車内も走りも好印象 アウディQ3 45 TFSIeへ試乗 低グレードはコスパ高し

公開 : 2023.01.24 08:25

アウディの小型SUV、Q3にPHEV版が登場。比較的お手頃な価格に快適な車内、心地良い走り味を英国編集部は評価します。

エントリーグレードならコスパに優れる

世界的な物価上昇が続く現在、クルマ選びでもコストパフォーマンスは重要なポイントだろう。4万ポンド(約640万円)以下で購入できる、プラグイン・ハイブリッド(PHEV)のアウディ製SUVは、その優等生に加えられるかもしれない。

英国で提供されるエントリーグレード、テクニックでQ3 45 TFSIeをオーダーすれば、それが実現する。一般的に、複雑なメカニズムを搭載するPHEVの値段は高くなりがちだが、企業努力の結果といえそうだ。

アウディQ3 45 TFSIe Sトロニック・ブラックエディション(英国仕様)
アウディQ3 45 TFSIe Sトロニック・ブラックエディション(英国仕様)

このクラスは競争が激しい。ライバルとしては、BMW X1メルセデス・ベンツGLAボルボXC40レクサスUXなどに加えて、新参のアルファ・ロメオトナーレもある。だが、いずれもアウディの設定した価格には太刀打ちできない。

ただし、駆動方式に四輪駆動のクワトロは設定されず、前輪駆動のみ。最高出力も、ライバルと比較すれば小さい側といえる244psだ。これらの理由を踏まえた、戦略的な価格設定でもある。

実用性も、トップクラスというわけではない。丸みを帯びたスタイリングということもあり、ボディサイズは実際より小さく見えるかもしれない。

とはいえ、テクニック・グレードでも装備は充実。スライド可能なリアシートに、パワーテールゲート、MMIナビゲーション・プラス・インフォテインメント・システム、モニター式メーターパネル、運転支援システムなどが備わる。

居心地の良い車内空間 実用性も悪くない

アルミホイールは17インチが標準。見た目の理想よりワンサイズ小さいかもしれないが、乗り心地やエネルギー効率という面では僅かに有利ではある。今回ステアリングホイールを握ったQ3ではないけれど。

試乗車のブラックエディションの場合は、19インチ・ホイールを履く。スポーティに仕上げられるSラインのボディキットをまとい、インテリアも上質なものへアップグレードされていた。少し上級に見られたいSUVを、実際にそう仕上げることは難しくない。

アウディQ3 45 TFSIe Sトロニック・ブラックエディション(英国仕様)
アウディQ3 45 TFSIe Sトロニック・ブラックエディション(英国仕様)

Q3の予算があれば、より広々とした車内空間を持つモデルも選べるだろう。とはいえ、前後のシートには平均的な大人が快適に座れる広さがあり、同クラスのハッチバックやサルーンを上回る荷室を備える。

PHEVだからといって、床面が高いわけでもない。駆動用バッテリーの搭載位置は、リアシートの下側。荷物の邪魔になるような、四角い塊が出っ張っていることもない。

運転席まわりの環境は知的に整えられ、居心地が良い。幾何学的な面構成の造形に、サテンクロームの装飾トリムがあしらわれ、先進的なモニターが正面に来る。

インテリアの素材は基本的には悪くないものの、いっときのように素晴らしいとまではいえない。ドイツ・インゴルシュタットのブランドとして、もっとラグジュアリーでソリッドな質感が追求されていても良さそうだ。

記事に関わった人々

  • 執筆

    マット・ソーンダース

    Matt Saunders

    英国編集部ロードテスト・エディター
  • 翻訳

    中嶋健治

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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