レクサスRC F vs BMW M4 vs アウディRS5

公開 : 2015.02.13 23:40  更新 : 2017.05.29 19:32

中ではも一番古株のRS5は、近代的というには差支えのあるデザインではあるが、残す2台は見た目までもどこか似通っている。睨みを効かせたヘッドライトにエッジの立ったライン。どちらかが真似したわけではなく、きっとお互いに意識しあっているのだろう。

なかでもRC Fはややガンダム的。ギラギラと光るネオンや、これでもかと吹き出す蒸気が似合いそうであり、少なくともロケ地となった英国はピークディストリクト国立公園の山々にはそぐわないと感じた。

内装も残念ながらあまり良く響かない。きっとレクサスのデザイナーは、アップルのデザイン部門のボス、ジョナサン・アイヴ氏が成し得たプラスティック革命よりも、70年台のゼロックスのコピー機を参考にしたのだろう。

無愛想なギアボックス周辺のデザインから上に目をやると、30はあろうかというボタンがひしめくセンター・コンソールが視界に入ってくる。もちろんタッチ感応式のマウス・パッドも忘れてはならない。

四角形のボタンを羅列したRC Fと比べると、他2台の方がスタイリッシュであるうえ、使い勝手にも優れているように感じられる。

ただし、どのクルマもさすがは1000万円を軽々と超えるだけある。それぞれのモードを選んでみると、実に情緒あふれるキャラクターの切り替えを見せてくれるのだ。詳細は後に述べるとしてまずはRS5のインプレッションから行うとしよう。

RS5はライフサイクル末期であるにも関わらず、一見精彩を欠いている様子は見当たらない。足さばきはコシがある印象。ステア感覚は、実に思慮深く、だからといってフットワークが重くなっているようなこともない。

ユニットのサイズゆえにノーズ・ヘビーに感じるのは事実。1-5-4-8-6-3-7-2の順に発火系列を採るV8の ’雄叫び’ がなければ、単にのっそりとした印象のみになるはずだけれど、大地を揺るがすようなエグゾースト・ノートのおかげで、あっさりと ’なかったこと’ になっている。

7300rpmまで突き抜けるように回るのは、RS5の開発時に専用で設計されたチタン製バルブと鍛造のコンロッドによる影響が大きい。

7速デュアル・クラッチATによる変速の賢さは、ある種の冷徹さをもたらしている。レブ・リミットまで淡々と変速していくさまはいかにも戦闘的であり、ダウン・シフト時のブリッピングさえもそつなくこなすため、あるいは情熱に欠けると判断する向きも多いかもしれない。

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