ボルボV60クロスカントリー D4 SE

公開 : 2015.10.09 23:40  更新 : 2021.10.11 09:10

■どんなクルマ?

クロスカントリーのサブネームが掲げられる、ワゴンとSUVのクロスオーバー・モデルは、1997年に誕生した「V70XC」以来の伝統を誇る、重要な商品として位置づけられている。スタイリッシュなワゴン・ボディを生み出すことでは、ボルボは定評のあるメーカーであるし、それにSUVの機能性が少なからず加味されるのであるから、市場での人気の高さは容易に想像できるところだ。

そのボルボのクロスカントリーに、ニューモデルとなる「V60クロスカントリー」が新設定された。これによって日本では、「V40クロスカントリー」とともに2タイプのクロスカントリーが選択できることになった。

日本仕様のV60クロスカントリーは、190ps & 40.8kg-mの最高出力&最大トルクを発揮する、Drive-Eと呼ばれる最新世代の、2ℓ直列4気筒直噴ターボ・ディーゼル・エンジンを搭載する「D4 SE」と、2.5ℓ直列5気筒ターボ・ガソリン・エンジンを、同様に254ps & 36.7kg-mのスペックで搭載する「T5 AWD SE」の2モデル。D4 SEは8速ATを組み合わせるFWD、一方のT5 AWD SEは、6速ATを持つAWD=フルタイム4WDとなることからも、走りのキャラクターは明確に差別化されていることが分かる。

D4 SEとT5 AWD SEの価格差は25万円とされているが、519万円のT5 AWD SEでは、AWDシステムと、急こう配の坂を下る時にブレーキを自動的に制御する、ヒル・ディセンド・コントロールが備わること等々を考えれば、この価格差はほとんど気にはならなくなる。ボルボ自慢の安全装備は、もちろんいずれのモデルでも世界最高水準のものが標準装備。ミリ波レーダー、デジタルカメラ、赤外線レーダーを併用する、歩行者・サイクリスト検知機能付き追突回避・軽減フルオート・ブレーキ・システムや、全車速追従機能付きACC=アダプティブ・クルーズ・コントロール、BLIS=ブラインドスポット・インフォメーション・システム、LCMA=レーン・チェンジ・マージ・エイド、LKA=レーン・キーピング・エイドなど、10種類もの先進安全装備からなる、「インテリセーフ10」が搭載されるが、もはやそれはボルボにとって特別なアピールを必要とすることのない、表現を変えるのならば当然搭載されているべき装備となった。

V60クロスカントリーに専用となるサスペンションは、フロントに「XC70」用のホイールスピンドルとコントロールアームを、またリアにはXC70用(D4 SE)、XC60用(T5 AWD SE)のサブフレームと、ラテラルリンクを採用したものだ。フロントにはロワ・クロスメンバーが追加されているが、これは他車との正面衝突時に相手側への傷害を低減することを目的としている。それはつまり正確なバンパーとバンパーを衝突させることと同じ機能を持つということになる。

この専用サスペンションによって、車高はベースとなったV60比で60mmプラスの1540mmに。最低地上高も65mmが拡大され、200mmという余裕を得ることになった。アプローチ・アングル、ランプ・アングル、そしてディパーチャー・アングルは、各々19.4度、20.7度、25.7度。ラフロードでの走破性も十分に期待できるスペックだ。

記事に関わった人々

  • 山崎元裕

    Motohiro Yamazaki

    1963年生まれ。青山学院大学卒。自動車雑誌編集部を経て、モータージャーナリストとして独立。「スーパーカー大王」の異名を持つ。フツーのモータージャーナリストとして試乗記事を多く自動車雑誌、自動車ウェブ媒体に寄稿する。特にスーパーカーに関する記事は得意。

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