ボナムス・グッドウッド・リバイバル・セール

●2015.09.12　チチェスター／イギリス 秋の定番イベントとして定着した感のあるグッドウッド・リバイバル・ミーティングと共に、ボナムスがイベントに合わせたマニアックなオークションを開催した。  
世界中で数多くのヒストリックカー・レースが行われているが、グッドウッド・リバイバル・ミーティングほど拘ったイベントは無い。当時活躍したマシンが競うのはもちろん、サーキットの施設を始め、ドライバーからギャラリーまでが当時のコスチュームで来場することが要求されるほど。取材するカメラマンも同様の服装で撮影することになり、キャンペーン・ガールも同様で、サーキット内は当時へタイムスリップした気にさせられるほどだ。 その拘りからヒストリックカー・ファンの人気を集め、年を追うごとに成長を続けている。その人気に合わせてボナムスも来場者の好みに合わせたクルマを用意したオークションが行われた。 昨年はグッドウッド・リバイバル・ミーティングに参加していた車両が数多く出品されていたが、今年は通常のロードカーが多くなり83台が用意された。車両のほかメモラビリアやパーツ、モデルカー、キッズカー、そしてモーターサイクルまでの389点がオークションにかけられた。 ここで最も注目を集めたのは、フィアット・バルトレッティ・ティーポ 642 レーシングカー・トランスポーターだ。最初に当時マセラティ・ワークスチームが使用し、その後スカラブ・ワークス、シェルビー・アメリカン、アランマン・チーム、デビッド・パイパーが使用したヒストリーを持つ。また映画「栄光のル・マン」にも出演し、近年はアンソニ・バムフォード率いるJCBヒストリックカー・チームが所有していたもの。オークションではトラックとしては異例かつ新記録となる1億2215万円で落札された。 このほかグッドウッド・リバイバル・ミーティングの目玉となったのは、ポルシェ908/3だった。当時ジョン・ワイヤ・チームが走らせたマシンで、今回は晩年の姿で出品された。しかし4億920万円の最低落札額まで届かず流れてしまった。 今回レーシングカーの出品は少なく、セントマリー・クラスに参戦しているモーリス・ミニとクーパーJAP F3、ジャガー Eタイプ 3.8ℓ セミ・ライトウェイト・コンペティション・クーペ、スカラブのスポーツカーとオッフェンハウザー・エンジンを積むフォーミュラ・マシンが2台姿を見せた。 ここで最高落札額を記録したのは1965年型アストン・マーティン DB5 コンバーチブルの2億235万円だった。ここに1965年型ベントレー S3 コンチネンタル・フライングスパー(1億4194万円)、1935年型アストン・マーティン・アルスター 2/4シーター・ツアラー(1億3778万円)、1960年型スカラブ・オッフェンハウザーF1/インターナショナル・フォーミュラ(1億2528万円)、そして前述の1956年型フィアット・バルトレッティ・ティーポ 642 レーシングカー・トランスポーター(1億2215万円)、250GTEから製作された1963年型フェラーリ 250GT SWB アロイ・リクリエーション(1億1278万円)がベスト5となった。 高額の落札額が予想されていたフェラーリ250GTルッソや275GTB/6C、デイトナ・スパイダー、F40は、客層が違ったのか、いずれも流れている。フェラーリの中で328GTSが2424万円で落札されているが、このクルマは当時スクーデリア・フェラーリのピロータだったナイジェル・マンセルにプレゼントされたもの。RHDのイギリス仕様で走行は1.5万マイルと少なく、ヒストリー代が加わりこの額になったもの。 一方でヴィンテーズ・モデルと一般的な趣味クルマは好調だった。全体的には走りを楽しむ来場者が多かったのか、高額車は流れたものが多く、クルマの落札率は39.8%と低調だった。 またイギリスらしくベース車といえる「プロジェクト」も並んだ。しかし1937年型BMW 328 カブリオレ・プロジェクトは6070万円、1960年型マセラティ 3500GT プロジェクトでは1872万円と、結構な額で落札されている。