まだまだ頑張る現役編集長の奮闘録

2016.12.15

懐かしのタイヤ、ミシュランXASをポルシェ356に装着する

ミシュランXASと言えば、我々団塊の世代のクルマ好きにとっては、若い頃の憧れのタイヤであったし、何とか購入できるようになって、実際に使ってみても、その性能や耐久性の素晴らしさは他のタイヤを寄せ付けないものがあったと記憶している。

 

現在では、当時と違い、国内、国外を問わずタイヤの性能は著しく向上し、どのタイヤを選んでも、一定以上の満足度は得られるようになった。しかし、旧いクルマのタイヤは、現在のクルマとはサイズが異なるために、今時の高性能なタイヤは装着できず、むしろ、サイズが合わないために止むを得ず、当時よりも性能の低いものを装着している場合も散見される。

ミシュランでは、旧いクルマ、特にスポーツカー用のタイヤを現在でも少量であるが生産しており、私も最近では、イタリヤ某車用のXWXやPilot Sportを購入しているが、この度、ミシュランより、ポルシェ356用にXASをテストしてみては、とのご提案を頂いた。

 

実は、4年程前に、私のポルシェ356Aカブリオレのタイヤ交換を行う際、ミシュランXASは日本に無く、当時サイズが合うタイヤとして存在した165/15R80サイズのコンチネンタル・コンタクトを装着した。

しかし、いずれはミシュランに、と思っていたので、まだ、7分山が残る現在のタイヤを放棄することにした。XASについては2年ほど前に、ポルシェ社の発行するクリストフォーラス誌で、165/80R15サイズのミシュランXASをクラシックポルシェの純正指定にする、との記事があり、これで、世界的に見ても、供給は問題無くなり、356やナローの911を所有する人にとって、大きな朗報となった。

実際のタイヤ交換は、356の整備で定評のある佐藤自動車にお願いした。と言っても、作業そのものは近くのダンロップの特約店でするのだが、356B以前のホイールはピッチが大きく、スペーサーを噛ませなければバランスが取れないので、やはり、何台もタイヤ交換を行った経験のある慣れた処でお願いするのが一番だ。当時のままのタイヤなのでチューブが入るのも今となっては珍しい。

 

 

久しぶりのXASの感触は、一言で言えば、古巣に帰ってきたような感じだ。ステアリングの切りはじめからの操舵力が一定となり、非常にリニアな感覚が蘇った。当時のポルシェのソフィスティケートされた操舵感の源泉は、常に一定の力加減で、各部の操作ができることと、絶妙なギャップの取り方によるタッチの柔らかさであり、それがステアリングでも再現できたということである。無論、不正路面での当たりも柔らかくなり、乗り心地も向上したが、何よりも、久々のポルシェらしさの実現に嬉しくなってしまった。

 

アストン マーティンDB4 GTの再生産

 
先日、編集部に懐かしい薄茶色の封筒が届いた。表にはタイプライターで打ったと思しき宛名が打たれていたが、住所は間違いなく編集部で、編集長の私の名前も記されていた。しばらく、この手紙を眺めていて、思い出したのは、紛れもなく、私がこの業界に入った70年代の頃、英国のメーカーから偶に送られてきたプレス・リリースそのものであった。

封を開けてみると、古びたレターヘッドの入った用紙に、やはりタイプライターで文章がうたれており、内容は今や希少なスーパースポーツとなったDB4 GTを、新たにシャシー・ナンバーを連番として再生産する、というリリースであった。

 

勿論、紙焼きの写真も数枚同封されており、正に当時のプレス・リリースそのままであったから、これはアストン マーティン社の当時を巧妙に再現した ‘しゃれ’ であることがわかった。レターヘッドや封筒の用紙まで当時の紙とほぼ同じ。

 

そしてタイプライターで文字を打ったり、更には紙焼きの写真にしたりと用意周到で、今回のプロジェクトをどのくらい、アストン マーティン社のスタッフが楽しんでおこなっているかがわかって実に面白かったのである。

 

しかし、翻って考えてみると、当時のことを知らない若手のスタッフは、何のことかわからず、キョトンとしてしまうこと間違い無しで、事実、当社の若手も説明するまでは、理解できなかったのである。

こんなことからも、私は随分と歳を取ったなあ、と感じてしまうのだ。

 
 

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