レンジローバー・ハイブリッド

公開 : 2013.08.28 20:30  更新 : 2017.05.29 19:20

■どんなクルマ?

レンジローバー・ハイブリッドは、オフロード性能と耐久性は従来のレンジローバーと変わりないレベルを保ちながら、それでいて、その燃費とエミッションは驚きの数値を持つ。具体的には15.6km/ℓの燃費と169g/kmのCO2排出量を記録する。これは、TDV6と比較すると17%も向上した数値だ。

ランドローバーの新しいハイブリッド・システムは、通常のTDV6ディーゼル・ターボと、35kWの電気モーターを組み合わせたもの。トランスミッションはZF製の8速オートマティックがセットされる。エンジンのパワーは335bhp、トルクは71.3kg-mという値を持つ。ただし、純粋なEVモードでの走行は、最高速度48km/hで、およそ1.6kmでしかない。

惰性でクルマが走行している時や、ブレーキング時には運動エネルギーを集める回生ブレーキ・システムが搭載される。ハイブリッド・システムはリチウム・イオン電池を含んで120kgの増加となり、ボディ重量は2394kgとなる。それは通常モデルと同じ範囲に装備されるために、レンジローバーの渡河能力やグラウンド・クリアランスには全く影響がないという。また、スペア・タイヤのスペースもしっかりと確保されている。ちなみに、バッテリーは空冷式ではなく液冷式だ。

■どんな感じ?

レンジローバー・ハイブリッドはV6ディーゼルとモーターのコンビネーションで、0-100km/hが6.9秒、そしてトップスピードが217km/hというパフォーマンスを発揮する。それは充分に活発なもので、組み合わされる8速のZF製オートマティックのシームレスな変速もその活発さを演出するのに寄与している。

デフォルトのハイブリッド・モードでは、主にエンジンで動き、必要に応じてモーターのパワーとトルクが発揮されるというもの。しかし、この他のもドライバーが選択可能な3つのドライブ・モードがある。EV、オート・ストップ・スタート・オフ、そしてスポーツだ。

EVモードは名前からもわかる通り、モーターのみの駆動で、その航続距離は非常に短い。主に、ロースピードでもトルクが必要な場合に有効。また、万が一、フューエル・タンクがゼロになってしまった時も使用できる。

オート・ストップ・スタート・オフ・モードは、エンジンは連続的に動き、必要に応じてモーターが作動するというもの。

そして、スポーツ・モードは、常にエンジン、モーターの2つの力を組み合わせたモードだ。このモードを選択すれば、ランドローバー・ハイブリッドはSDV8並のパフォーマンスを発揮するという。そして、この主張には不当なところはない。充分なパンチがあり、素晴らしいパフォーマンスを供給してくれるのだ。

惰性で走行する時にはエンジンはカットオフされ燃料を節約する仕組みが組まれている。また、他のハイブリッドとは異なり、フリクション・ブレーキに移行する際も、それをほとんど感じ取ることができない。

モーターはV6エンジンのトルクのギャップを埋めるのに主に使用される。そのため、コンベンショナルなモデルよりも、よりスムーズなパワー・デリバリーが約束されるのだ。

電動パワー・ステアリングは、標準的なレンジローバーと同じため、違いは全く感じられない。

オフロード・ドライビングの能力は、V6やV8モデルと全く代わることなく引き継がれている。第1級のトラクション、クリアランス、登坂能力を持つ。また、渡河能力についても高圧はハイブリッド・パーツは完全に防水されているので、ディーゼルと同じ90cmの高さまでクリアできる。

モーターの追加の大きな利点は、低速でのトルクを補うということだ。特にオフロード走行では、その恩恵ははっきりとわかるが、感覚自体はナチュラルなものであった。

ロー・レンジ・モードと、エア・サスペンションが一番高いポジションにある時には、EVの機能はカットされる。しかし、それ以外では、特にロースピードでは、10.4kg-mのモーターのトルクが追加されることになる。これは、特に大きな障害をクリアするような時に役に立つ。

ボディ重量はハイブリッドの搭載にもかかわらず、最小限に抑えられた。しかも、コンポーネンツのほとんどは床下に納められている。インテリアでの唯一の修正はTFT液晶画面だ。これは、ハイブリッドのシステム管理のステータスを表示し、ドライバーに効率を最大限に生かす方法を示唆するという役目も持っている。

■「買い」か?

最終的な価格を聞くまでは、その判断をするのは難しい。しかし、情報筋によれば5.0ℓスーパーチャージャー・モデルとほぼ変わりない価格になるだろうとしてる。

滑らかで、速く、そしてエコノミーであり、それ以外のパフォーマンスについては、予想通り、レンジローバーならではの第一線級のオフロード走破性を持っている。

問題となるのはベースのV6モデルとハイブリッドの£30,000(453万円)という価格差だ。この価格差を誰もが受け入れられるものではないだろう。しかし、このレンジローバー・ハイブリッドがあなたのライフスタイルに合致し、財政面で折り合いが付けられるのであれば、非常に説得力のあるモデルであることは間違いない事実である。

(スティーブ・クロプリー)

レンジローバー・ハイブリッド

価格 NA
最高速度 217km/h
0-100km/h加速 6.9秒
燃費 15.6km/ℓ
CO2排出量 169g/km
乾燥重量 2394kg
エンジン V型6気筒2993ccターボ・ディーゼル+モーター
最高出力 355bhp/4000rpm
最大トルク 71.3kg-m/1500rpm
ギアボックス 8速オートマティック

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