ホンダNSX

公開 : 2016.12.08 05:55  更新 : 2021.10.11 08:58

■どんなクルマ?

今さら説明するまでもないが、2代目NSXである。初代が発売されたのは1990年のことだから、26年ぶりのNSXということになる。初代は3ℓV6NAエンジンをオール・アルミ・ボディのミッドシップに横置きして後輪を駆動する2座クーペで、「ドライバーを選ばないスーパースポーツ」というべきクルマだった。

当時、僕は同時代のフェラーリである348tbとNSXの比較テストをやったことがあるけれど、348がコーナリングの限界近くになると挙動が掴みにくくなり、ドライバーにかなりの緊張を強いるクルマだったのに対して、NSXは限界付近でもコントロールし易く、348よりずっとイージーに飛ばせたのを覚えている。

時代は変わって新型NSX、それは開発と生産の拠点をアメリカに置いたクルマだ。ミドにV6エンジンを収めて後輪を駆動するのは初代と同じだが、それが縦置きの3.5ℓツインターボになり、その補助用として電気モーターを1基備える。それに加えてフロントにも、左右前輪をそれぞれ独立して駆動する電気モーターが1基ずつ備わる。すなわち、1エンジン+3モーターによるハイブリッドで、駆動方式は4WDを採る。

ホンダがそういった凝ったメカニズムを採用した理由は、今日のクルマに求められる環境性能を満たしつつスーパースポーツに相応しい強力なパフォーマンスを手に入れると同時に、初代のフィロソフィーでもあった「ドライバーを選ばないスーパースポーツ」を今日的視点で実現する、スーパーなハンドリングの実現にあったといえるのではないか。

そこで新型NSX、あらためて基本スペックを紹介すると、以下のようになる。押出し成形アルミ材を中心とした複合素材によるスペースフレームのコクピット直後に、3.5ℓV6ツインターボエンジンと電気モーターを縦置き、同じく縦置きした2ペダルの9段DCTによって後輪を駆動するのがその後半部。前半部には2基の電気モーターを横置きし、それぞれ左右前輪を駆動、そのトルクを後輪とも関連する制御ユニットでコントロールすることでトルク・ベクタリングをおこない、高度なハンドリングを得る、というもの。

パワーユニットの出力は、エンジンが507psと56.1kg-m、モーターが前用37psと7.4kg-m、後用が48psと15.1kg-mで、システム総合出力は518psと65.9kg-mという数字になる。対する車重は1780kgだから、パワーウェイトレシオは単純計算で3.44kg/psとなる。

記事に関わった人々

  • 吉田 匠

    Takumi Yoshida

    1947年生まれ。1971年、青学大卒業と同時に「CAR GRAPHIC」編集部に。スポーツカーの試乗記などを手掛け、FJ1600などのレースにも参戦、優勝経験数回。1985年、同社を退社、フリーランスのモータージャーナリストになる。「ポルシェ911全仕事」等、単行本多数。旧いスポーツカーに目がなく、愛車はポルシェ356B、ロータス・エランS2、他。

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