モダン・ポルシェが大挙出品！　アメリアアイランドで2番目に開かれたグッディング・オークションの結果報告です。さながらポルシェ祭りの様相となりました。

text: Kazuhide Ueno（上野和秀） photo: photo: GOODING & COMPANY

新旧ポルシェ　33台用意

アメリカを本拠にするオークションハウスのグッディング&カンパニーは、1年間にスコッツデイル、アメリアアイランド、ペブルビーチというアメリカ国内で開かれる3つのメジャー・イベントにリンクしたオークションのみ開催する特異な存在だ。準備できる時間が長いだけに、大手以上の貴重なモデルが並ぶことで知られている。

伝統のあるアメリアアイランド・コンクールデレガンスにリンクしたグッディングのオークションは今回で10回目。例年はコンクールデレガンスの傾向に合わせてヴィンテージ・モデルを始めとする戦前車が数多く出品されてきた。しかし、今年はグッディング社の試みか、他のオークションとの差別化、あるいは入札者の年令が若返ってきたことに対応してか、戦前車はわずか3台に留まった。

戦前車が少なかったのに対しヤングタイマーを含むモダンモデルが主流となった。そのなかでもポルシェは、356AスピードスターからカレラGT、918ヴァイザッハ、991GT2 RSヴァイザッハまでの数多くの人気モデルを含む33台が出品。他のオークションとの差別化がはかられた。このポルシェの中で964以降のRSなどの限定モデルは、「ワッツアプリ」のファウンダーであるジャン・コウム・コレクションから放出されたもの。いずれもローマイレージのミント・コンディション車だけに高額落札が予想された。

このほかのポルシェも1983年911SCが1万3360km、1989年930カブリオレで5600kmという個体を筆頭に低走行車が数多く用意され、993以降のモデルでも2万km以内の車両がほとんどを占めていた。

最高落札額は、戦前車

モダンカーを中心に行われたが、その結果を見ると最高落札額を記録したのは皮肉にもアメリアアイランドらしい戦前車の1930年パッカード734スピードスター・ラナバウトで、最終的に1億9768万円まで競り上がって成約したのである。以下、

2015年ポルシェ918ヴァイザッハ（1億6688万円）
1965年フェラーリ275GTS（1億4840万円）
1963年フェラーリ250GTルッソ（1億3732万円）
1993年ポルシェ964カレラRS3.8（1億2684万円）
1973年ポルシェ911カレラRS2.7ライトウェイト（1億1760万円）
1987年クレマー・ポルシェ962C（1億1452万円）
1964年シェルビー289コブラ（8003万円）
1984年ポルシェ911SC/RS（7695万円）
2004年ポルシェ・カレラGT（7695万円）

と新しいいつものモデルが続いた。

ポルシェ祭りを象徴するようにトップ10の内7台を占めたことからも、希少で特別なモデルが数多く用意されたことが分かろう。このうち1987年クレマー・ポルシェ962Cは、かつてレイトン・カラーを纏いWSPC／SWCを闘ったマシンで、最近のグループCカーによるヒストリック・レースの盛り上がりから人気を集め、1億1452万円まで値を上げたもの。

ちなみに今回のアメリアアイランド・オークションにおける落札率は87.64%と好調で、総落札額は2204万7980ドル（24億6938万円）を記録した。

アメリアアイランド・オークションにはポルシェのほか、マニアックなモデルも数多く用意。アバルトの初期に送り出され10台のみが作られた1955年アバルト207/A（4060万円）、1961年OSCA 1600GT（5477万円）、1970年シトロエンDS21デカポタブル（2948万円）、グループBカーの1984年アウディ・スポーツ・クワトロ（4861万円）が人気を集めた。

このほかBMWも小特集が組まれ、1965年1800Ti/SAから最近見なくなったバヴァリア3.0 S、2002 tii、2002ターボやヤングタイマーで人気のM6、M3、M3 カブリオレ、そして近年の限定モデルまでの10台が用意され、すべてが落札された。

変わったところではレストア・ベースの1960年フェラーリ250GTクーペ・ピニンファリーナが姿を見せ、アベレージ・コンディションの約半値といえる3752万円で終えている。

グッディング・アメリアアイランド・オークション　結果一覧

価格は落札手数を含む額。日本円への換算は、オークション開催当日の為替レートを基に計算。
NS=落札不成立。日本円価格の括弧内の金額は、主催者が発表した予想落札価格。