ボナムス・グッドウッド・リヴァイヴァル・セール

●2016.09.10　チチェスター／イギリス
ボナムスはビューリーズ・セールの1週間後に、今や秋の定番イベントとなったグッドウッド・リヴァイヴァルの中でオークションを開いた。サーキットでの開催だけにレーシングカーが多いのが特徴だ。

 
9月になってからのボナムスは大忙しだ。3日にビューリーとシャンティイのダブルヘッダーをこなした翌週には、グットウッド・サーキートで開かれるグッドウッド・リヴァイヴァルの中でオークションが行なわれた。

ヒストリックカ・レースが主体のイベントに併催されるオークションだけに、コンペティション・モデルが多いのが何よりの特徴だ。ここで最も注目を集めたのがオリジナルで未レストアのポルシェ550スパイダーだ。新車でアメリカ西海岸にデリバリーされ、オーナーに恵まれて素晴らしいコンディションを保って現在に至る。2010年のペブルビーチ・コンクールではみごとに受賞している。二度と出ないコンディションの550スパイダーだけに、459.35万ポンド／6億2702万円で落札され、あわせてここでの最高落札額となった。もう一台の看板車だった1936年型アストン・マーティン 2ℓ スピードモデル・レッド・ドラゴン2座スポーツレーシングは2億1840万円と思われる最低落札額に達せず流れてしまった。

ちなみに2番値以下は、1950年型フレーザー・ナッシュ・ルマン・レプリカ60.3333万ポンド／8236万円、1964年型アストン・マーティン DB5／45.51万ポンド／6213万円、1967年型アストン・マーティン DB6 ヴァンテージ 4.2／45.51万ポンド／6213万円、1928年型ベントレー 6 1/2/8ℓ スポーツ／40.694万ポンド／5555万円、2000年型アストン・マーティン・ヴァンテージ・ルマン V600 クーペ／35.43万ポンド／4837万円、1971年型ディーノ 246GT／29.942万ポンド／4088万円、1962年型ジャガー Eタイプ・シリーズ1 フラットフロア 3.8ℓ ロードスター／25.35万ポンド／3461万円、1986年型アストン・マーティン V8 ヴァンテージ・ザガート・クーペ／25.35万ポンド／3461万円と、英国車が多数を占めるグッドウッドらしい結果となった。

このオークションに用意された車両はヴァラエティに富んでおり、BMCチームのレーシングカー・トランスポーターは真っ当なほうで、1955年型ディムラー・フリート Mk2/4 装甲スカウトカー（267万円）、1945年型ダック 6X6 水陸両用車（938万円）や、国防省のパレード用に作られた1978年型ランドローバー・シリーズ III 109″ 4×4 セレモニー・パレードカー（613万円）、1957年型ポルシェ 597 ヤクトヴァーゲン 4×4 （2391万円）等のミリタリーモデルや、デハヴィラント DH60G ジプシー・モスといった飛行機までが並んだ。ここからもイギリス人の趣味の幅広さと深さが見えてくる。

レーシングカーでは10ベストに入ったフレーザー・ナッシュ・ルマン・レプリカのほか、ジャガー Eタイプ 3.8ℓ セミ・ライトウェイト・コンペティション・ロードスター（1856万円）と言った王道のモデルのほか、デ・サンチス・フォーミュラ・ジュニア（456万円）、ヴォルピーニ・フォーミュラ・ジュニア（流札）等のマイナーなメイクスのマシンまで並ぶのがグッドウッドならではだ。

このほか往年のラリーカーも数多く用意され、トライアンフ TR7 V8 ラリーカー（566万円）やローバー SD1 ラリーカー（487万円）に加え、MG メトロ 6R4 グループB ラリーカー（1550万円）が姿を表し、近年のマシンであるフィアット・スティーロ・アバルト・グループA ラリーカーは181万円と安価で落札されている。一方でフォード RS200は予想最低落札額が3822〜4641万円と高かったため流れてしまった。

現在のオークションの主役であるフェラーリだが、ここではちょっと影が薄く4台のみ（ディーノを入れて6台）だけだった。値下がり傾向にある275GTBが落札されたが、落札者都合で額は非公開になっている。このほか注目したいのが、フォード・コルチナ Mark-I 1500GTという地味なサルーンが432万円で落札されているが、このクルマはグラウドアップ・ボルト・ナッツ・レストアを行った新車以上のコンディションあるからだ。イギリス人にとっては思い出の1台だけに評価されたのだろう。

いずれにせよ、ここでも価値のあるものは高く、それなりのクルマはそれなりの価格で終わっている。最低落札額が入札者のイメージより高いものは、売れ残る傾向が顕著になってきたことが見て取れる。