スバル・インプレッサ・スポーツ・プロトタイプ

公開 : 2016.09.12 05:55  更新 : 2017.05.29 18:41

一気に切り込んでリアを流すとか、アクセルを踏み込みながら増し切りするとかの強引な運転をすれば、当然の如く強いアンダーステアを示す。そういうトリッキーな運転に反応しない。しっぺ返しなしの懐深さはあるが、綺麗な走りを求めれば綺麗な運転との相性がいいのが大人の対応というやつ。

基本操安性は共通しているが、強引な運転に対する許容度は「S」が勝る。乗り比べると「L」のほうが操縦感覚が緩く、強引な運転に対するお仕置きアンダーステアも強め。高速域での細かな挙動の抑え込みでも「S」に多少及ばないのだが、やはり綺麗に走ってくれる。

綺麗な走りは乗り心地も同様である。大きなサス・ストロークでも車軸周りを揺するような入力でも揺れ返しが少ない。スッと動いてスッと収まり、据わりもいい。225/40を履く18インチ仕様でも踏面の当たり感が穏やかである。ストローク速度を抑える高減衰設定の感もなく、柔らかなサスの腰砕け感もない。さらにはブッシュ類の撓みによる関節部のぎくしゃく感もない。踏面から車体骨格までが一体となって低反発力クッションのような感じで大小の入力を上手に吸収している。

さらに透過感の少ない静粛性も見所。同様の条件で新旧の乗り比べをしたが、次期モデルから乗り換えると細かな振動や騒音がやたらと気になる。洗練感とか車格感が段違いと言っても過言ではない。

フットワーク系の進化が著しいため、相対的にパワートレイン周りの向上代は少ない。ダウン・シフト時の回転変化を少なくし、低回転域での力感を向上。従来車よりも回転変化少なくトルクに乗せたパワー・フィールとしている。この辺りはエコパワートレーンのセオリーに従った特性である。高回転まで軽く回るエンジン・フィールなどフラット4テイストはしっかりと継承されているので、力感と燃費の向上は長距離ツーリングの機会が多いユーザーには実利的と言えよう。


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