徹底解説

2015.12.09

トヨタ・プリウス

パワートレイン


ともすれば外観の話題ばかりになってしまいそうなプリウスだが目に見えない部分も着実に変わっている。

搭載する内燃機関は1.8ℓ 2ZR-FXEと呼ばれるもの。排気量こそ先代と変わらないが、吸気ポートの形状を見なおしたほか、EGRガスを各気筒により多く流し、かつ均等に分配されるよう、インテーク・マニホールドのEGR分配通路の構造を見なおした。さらにシリンダーボア壁温の最適化を図るなどして40%の最大熱効率を実現している。

これを72psのフロント・モーターが加勢する。

ハイブリッド・トランスアクスルの前後長は、従来の409mmから362mmへと小型化。約20%損失が低減している。モーターも巻き線の方式を変えた高回転のものにし、約20%の損失低減と小型化に成功している。

これらは、使用する際の快適性も高めている。なかでも代表的なのは冷却システムを2系統にした点だ。‘エンジン本体’ と ‘排気熱回収器・ヒーター’ に分岐したことでエンジン本体への冷却水を最適化。暖気性能が向上している。暖気が早まれば、寒い日にも素早く室内をあたためられる。

また、このモデルからはE-Fourと呼ばれる電気式4輪駆動方式も設定される。普段の運転のなかでも4輪を駆動したほうが(当然ながら)安定し、制御を最適化することで燃費性能を向上できることにトヨタは気づいたのだ。先述のフロント・モーターに加えて7.2ps/5.6kg-mのリア・モーターが補助する。

グレードは上から順に、‘Aプレミアム’、‘A’、‘S’、‘E’の構成となる。どうしてこの項でグレードの展開を説明するかというと、グレードによって駆動方式の選択肢が変わるうえ、駆動方式によって選べるバッテリーの種類が変わるからだ。

ここら先は、少しばかり混みいった話になるが、どうか根気づよく読んでいただければと思う。

まずトップ・グレードの ‘Aプレミアム’ と、ひとつ下の ‘A’ は、E-Four(電気式4WD)と2WDの2種を選ぶことができる。そのうち4WDはニッケル水素電池を、2WDはリチウムイオン電池を使用する。

そしてその次のグレード、‘S’ もE-Fourと2WDが選べる。しかしこちらの場合は駆動方式に関係なく、ニッケル水素電池のみしか組み合わされない。エントリー・グレードにあたる ‘E’ は2WDのみ。組み合わされるのもリチウムイオン電池のみとなるのだ。

おわかりいただけただろうか……。

駆動用バッテリーはリア・ベンチ下に、5.3kWのリア・モーターや201Vのリア・インバーター(空冷式)もトランク下におさめることで4WDタイプでも2WDと変わらぬ457ℓの荷室容量を確保している。

 

シャシー

この項のキーワードとなるのはTNGAと呼ばれる新プラットフォームだ。簡単にいえば ‘低重心パッケージ’ であり、全高を下げたことでパッセンジャーを窮屈に感じさせないようにデザインされている。

エクステリアの項でも触れたが、全高は20mm、リアスポイラーの高さは55mm下がっている。低重心化を目的としたものだ。

ならば頭上が狭くなっているのか? まったくそんなことはない。狭くなっているどころか前席のパッセンジャーの頭上スペースは先代より21mm大きくなり、87mmとなっている。ヒップ・ポイントを59mm低くしているからだ。

あわせて荷室底面を110mm、パワートレイン・ユニットを10mm低くすることで、先代よりも広い室内スペースを見出している。

また今後、読者諸兄がさまざまなところでプリウスに関する文を目にするだろうが、おそらく “運転が楽しくなった” という文句が目立つことに気づくだろう。

理由は高剛性ボディを採用したことにある。以下の写真のような ‘日の字環状構造(赤色)’、‘リア環状構造(ピンク色)’ なる構造レーザー照射によるボディ接合技術や構造用ボディ接着剤の採用により剛性は約60%アップしている。

加えてリアにはダブル・ウィッシュボーン式サスを新採用。さらに回生ブレーキと油圧ブレーキのバランスを高精度センサーで制御(トヨタはブレーキ協調制御という)するため、これまでよりも意図するとおりに制動がはじまるようになっている。ブレーキはすべてのグレードでフロントがベンチレーテッド・ディスクを、リアがディスクをシェアする。

 

人気コンテンツ