メルセデス・ベンツSクラス、デビュー

公開 : 2013.05.16 21:00  更新 : 2017.06.01 01:53

快適性、スペース効率、経済性、安全性、クオリティ、そしてコネクティビティなどの技術力をもって、メルセデス・ベンツは新しいSクラスでグローバル・ラグジュアリー4ドア・サルーン市場を再びリードすることとなる。また、このSクラスは、これまでのように旧いSクラスの置き換えだけでなく、2つのモデルの後継となることが求められている。そのひとつは言うまでもなく2005年にデビューしたSクラス(W211)であり、もうひとつは廃止されたマイバッハ・ブランドの57と62というリムジンである。

メルセデスの社長、ディーター・ゼッツェは、新しいSクラスには5つのボディが存在するとしている。ショート・ホイールベース・サルーン、ロング・ホイールベース・サルーン、エクストラロング・ホイールベース・サルーン、クーペ、カブリオレだ。

W222のコードネームの下、開発された新しいSクラスのデザインは革新的というよりも進化形ということができる。多くの部分で前モデルから引き継いだ”遺産”が見られるが、その表面の処理などは現代的なアピールをするに充分なもの。メルセデスのデザイン・ボス、ゴードン・ワーグナーは「より高貴なビジュアル・キャラクター」をこの新型に与えたと評している。

最近のメルセデスの各モデル同様、効率を求めたエアロダイナミクスに優れたボディが与えられ、そのドラッグ係数は0.24だという。他のどのメルセデスよりも立派なクロームの付いたグリルが与えられ、56個の独立したLEDによって構成されるヘッドランプが装備される。体系化されたフロント・バンパー、輪郭を強調されたボンネット、ヘッドランプ後縁からリア・ホイールアーチに至るプレスラインも特徴的だ。

エレクトロニクス面では、その安全機機能に多数の装備がなされている。これには、リア・パッセンジャーのためのベルト・ストラップに付けられたバックル・エクステンダーとエア・バッグなども含まれる。オプションのリクライニング・リア・シートにも、シート・クッションにエア・バッグが取り付けられる。とりわけ、パッセンジャーをアクシデントから守るための装備は豊富だ。また、ラグジュアリー・サルーンに対するアジア市場の需要が高まるのにあわせ、リア・シートはより豪華になった。

インテリア・スペースは前モデルよりも広くなっている。装備は、メルセデスが”贅沢の本質”と呼ぶもので、例えば、電気的に作動するシートベルト・ホルスターなどもそのひとつ。そのキャビンは騒音を極力抑えることを中心に設計されており、基本骨格やサスペンションもNVHの低減を目標に造られている。また、ドアやウインド・シーリング・システムなども、やはり騒音を抑えるためにアップグレードされている。

サイズ的には、ホイールベースは前モデルと同じ3165mm。全長、全幅、全高は5246mm、1899mm、1491mmと、前モデルよりも21mm長く、29mm広く、11mm高い。新しいリクライニング機能を持ったリア・シートを持ったモデルでのブート・スペースは530ℓと前モデルよりも30ℓほど少なくなっている。

メルセデスは、その車両重量を低減するために、新しいSクラスには軽量素材を多く用いている。アウターパネルはすべてアルミニウム性となり、S350ブルーテックを例にすれば1900kgと20kgほど軽くなっている。しかし、そのボディ剛性は、メルセデスのラインナップの中でも最も固い。

ドライブトレーンは、ガソリン、ガソリン-電気のハイブリッド、ディーセル、ディーゼル-電気のハイブリッドの4つが用意される。そのすべてが7速オートマティック・ギアボックスと組み合わせられる。メルセデスの主張によれば、より速く直感的なシフトが可能になったとしている。

英国での販売は、254bhpの3.0ℓV6ディーゼルのS350ブルーテック、204bhpの2.1ℓ4気筒ディーゼルと20kWのモーターを組み合わせたS300ブルーテック・ハイブリッドがラインナップされる。ディーゼル・ハイブリッドは、そのボディのCd値も0.24から0.23におとされ、115g/kmというCO2排出量を誇る。また、前モデルよりも20bhp増えた449bhpの4.7ℓツインターボV8を搭載するS500も揃えられる。

プラグイン・ハイブリッド版は、2015年にデビュー予定で、CO2排出量は75g/kmとなる。

更にS63 AMGがトップ・モデルとして予定されている。そのエンジンは、標準で536bhp、オプションのパフォーマンス・パッケージを選ぶと563bhpという5.5ℓツインターボV8が搭載される。英国市場には後輪駆動のみが導入される予定だが、市場によっては4MATICモデルもラインナップされる。

3.5ℓV6ガソリン・エンジンと20kWのモーターを組み合わせた321bhpのS400ハイブリッドは、旧モデルよりも26bhpアップとなる。

2014年に、メルセデスはS600をラインナップに加える予定だ。それは530bhpを発揮する5.5ℓツインターボV12を搭載する。このエンジンは更に6.0ℓにキャパシティ・アップされた上に612bhpにチューニングが施されS65 AMGに搭載される。

S500プラグイン・ハイブリッドは2014年に発表される予定で、その燃費は25.0km/ℓをマークするという。

新しいSクラスに与えられた新技術で最も注目されるのは、マジック・ボディ・コントロールだろう。これは、オプションで装備されるものだが、ダンピング、ピッチング、ロールなどをフロントガラスに取り付けられたカメラによってコントロールするというものだ。

更に、無数のオプションが用意される。ホット・ストーン・マッサージ、ナイトビジョン、クルーズ・コントロール、24スピーカー、ビルトイン・アトマイザーなどだ。

価格は£68,000(1,060万円)からとなる。

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