シトロエン・グランドC4ピカソ / C4ピカソ

公開 : 2014.12.27 23:40  更新 : 2021.10.11 09:10

C4ピカソ、グランドC4ピカソは、ほぼ同時に日本市場へと導入された、新型プジョー308、308SWと同様に、最新プラットフォームの “EMP2” を採用したモデルだ。前で触れた先代モデルと比較しての軽量性も、アルミ素材などを積極的に導入した、このEMP2プラットフォームによる部分が大きい。搭載されるエンジンは、全車が1.6ℓ直列4気筒ターボ。最高出力&最大トルクは165ps & 24.5kg-mで、これに6速ATを組み合わせる。燃費性能はJC08モードで、C4ピカソが14.6km/ℓ、グランドC4ピカソは15.1km/ℓとなっている。

■どんな感じ?

C4ピカソ、グランドC4ピカソともに、試乗したのは “エクスクルーシブ” だった。ドライバーズ・シートに着席すると、まず驚かされるのはキャビンの開放感。もともとヘッド・クリアランスには十分な余裕があるデザインだが、さらに大きなフロント・ウインドウとパノラミック・ガラス・ルーフが、この開放感を演出する大きな理由となっていることに気づく。その印象は2列目のシートに身を委ねてみても変わらない。シート自体のサイズはややコンパクトになるが、独立型のデザインが採用されていることで、ホールド性は十分に満足できる。1列目と同様に、前後方向のシート・スライド、そしてリクライニング機構を持つことも、移動中の快適性には大きく貢献する。グランドC4ピカソの3列目シートは、あくまでも緊急用と考えるべきだろう。7名乗車をする時にも、自らここを自分のポジションとして選ぼうとは思わない。それよりもむしろ、グランドC4ピカソの大きさは、ラゲッジ・スペースのためにあると考える方が健康的だ。

上下2つのモニターで構成される。デジタル・インターフェイスの使い勝手、そしてそのデザインはなかなかに秀逸だ。メーター・ディスプレイのデザインを変更できるのは、ドライバーの気分転換には最高だろう。ステアリングに備わるスイッチ類の操作性も高い。ただし往年のシトロエンDSを彷彿させるコンパクトなシフトレバーには、もう少し質感というものを期待したかったのも事実だ。

搭載される1.6ℓ直列4気筒ターボ・エンジンは、実にスムーズにC4ピカソ、グランドC4ピカソを加速してくれる。ミッションがオーソドックスなトルコン式の6速ATとなったことも、このスムーズな走りの大きな理由。フル乗車の状態では、さすがにシチュエーションによっては重さを感じる場面もあるのだろうが、それでも加速やクルージングにストレスを感じるようなことはまずないだろう。

C4ピカソとグランドC4ピカソのキャラクターの違いが、最もクリアに表れているのは乗り心地だ。C4ピカソには16インチ径のタイヤが、一方のグランドC4ピカソには、エクスクルーシブ・グレードでは17インチ径タイヤが組み合わされるという事情もあり、ここに大きな違いが表れるのは当然といえば当然の結果だ。個人的にはグランドC4ピカソの乗り心地の方が好みだった。ホイールベースが長いこともあり、ワインディングでの動きは、ややマイルドなものになるが、それが逆にこのモデルのキャラクターには合っているように思う。常にリニアな動きに終始するステアリングと、ロールはやや大きめではあるものの、スタビリティには不安を感じさせないサスペンションの動き。そのコンビネーションによるコーナリングは独特な感覚だ。

C4ピカソ、グランドC4ピカソの実用性、そして機能性をフルに使い切るのは難しい。もしかするとこのニューモデルを購入する時には、自分のライフ・スタイルそのものを、よりアクティブなものへと見直す必要があるのかもしれない。

記事に関わった人々

  • 山崎元裕

    Motohiro Yamazaki

    1963年生まれ。青山学院大学卒。自動車雑誌編集部を経て、モータージャーナリストとして独立。「スーパーカー大王」の異名を持つ。フツーのモータージャーナリストとして試乗記事を多く自動車雑誌、自動車ウェブ媒体に寄稿する。特にスーパーカーに関する記事は得意。

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