シボレー・クルーズ 1.7 VCDi LTZ

公開 : 2012.04.20 13:44　　更新 : 2017.05.29 18:36

■どんなクルマ？

今までの1.6リッターおよび1.8リッターのガソリン・エンジンと2リッターのディーゼル・エンジンというラインナップに、あたらに加わった1.7リッター・ディーゼル・エンジンを搭載するシボレー・クルーズだ。そして、それは重要な追加ラインナップでもある。というのも、今までの2.0リッター・ディーゼルは十分なパフォーマンスを発揮しているものの、147g/kmというCO2排出量は、ライバルと比較すると明らかに不利な数値だったからだ。

この新しい1.7リッター・ディーゼルの追加によって、シボレーはクルーズのセールスを拡大することに大きな望みをかけている。

新しいエンジンは117g/kmというCO2排出量で、これは英国においては17%という税率の自動車税を登録年は免除されるというメリットを生む。ヨーロッパにおけるシボレーの成功は、この価格戦略にかかっているといっても過言ではない。

クルーズには3つのトリムが用意される。エントリー・レベルの16,725ポンド(220万円)のLSでさえ、パワー・ウインドー、電動ミラー、エアコン、リモート・ロック、そしてレベライザー付ヘッドランプなどが装備される。ミッド・レンジのLTだと1,100ポンド(14.4万円)高くなる。比較すると、同じLTトリムの2.0 VCDiは17,195ポンド(225万円)、1.6のガソリン・モデルは14,895ポンド(195万円)となる。

ここでテストしたLTZは、18,685ポンド(245万円)というプライズ・タグが付けられているが、クルーズ・コントロール、17インチ・アロイ・ホイール、リア防眩ミラー、オートマティック・レベライザー付ヘッドランプ、エアコン、雨滴感応型ワイパー、そしてアルミニウムが使われたインテリアなどが装備される。

5ドア・ハッチバックは5月からデリバリーが始まるが、ステーション・ワゴンは今年後半からの販売になるという。また、このステーション・ワゴンには1.7リッター・ディーゼルは搭載されない。なお、クルーズの販売は2009年から英国でスタートしたが、ハッチバックが最も人気のあるモデルであるという。

■どんな感じ？

大きな顔つきは意見がわかれるかもしれないが、最新のクルーズ・ハッチバックは魅力的なルックスを持っていると言える。ロジカルでクリアなレイアウトのキャビンは、誰もが落ち着きを感じることだろう。リア・シートの乗客のレッグ・スペースも十分で、傾斜したリアのルーフ・ラインはヘッドスペースも十分な余裕をもたらしている。

荷室容量は413リッターで、同じGMデルタのプラットフォームの5ドア・アストラやフォーカスよりも大きい。しかし、60/40の分割可倒式の後部シートを倒した時のサイズは883リッターと、フォーカスの1101リッター、アストラの1216リッターに劣ることとなる。キャビンをひっかきまわせば幾つかの安っぽい装飾が見つかるかもしれないが、総じてクルーズは良くできたインテリアを持つ。

ダイナミックな性能を考えれるとフォーカスやアストラに直接のライバルは見当たらないが、このクルーズを購入する層はスポーティな性能よりも経済性、実用性を重視する層である。そして、このクルーズは3つのポイントで非常に高く評価できる。街の中心地、流れのよい田舎道、そして高速道路上のクルージングがそれで、それぞれの状況に応じて十分に柔軟な能力を見せていくれる。

乗り心はやや固めだが極端な固さではない。ステアリングは軽く、コーナリング中に少しでも余分な力を加えればふらつきを生じることになる。

6速ギアボックスにより、2リッター・ディーゼルよりも1秒おそい9.4秒で0-100km/hをカバーするが、その1秒遅いタイムは経済性で相殺するに十分な値だ。エコ・モード(標準でスタート・ストップ・システムを含む)では，147g/kmから117g/kにCO2排出量は下がり、燃費も17.7km/lから22.2lm/lに上がるのだ。実際、ミルトン・ケインズとケンブリッジの間の様々な道をテストの結果、1.7 VCDiは15.6km/lの燃費を記録している。

■「買い」か？

多くのライバルが存在する注目のセクターだが、その中でもクルーズ1.7VCDiは賢明な買い物といえるだろう。他のモデルは、このクルーズより元気なパフォーマンスを示すが、殆どの場合クルーズよりも高価だ。本当に突出したパワーが必要なく、経済性を犠牲にしたくないのであれば、われわれは2.0リッター・ディーゼルよりもこの1.7 VCDiを選ぶことは間違いない。

(マット・バート)