フォードGT、ヨーロッパ・デビュー

公開 : 2015.03.03 22:30  更新 : 2017.06.01 02:10

新型フォードGTのライバルはランボルギーニアヴェンタドールということになりそうだ。なぜなら2016年末に発売されるときには£240,000(4300万円)という価格になる見込みだからだ。

フォードの話では、デトロイト・モーターショーで発表しジュネーブにも展示するこのモデルは、市販型とほとんど同じものだそうだ。

フォード・パフォーマンスのチーフエンジニアであるデーブ・ペリキャックは、「わたしたちはコンセプトカーをアンヴェールしたのではありませんよ。生産型の見た目は95%、このままです。」と話している。

GTはカナダにあるマルチマティック・モータースポーツで製造される。このファクトリーはかれこれ30年以上もフォードのレース・プログラムを担当してきたところだ。生産開始は来年後半で、2016年末までにはショールームに並ぶことだろう。なお、ヨーロッパを含む世界中のマーケットで販売される予定である。

フォード・グループのラジ・ナイール副社長はこう言っている。「これは限定生産になるでしょうね。2005年モデルのGTよりもずっと少ない生産台数になりますよ。」

パワーユニットはミドシップされた3.5ℓEcoBoostV6ツインターボ・エンジンで、最高出力は608ps以上となる。組み合わされるトランスミッションは7速デュラルクラッチ・オートマチック・ギアボックス。軽量化を目的にボディの主要部分はカーボンファイバー製となり、エンジンとサスペンションをマウントする箇所はアルミニウム・ストラクチャである。実際にフォード自身もGTが “プロダクション・モデル史上” ベストと言えるパワー・ウェイト・レシオになると話している。

「新技術を盛り込んでいるんですよ。EcoBoostというハイテク・エンジンはこのモデルにまさにフィットするんです。3.5ℓV6にもかかわらず6.2ℓV8よりパワフルで、それでいて経済的です。パフォーマンスと効率性の共存というのは非常に重要ですからね。」

GTのスタイリングは先代同様に低くワイドなもので、ミシュラン・パイロット・スポーツ・カップを履く20インチ・ホイールがその足元を飾る。リアウィングは高さとピッチがドライバーの好みに応じて変更できるほか、巨大なリア・ディフューザも装備されている。

2座モデルのGTであるが、その車内については、”無駄のない” インテリアになっており、車外からは上開きのドアを振り上げて入って行く。なお、ふたつのシートはフロアに直接ボルト留めされている。

後輪駆動モデルの新型GTは、フォード・パフォーマンスの名で2020年までに発売予定の12車種に含まれるモデルだ。ほかのモデルはフォーカスRS、シェルビーGT350、それから先頃アンヴェールされたGT350などである。

「こうしたモデルというのはビジネス面にも好影響でして2009からアメリカでは70%も販売が増加しています。この傾向はヨーロッパにおいても同様です。より若い年齢層、より学歴の高い層が、われわれのプロダクションに関心を持つようになりました。」

ナイールは新型GTの特性にはハイブリッド・システムが合わなかったと話している。「エレクトロニクスの採用には時間を費やしましたが、GTというのは効率性が全てです。新型GTは重量面での理由によりハイブリッドを採用しませんでした。われわれは軽量化の道を選んだのです。」

巷では、ル・マン24時間におけるオリジナル・フォードGTの勝利から50年目を迎える来年に、フォードが新型GTで参戦するのではないかと噂されている。

この件についてナイールは次のように答えている。「たしかに新型GTというのはレースでも力を発揮できるプラットフォームを採用しました。しかしながら、われわれは目下生産化に注力しています。ただ、たいへん興味深い話だとは思いますよ。」

フォードのデザイン担当グループ副社長、モレー・カラムとの一問一答

どのようにオリジナルのGTをリデザインしたのですか?

「リデザインとは対照的に、このクルマの設計にGT40の魂を込めることはとても重要なポイントでした。実際に、過去のモデルへのオマージュにはなっています。しかし一方で、新型GTの大部分は現在の技術的目標を達成するために造りあげられたものです。」

このプロジェクトの話がまとまったのはいつ頃ですか?

「プロジェクトの開始はたった14ヶ月前ですが、信じられないくらい早い段階で方向性が定まりました。まずスケールモデルをつくり、実物大のクレイモデルに取り掛かりました。関係者以外立ち入り禁止の部屋で7人ほどのデザイナーが作業しました。」

パワートレインの決定はいつ頃でしたか?

「非常に早い段階でしたね。これにより随分作業が明確になりました。設計図をにすぐに落とし込めましたし、冷却系の設計に時間を使えました。つまりフロントやプロポーションの設計に時間を割くことができたのです。EcoBoostエンジンを採用しましたが、依然としてパッケージはタイトです。エアロダイナミクスとデザインの目標を達成するために、まだまだやることが残っていますよ。」

市販型に比べてどのくらい共通点がありますか?

「おそらく95%というところでしょうね。開発は進行中ですが、ドアーミラーやヘッドライトくらいは変更になるかもしれません。それ以上は変わらないですよ。」

▶ 2015 ジュネーブ・モーターショー

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