RETROMOBILE 2017 at Ferrari

2017.02.08〜12

text & photo:Kunio Okada (岡田邦雄)

 
レトロモビルはヒストリックカーの世界の冬の社交場である。今年も2月8日から12日までの5日間、パリをとりまく環状線ペリ・フェリークの南端の内側に位置するポルト・ド・ヴェルサイユのパルク・ド・エクスポジシオンの6500㎡という広い会場で開催された。私は3日間にわたり会場に通ったが、その展示の広大さと奥深さゆえにとても3日間では全部を見きれないことに残念な思いを抱いた。

いくつもの自動車クラブイベント・オーガナイザーの告知ブース、自動車博物館の出店、ヒストリックカーの販売業車、そしてオートモビリアや自動車部品や自動車書籍の専門店、など、たくさんのブースがある。自動車をテーマとする画家たちの展示が充実しているのもパリならではのことだろう。そして、様々なテーマでの特別展が設営されるのもレトロモビルの特徴だ。

ここではフェラーリの70周年を記念した展示をご紹介する。とくに’60年代半ばから’70年代半ばにかけての10年間のF1が充実していたが、スポーツカーもルイジ・キネッティが乗って1947年のル・マン24時間で優勝した166MMやミュールーズの博物館から出品された元アーサー・ドイル(ホームズの原作者の子息)の500TRCなどが展示され、オークションでも166スカリエッティやピニンファリーナによる最初のディーノのデザイン・スタディである206ベルリネッタ・スペチアーレが出品されて注目を浴びていた。

  • 会場の中央にはフェラーリ70周年を記念した特別展示が行われた。こちらは1957年型500TRC。

  • 特別展示で1960年代のGTを代表する存在として1962年型250GT SWBが選ばれた。

  • フェラーリ初のミドシップGTとなった250LMは、70年の歴史を語るうえで欠かせぬ1台だ。

  • マルゾットの注文で1952年のミッレミリアために製作されたのがワンオフのフェラーリ212ウォーヴォ。

  • カロッツェリア・フォンタナで制作された212は、その特異な丸みを帯びたスタイルからウォーヴォ(Uovo=卵)と呼ばれる。

  • 1954年型500モンディアル初期型は、直列4気筒エンジンを搭載し、ピニンファリーナのボディが標準だった。

  • 今回のアールキュリアル・オークションのスターは、ディーノ206Pスペチアーレ。ディーノGTの原型だ。

  • 半世紀以上も昔の1965年にパリ・サロンで発表され、ピニンファリーナによるデザインのボディを纏う。

  • レーシング・スポーツカーのディーノ206Sをベースとするため、エンジンは縦置きレイアウトだった。

  • カリフォルニアのコンクールの常連スティーブン・ティラックは、ドローゴ・ボディを纏う250GTを持ち込んだ。

  • 250GTピニンファリーナ・クーペを元に、ホイールベースを短縮し、ドローゴで新ボディを架装したもの。

  • カロッツェリア・トゥーリングのレストア部門は、美しく仕上げられた330GTCを展示した。

  • 250GTOを超えるポテンシャルを追求してビッザリーニによって開発されたのが250GTブレッドバンである。

  • ブレッドバンのベースとなったのは1961年のツール・ド・フランスで2位フィニッシュした250GT SWB。

  • 1948年にシルッロ・ボディでこの世に送り出された166は1955年にスカリエッティのボディに換装された。

  • サーティースは1964年に8気筒の158でチャンピオンを獲得。しかし翌1965年用に開発された12気筒の512は成績を残すことはできなかった。

  • クリス・エイモンやペドロ・ロドリケスが1969年のF1で使用した312 (SN:0017)。オランダGPでエイモンの3位が最高位だった。

  • エイモンが1969年のタスマン・チャンピオンになり、グレイム・ローレンスが1970年の日本グランプリで4位となったディーノ246だ。

  • 1972年の312B2(S/N:008)は、クレイ・レガッツォーニがスペインGPで3位を獲得。その後アルトゥール・メルツァリオが翌年にかけて乗った。

  • 312Bは1972年の葉巻型から1974年の312B3Sまでの移行期には様々なボディが試作された。これもそのひとつで雪かき車と渾名された。

  • 1974年の312B3(S/N:014)はレガッツォーニが乗り、スペインGPやオランダGPの2位を始め常に上位に食い込み、シリーズ2位となった。

  • カルロス・ロイテマンのドライブで1978年のアメリカ・グランプリを勝ち取った312T3 も姿を見せた。今となっては愛らしい姿のF1マシンだ。

  • 1970年の312Bから1980年の312T5までで数々の栄光を飾ったボクサー・ユニット。ボクサーと謳うが実は180°V12ユニット。

  • 1952〜1953年のF1GPチャンピオンをアスカリとともに獲得した500F2。ランプレディ設計の2L4気筒エンジンを搭載する。

  • 猛禽に例えられるエンツォの表情を描いた肖像画。

  • 会場で作品制作のパフォーマンスをおこなっていた。

  • 彫刻作品としても鑑賞し得る312Pの大きなモデル。

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