コラム&エッセイ

2017.04.16

目標はル・マン! 女子大生レーサー日記

[編集部より]

こんばんは。「目標はル・マン!女子大生レーサー日記」の岩岡万梨恵です。今回は今シーズンのドライバーを決めるドライバーズ・オーディションについてです! 今シーズンのレースに参戦出来るのか……。ドキドキのオーディション、ぜひご覧ください!
ぜひご覧ください!

第13話:富士スピードウェイ ドライバーズ・オーディションに参加

1月28日、今年度のレースに誰が乗るか決めるためのドライバーズ・オーディションが行われた。

場所は富士スピードウェイ。

わたしは、12月のパーティー・レース日本一決定戦以来サーキットを走っておらず、少し不安を感じながらの走行だった。

サーキットでは「目線」が重要だから、遠くや周りの景色が良く見え広い視野を保てるよう、前日は目のマッサージをしに初めてマッサージ屋さんに向かい体のメンテナンス。

当日はサーキットまで眼鏡で行き、極力目に負担をかけないようにして気合を入れながらサーキットへ向かった。今年もレースに出たい、誰にも負けたくない。

参加したのは昨年もパーティー・レースで一緒だったえなちゃんを初め、10年以上レースをに参戦している大先輩や昨年一緒にスーパー耐久にスポットで参戦した方々。わたしを含めて計8名のドライバーが集まった。

朝一の1本目。走行はわたしとえなちゃん(北平絵奈美)。

路面は完全ドライだが、真冬の走行経験がなく、「路面は凍結していないよね? 1本目だしタイヤはすごく冷えているはず。まずは縦方向にタイヤを潰して早く温めよう」と判断した。

ピット・アウトしていざ走行開始。縦に、縦に、タイヤを温めることを考えていると、最終セクターに差し掛かったあたりで、目の前には富士山。計測周に入る。

1周目:2分16秒73
2周目:2分15秒51

思うようにタイムが伸びない。路面が冷えているのではないかという心配と久しぶりにロードスターに乗っての走行。感覚が鈍っている。

100Rは様子を見すぎてアクセルを開けるタイミングが遅くなってしまう。13コーナーは以前走った時アクセル・オフでいけてたはず。

こんなことを考えながら少しずつ挑戦していく。
そんな中無線から聞こえてきたのは、

「北平13秒7」

これを聞いて一気に「やばいやばいやばい、このままで終われない、去年の1年無駄にはできない」

闘争心スイッチが入る。

一度ピット・インしエアを少し下げてもらい再びコースへ。

すると、少し後ろにえなちゃんがいた。

「これは後ろにつかせてもらって走行を思い出そう。」

スピードをゆるめ、えなちゃんに抜いてもらい、走行ライン、ブレーキ・タイミングを見る。

Aコーナーの感覚を思い出し、ダンロップ・コーナーもコーナー入口で広く入ること、そしてなにより絶対にえなちゃんについていく!

2周ほどしたところタイムは2分14秒0。

昨年の富士スピードウェイでの自己ベストはNEWタイヤで2分14秒426。中古タイヤで自己ベストは更新できたものの、まだまだえなちゃんの記録は超えていない。

「もう少し、もう少し」

そんなことを考えながら走行し、13コーナーでもう少しスピードをあげてみよう、と挑戦すると、コーナリング・スピードが高いものの、そのままアクセルを開けてしまったためオーバー・スピードでお尻が流れてスピン。そして走行時間が終わってしまった。

走行を終えるとえなちゃんまで0.3秒届かなかったことがわかった。あと0.3秒。もう少しなのに。絶対抜きたい。

走行後、落ち着く前にすぐ車載映像を見返してイメージをつくりなおす。

しかし、今日のライバルはえなちゃんだけではない。
10年以上キャリアを持つ方々がこれから走行。最後まで気が抜けない。

次々と走行していき、6人が終了時点で現在2番手。

4本目の走行ではパーティー・レース大ベテランで優勝経験のある年上の大先輩が走行予定。

井原先生とコーナーで走行を研究し、タイムを計る。

2分20秒、18秒、17秒…どんどん刻んでいき、16秒台。

時間は残り5分。

「先輩がわたしのタイムを抜いてしまう前に、早くセッションがほしい。時間よ、早く過ぎろ!」

もちろん他力ではどうにもならないことはわかっているけれど、心の声が出ていたらしく井原先生に笑われた。

走行時間が終わりピットに戻りタイムを確認。なんとか2番手を死守できた。

「よかったー、なんとか逃げ切ることができた…点」

ほっとしているのも束の間、最後のスティントは1人10分しか与えられず2周のみタイム計測。

ここでタイム出さないと。

気合を入れなおして、クリア・ラップを取るため10分前にピット・アウト・ラインへ。

走行が始まり計測ラップ2周目。最後のチャンスと思っていると後ろからきた車と少ししかスピード差がないためひっかかってしまう。

わたし自身も「今計測ラップだからひけないし!」と思いそのまま走行を進めると2分17秒台。もうこれでピットに戻らなくてはいけない……。正直、とても焦っていた。

「このままタイムが出ないと去年までの頑張りが水の泡となる……」そう思いながら1コーナーを抜けると、さっきよりもスムーズに曲がれたことに気づく。

Aコーナーでもスピードを乗せながら曲がることができた。これはいけるんじゃ?」

本当はピットに戻らなければならないところ、タイムが出なかったことが本当に悔しくて、一回交渉してみようと願を込めながら無線で

「すみません、もうピット・インの周なのですが、良いタイム出そうなので最後の一周しても良いですか?」

泣きの一回をお願いして、わたしの声が必至すぎたのかそのまま走行させてもらえることに。

結果は、2分15秒5、タイムは伸びたが自己ベストは更新できずピットイン。

悔しい結果で一日が終わった。

全員の走行が終わり、あとは結果発表を待つのみとなった。

レーシングドライバー 岩岡万梨恵

1993年生まれ。父がレース好きで3歳からF1を見に行く。現在マツダ・ウィメン・イン・モータースポーツに在籍し、今年からロードスターのスプリント・レースに参戦。幼少期から器械体操を続けて得意技はバク転、Y字バランス。趣味は旧車を眺めること。将来は井原慶子さんのようなル・マン女性ドライバーを目標とし、老後はヒストリックカーのレースで楽しむことも夢。