社会人1年目、ポルシェを買う。

2016.05.21

第13話:乗れるまでのいろいろ。1

ふつうのクルマの買い方だったら、
契約→納車整備→納車というステップを踏むが、
僕の場合は、
唐突に決まる→あわててローン審査
 →あわてて引きとりという流れだったから、
納車整備をしなかったし、
(単にいろいろやっているお金がなかったのと
何かあったらスペシャル・ショップのどこかを
駆け込み寺にさせてもらおうという理由につきる)
保険も駐車場も決まっていなかった。
だから手元に来てからの充足感を味わったものの、
すぐに乗れることができずヤキモキするはめになった。

笹本編集長の、
自宅とは少し離れたところに建ててあるガレージの
空きスペースにひとまず置かせていただくことにして
(さいわい僕の家からクルマで5、6分のところにある)
まずは駐車場から探すことにした。

クルマはすぐそばにあるのに、
駐車場さえないのは、なんだか変な気分だ。

ウェブサイトで探すと安くとも1万5千円から。
もっと安いところがないかと思って実際に歩いてみると
家から徒歩にして30秒ほどのところに、
どこのウェブサイトにも載っていない駐車場があった。
試しに電話してみると、
月々の料金はなんと9千5百円というではないか!

不動産屋さんもすぐそばにあるようなので、
話を聞きにいくと、
そこはプレハブの倉庫みたいな小さな小さな建物で、
そのなかに小さな小さなおばあさんが
ちょこんと座って、そろばんを弾いていた。

「ここしか空いてないのよねぇ」と見せてくれた
鉛筆で書かれた手書きの駐車場の枠は
左右にクルマが停められている。

できれば端がよかったのだけど、
すぐ乗るには贅沢をいってられない。
書類に駐車する予定の車名を書くと、
「ポルセ! あのポルセですか、
 ほらあの、カエルみたいでまぁるいスポーツの!」と
おばあさんの声が明るくなった。

仮契約をした翌日、おばあさんから電話があった。
「あのポルセね、大家さん用の枠に
 停めさせてもらうことにしたわよ」

え、大家さんいいんですか?

「大家さんぜんっぜんこないから
 もともとあってないようなものなのあそこ」

その駐車場がこちら。

 
なんだか特別席みたいだ。
ちなみにこっちの枠は500円安い。
入り口が坂道なのが理由だそうだ。
なのに下はアスファルト。ツイている。

あとでわかった。
亡くなる寸前まで会社を切り盛りしていた
おばあさんの旦那さまはポルシェフリークだった。
たまたま越してきたところの、
たまたま近くにあったウェブに載っていなかった場所で
まさかこんな偶然があるとは。

おばあさんと旦那さまと ‘ポルセ’ に感謝しなくちゃ。

さて、次は保険を決めなくては。
 
 
※今回も最後までご覧になってくださり、
 ありがとうございます。

 お祝いのメッセージ、
 たっぷりいただけたことで
 「あぁポルシェがきたんだな」
 と、あらためて実感いたしました。
 まことにありがとうございました。

 すこしずつ、読者の皆さまと
 なかよしになれている気がすると、
 (ぼくは)思っています。
 
 今後とも、[email protected] まで、
 皆さまの声をお聞かせください。
 もちろん、なんでもないメールだって
 お待ちしております。

AUTOCAR JAPAN 編集部 上野太朗

1991年生まれ。親が買ってくれた玩具はミニカー、ゲームはレース系、書籍は自動車関連、週末は父のサーキット走行のタイム計測という、いわばエリート・コース(?)を歩む。学生時代はフィアット・バルケッタ→ボルボ940エステート→アルファ・ロメオ・スパイダー(916)→トヨタ86→アルファ・ロメオ156(V6)→マツダ・ロードスター(NC)→VWゴルフGTIにありったけのお金を溶かした。ある日突然、編集長から「遊びにこない?」の電話。現職に至る。

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