重く、必要以上な装備で、それがパフォーマンスを低下させてしまうことがあるが、M235iはそうではない。

 
長いあいだCEOに適任な人材を探していたロータスが、成功と再生をもたらしてくれるであろうジャン-マルク・ゲールを、ついに新CEOとして迎えることができた。ロータス本社でゲールに取材ができた今日という日は、私にとって間違いなく一年で最高に嬉しい一日だったといえる。私は以前、彼がPSAプジョー・シトロエンのトップだった2009年にもインタビューしている。
ロータスCEOという職には、ゲールは大物すぎると周囲から思われているのではと気になっていたのだが、彼は根っからのロータス・エンスージアスト(それにハイスピードドライブも大好き)だとわかった。そして、ロータスでの今後10年を非常に楽しみにしており、CEOとして全力でチャレンジしたいとも語っていた。「誰とも交代しませんよ」という彼の言葉を信じよう。

 
2005年の後半に登録された状態のいい350Zを日産から借りた。今、予算5000ポンド(約91万円)でヒルクライムが楽しめるクルマを探していたからだ(現在、候補に挙がっているのは、ホンダS2000、ルノースポール・クリオとメガーヌ、スバルWRX、350Zだが、ほかにも何かあるだろうか?)。この350Zは、素のままでもとても魅力的だ。以前に乗ったときの印象よりも、実際はもっとコンパクトだった。グリップがよく、エンジンはレスポンスに優れ、低回転域も力強い。それにブレーキの効きはまずまずで、ギヤボックスが良好で、壊れそうな感じがしない。今回、改めて試乗してみて、日産はなぜあんなに早く、370Zへの変更を実行したのだろうと思った。370Zにはこれほどたくさんの要素は盛り込まれていない。

translation:Kaoru Kojima(小島 薫)
 
 

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