アストン・マーティンの本拠地、ニューポート・パグネルで、今年もアストン・マーティンだけのワンメイク・オークションが開催されました。

ボナムス・ジ・アストン・マーティン・ワークス・セール

●2017.05.13　ニューポート・パグネル／イギリス
■アストン・マーティンだけのワンメイク・オークションが今年も開かれた。ニューポート・パグネルにあるアストン・マーティン社のサービスワークスを舞台に盛大に行われた。

 
春の恒例イベントになった感のあるボナムスによるジ・アストン・マーティン・ワークス・セールが今年も開催された。かつてアストン・マーティンのファクトリーがあったニューポート・パグネルは、現在歴代モデルのメンテナンスやレストアを行うヘリティッジ・センターが設けられている。この歴史的な場所でアストン・マーティンだけのオークションがボナムスにより開かれた。

今回もカタログや書籍、ポスターなどの紙モノからサイン入り写真（もちろん007関係もある）、絵画、パーツ、アクセサリー、モデルカーなどのアストン・マーティン関連のオートモビリアが170点と、車両が42台用意された。今回は強力な目玉車両はなく、どちらかといえば一般的なモデルがほとんどだった。

その中で極め付きといえたのが1968年型DB6ヴォランテとDB6ヴォランテ・ヴァンテージ・スペックだったが、どちらも最低落札額に届かず流れている。新しいモデルで注目を集めたのは昨年限定販売されたヴァンテージGT12だ。100台限定だったため入手できなかった方も多かったが、今回特別にヴィリジアン・グリーンの走行30マイルのデリバリー・コンディションのものが出品されたが、会場に集まったのは旧いモデルがお目当ての方が多かったようで、5145万円の予想落札額に届かず流れてしまった。

ちなみに今回の落札率は61.9%と昨年の同オークションに較べ向上した。しかしピーク時のまま高額に最低落札額が設定されたDB4、DB5、DB6は、相場が落ち着いてきたことに加え、コレクターも冷静になってきたようで、入札が進まず流れるものが多かった。一方で次世代のDBSがコレクターズカーとして認められつつあり、V8系の限定モデルが人気を集めていた。

ここで最高落札額を記録したのは1972年から45年間愛好家の許にあった1964年型アストン・マーティン DB5が8255万円で、以下1961年型アストン・マーティン DB4 シリーズ III 4.2ℓ／5867万円、1989年型アストン・マーティン V8 ヴァンテージ・ヴォランテ Xパック 7.0ℓ／5703万円、1970年型アストン・マーティン DB6 Mk-2 ヴァンテージ／5620万円、1996年型アストン・マーティン V8 スポーツマン・エステートカー／4962万円、2000年型アストン・マーティンヴァンテージ・ル・マン／4550万円、1967年型アストン・マーティン DB6 ヴァンテージ／4215万円と、新旧のアイテムカーが並んだ。

‘80年代のモデルで高値をキープしているのがザガートだ。1989年型V8ザガート・ヴォランテ・コンバーチブルは4139万円で落札されている。もう1台のザガートである1987年型V8ザガート・ヴァンテージは4410万円と思われる最低落札額まで届かず流れてしまった。

変わったところではアストン・マーティン社が3台のみ製作した1996年型スポーツマン・エステートカーが出品され4962万円で落札された。このほかDB4を1980年代にヒストリック・レーサーにモディファイした車両も姿を見せ、こちらは3480万円まで値を上げた。

イギリスにおけるクルマ文化の層の厚さと底力を感じさせるバーンファインドやレストア途中のプロジェクトは、1950年型ラゴンダ2.6ℓ ドロップヘッド・クーペ（288万円）と1957年型DB2/4（803万円）、塗装が終わった状態でレストア途中にあるDB4シリーズIIIは貫禄といえる3315万円まで入札が進んだ。

オートモビリアでは007モノが根強い人気があり、ショーン・コネリーのサイン入りオリジナル・プリントは高値で落札されている。また、1989年の世界スポーツプロトタイプカー選手権（WSPC）に挑んだグループCマシンのAMR1関連のポスターからプロモーション用モデルカーやチームウエア、パーツ用ケースなどが並んだ。その中から興味深いものもご覧いただこう。