フィアット・プント0.9ツインエアー

公開 : 2012.02.10 10:56  更新 : 2017.05.29 18:52

■どんなクルマ?

これはフィアットが「フィアット・プント2012」というモデルだ。2005年にグランド・プントがフェイスリフトを受けてプントEvoになったが、これは一方のブレーンなプントで、新しいノーズとテールデザイン(オジリナル・ルックに戻った)を持つモデルでもある。

エクステリアはマイルドにリデザインされ、インテリアもリフレッシュされ、10種類のエンジンが搭載されることとなった。その2012年モデルのうちの1台は、フィアット500でデビューした83bhp、875ccのツインエア2気筒ターボチャージド・ガソリン・エンジンを搭載する。それは2000rpmで14.0kg-mのトルクを発揮するもので、大きなプントのボディであっても98g/kmというCo2排出量を誇る。

ツインエア・エンジンは、フィアットの非常に洗練されたマルチエア・バルブ・コントロール(電子制御でインレット・バルブのオープニングとクロージング・タイムを綺麗にコントロールする)と、エンジンのレスポンス時間を最小限に抑える小さいターボチャージャーを備えている。2気筒エンジン故に、自然でスムーズな動きはしない。そこでフィアットは、バランス・シャフト以外にも、このプントに、新しいエンジン・マウント、良くディーゼル・エンジンにつかわれる2重のフライホイールなどを与えているという。しかも、このエンジンは、ダッシュボードに取り付けられている「エコ」ボタンによって、経済的な走りも可能だ。

ドライバーがついエンジンを回したくなるのを防ぐために、スロットル・レスポンスを鈍くし、2500rpmで発生する11.0kg-mのトルクを有効に使えるように制限するような工夫がされている。

■どんな感じ?

実に珍しい。アイドリングでエンジンのはっきりした単調なサウンドがキャビンフロアではっきり感じられるクルマというのは、今ではあまり存在しない。2気筒のエンジンがボンネットの下にあることに些かも疑いがないほどだ。とはいうものの、エンジン・サウンド自体は意外とクリアだ。

また、それがエンジンがラフであるかといえば、そうではない。むしろ、小さな排気量のディーゼルよりも滑かなぐらいだ。また、ドライバーのスキルによって、耳に入ってくるサウンドが随分と異なるというのも特徴かもしれない。そして、その小排気量にもかかわらず、2人の大人の乗った4mのプントを牽引する力を持っている。ハイギアードな6速ギアでの高速走行でも、活発に回転を引っ張ってくれるのだ。

むしろ、プントの一般の路上でのパフォーマンスがいささか面白くない。ステアリングは、ターンイン時に傾き、すばっと切れこむような感覚を持つ。ラウンドアバウトや速いコーナーでステアリングを切ってみて欲しい。前輪がどちらを向いているか自信がもてなくなるに違いない。また、高速では、直進性を保つのにも苦労をする。

連続したコーナーを抜ける時でも、横方向のグリップはしっかりしているものの、それをステアリングから伝えることができていないので、ドライブしている人間はかなり不安を覚える。テストしたのはフィアットのバロッコ・テストコース近くで、とても貧弱な舗装であったが、最悪というものでもなかった。

■「買い」か?

非常に興味のそそられる1台だ。スーパーミニとしては大きく、エンジンも面白く、個性的な存在である。そして、価格にも競争力がある。ドライビング・ダイナミクスは確かに平凡だが、エンジンのサウンドについては、それに愛を感じる人は気持ちのよいものだ。もちろん、そうでない人にとっては選択の余地もないだろうが。

ただ、気になることもある。それはこのエンジンの経済性についてだ。1.3リッターのジェット・ディーゼル・プントのほうが、オンボードコンピュータによれば、より燃費がよかったというのだ。そして、フィアット500ツインエア・エンジンのオーナーも同じような結果を報告しているということだ。

(ヒルトン・ホロウェイ)

フィアット・プント・ツインエア

価格 12,700ポンド(152.4万円)
最高速度 170km/h
0-100km/h加速 12.7秒
燃費 26.7km/l
Co2排出量 98g/km
乾燥重量 1090kg
エンジン 2気筒ターボチャージド875cc
最高出力 84bhp
最大トルク 14.0kg-m/2000rpm
ギアボックス 6速マニュアル

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