フォード・マスタング50周年エディション

公開 : 2014.12.22 23:50  更新 : 2021.10.11 09:10

■どんなクルマ?

2014年に、生誕50周年を迎えたフォードマスタング。この記念すべき節目の年に発表されたのが、6世代目となる新型マスタングだ。

“ワン・フォード” というスローガンのもと、世界中の市場で統一されたブランド・イメージ、そして魅力的な商品を投入することに積極的な最近のフォードだが、この新型マスタングも例外ではない。フォードによれば、今後マスタングは世界120ヶ国で販売される計画で、2015年以降には、歴代マスタングには設定されていなかった右ハンドル仕様の生産もスタートする予定だ。日本市場にも、もちろん将来的には右ハンドル仕様が上陸する。

ここで将来的には、と書いたのは、フォード・ジャパンが、それに先行してアメリカ仕様をベースとする「50 YEARS EDITION」を、350台の限定で、新型マスタングの第一弾モデルとして投入することを決断したからだ。これは誰よりも早く新型マスタングのステアリングを握りたいという、熱狂的なファンに対して、右ハンドル仕様が上陸するまでの時間は、あまりにも長すぎると判断された結果だ。

新型マスタングのデザインは、フォードのデザインチームが “マスタングDNA” と呼ぶ、伝統と個性を演出するために必要な要素は何なのかを検証することによって生み出された。ロング・ノーズ&ショート・デッキのプロポーション、ファストバックと呼ばれるルーフからリアハッチへと連続するアッパー・ライン。あるいはシャーク・ノーズのフロント・マスクや3連式のテール・ランプ。エクステリアのディテールには、それを裏づけるさまざまなフィニッシュが見られる。インテリアもまた同様だ。左右対称を意識したデザインは、航空機のそれからインスピレーションを得ているという。

搭載されるエンジンは2.3ℓの直列4気筒ターボ、すなわち “EcoBoost” で、314psの最高出力と44.3kg-mの最大トルクは、先代モデルに搭載されていた3.7ℓ版V型6気筒のそれを、環境性能とともに上回る。組み合わせられるミッションは6速AT。サスペンションは、リアに独立式マルチリンクが採用されたのが大きな話題。さらに “50 YEARS EDITION” では、本来はオプション設定となるパフォーマンスパッケージが標準装備され、タイヤとホイールは19インチに、サスペンションやスタビリティ・コントロールのアドバンス・トラックには、よりスポーティなセッティングが施されているほか、ブレーキ・キャリパー、Kブレードと呼ばれるフットワークの強化パーツなどが組み込まれる。これは誰よりも早く新型マスタングにと考えるカスタマーは、同時に走りには強い拘りを持つことを意味する。

■どんな感じ?

これが特別な限定車であることを示す、専用のレザー・シートに身を委ね、さっそく新型マスタングをドライブしてみることにした。周囲に広がるキャビンのデザインからは、エクステリアと同様に、マスタングの伝統的なフィニッシュを感じる部分が多くある。3本スポークのステアリング・ホイールや、ツイン・アイブローと呼ばれる、左右対称のインパネなどはその象徴的な例。一方で8インチのモニターで、オーディオやエアコン、電話などを直感的に操作させる “My Ford Touch” など、先進的な装備が採用されているのも興味深い。ただし日本仕様では、ナビゲーション・システムなど、さらに充実を図らなければならない装備があることも事実。フォード・ジャパンではすでにその対応も考えているというから、本命の右ハンドル仕様が上陸を果たす時には、さらにその魅力は高まっているのだろう。

記事に関わった人々

  • 山崎元裕

    Motohiro Yamazaki

    1963年生まれ。青山学院大学卒。自動車雑誌編集部を経て、モータージャーナリストとして独立。「スーパーカー大王」の異名を持つ。フツーのモータージャーナリストとして試乗記事を多く自動車雑誌、自動車ウェブ媒体に寄稿する。特にスーパーカーに関する記事は得意。

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