スズキSX4 S-CROSS

公開 : 2015.03.24 23:30  更新 : 2022.12.12 21:30

パワートレインは1.6ℓ直4DOHC + CVTのみで、駆動方式は2WDと4WDがある。前者は204万1200円、後者は225万7200円。およそ20万円高の4WDは、”ALLGRIP” と名づけられたスズキ独自のシステムを持つ。電子制御によるこれは、1.オート 2.スポーツ 3.スノー 4.ロックの4つのモードが設定されている。1.はFWDが基本で、スリップ時にのみトルクを後輪に配分する。2.はCVTが高回転をキープし、旋回しやすいように積極的に前後のトルク配分を変える。4.は脱出モードで60km/hまで使える。

■どんな感じ?

欧州仕様をそのまま持ってきた、ということで乗り心地はドイツ車のごとくファームである。「これはカタイ」と呟きたくなるぐらいに。おかげで、最低地上高は165mmと、フツウの乗用車4WDより15mmほど高めながら、山道でも不安感はまったくない。ロールもピッチングもごく軽微で、コーナリングは得意の部類に入る。重心が低い、とさえ感じる。前後トレッドが1535/1505mmと比較的広めな国際サイズであることも利しているだろう。軽微なロールをさせてから全開でコーナーを脱出すると、205/50R17のコンチエココンタクトが盛大な悲鳴を上げる。”やってる感” があって、たいへん楽しい。

117ps/6000rpm、15.4kg-m/4400rpmを発揮する1.6ℓ直4DOHCのM16A型エンジンは、スイフト・スポーツと共通ながらチューンが控えめで、78.0×83.0mmというロング・ストロークらしいフラット・トルクを持ち味にしている。ハイブリッドでもターボでもない。自然吸気という潔さが清々しい。軽量化・低フリクション化によって燃費を稼ぐ。

CVTとの相性も上々で、違和感なく段差のない加速を実現している。7速マニュアル・モードの設定があり、パドルが標準で付いている。ややレスポンスが強調されすぎているきらいはあるものの、車重1210kgを走らせるには十分なパワートレインである。

ボディには堅牢感があって、荒れた路面をモノともしない。 SUV系の姿形ながら、ガサツではない。端正でちゃんとしている感がある。エンジンの振動が伝わりにくいペンデュラム方式というエンジン・マウント・システムを新たに採用していることもそうとう効いているに違いない。

記事に関わった人々

  • 今尾直樹

    Naoki Imao

    1960年岐阜県生まれ。幼少時、ウチにあったダイハツ・ミゼットのキャビンの真ん中、エンジンの上に跨って乗るのが好きだった。通った小学校の校長室には織田信長の肖像画が飾ってあった。信長はカッコいいと思った。小学5年生の秋の社会見学でトヨタの工場に行って、トヨタ車がいっぱい載っている下敷きをもらってうれしかった。工場のなかはガッチャンガッチャン、騒音と金属の匂いに満ちていて、自動車絶望工場だとは思わなかったけれど、たいへんだなぁ、とは思った。

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