クルマ漬けの毎日から

2023.02.16

ジョン・クーパーといえば、1950年代にF1のコンストラクターとして名を馳せ、また1961年にミニ・クーパーを誕生させた立役者の1人ですが、「ホンダ」とも関わりがありました。

ジョン・クーパーとホンダNSX【クロプリー編集長コラム】

もくじ

ホンダNSX 90年代後半モデル
クーパーのレーシングカー
NSXを私に納車した人物

translation:Kaoru Kojima(小島 薫)

ホンダNSX 90年代後半モデル

関連のないいくつかの出来事が、思いがけずつながる。そういうことが時々あるが、これには驚かされる。

今日クルマを運転していた時、1990年代後半の素晴らしいホンダNSXの後ろをしばらくの間走っていた。

そのボディカラーはゴールドとブラックで、1998年に私が3万mile(約4万8280km)運転したNSXと実によく似ていた。

クーパーのレーシングカー

そのNSXの後ろを走った数時間後、今度は友人がいきなり、Cooper Carsという、ダグ・ナイが執筆した素晴らしい本(1986年出版)のことを話し始めた。

クーパーカーは、私にとって重要なクルマだ。というのも、チャールズとジョンのクーパー親子の伝説と、彼らのミドシップのレーシングカーとともに、私は育ったからだ。

1959年のモナコ・グランプリで勝利したクーパーのレーシングカー。ドライバーはジャック・ブラバム。

クーパーのレーシングカーは、F1グランプリで16回優勝している。また、クーパーのチームはコンストラクターズ・チャンピオンの座を2度獲得(1959年と1960年)。さらにジャック・ブラバムが、クーパーのレーシングカーでドライバーズ・チャンピオンに2度輝いた(1959年と1960年)。

クーパーが生み出した新たなレイアウトのレーシングカーは、F1を永遠に変えたのだ。

NSXを私に納車した人物

驚いたことに、1998年にNSXを私に納車したのは、ジョン・クーパーその人だったのだ。

1990年代後半、クロプリー編集長にホンダNSXを納車し、ボンネット裏側にサインするジョン・クーパー氏。

当時、彼はホンダの販売店をウェストサセックス州のフェリング(イングランド南部)で営んでいた。この販売店で私はNSXを受け取ったのだ。

クーパーは、彼の有名なサインをNSXのフロントリッドの内側にしてくれた(その昔、ミニ・クーパーのボンネットには、よくジョン・クーパーのサインが書かれていた)。

ジョン・クーパー氏とミニ・クーパー・グランプリ。ジョン・クーパーのレーシングチームが最初にF1チャンピオンになったのは1959年。その35周年の1994年に発売された限定モデルのミニ・クーパー。

ジョン・クーパーは、彼のレーシングカーがF1を変えたことに誇りをもっていたし、また真剣に取り組んでその功績を成し遂げた人だった。

だが一方で、彼は悪ふざけをする人としても知られていた。

ある時、クーパーはライビーナという果汁飲料を、F1マシンのラジエーターにこっそり入れているところを(わざと)目撃された。

そして、数人の目撃者たちにこうささやいた。この液体にはエンジンを冷却させる効果があると。

これを聞いて、みなが同じことをしたという。この果汁飲料は糖分をたくさん含み、必ずしも健康に良いとはいえなかったが、クルマの冷却システムにも良い影響は与えなかったにちがいない。

記事に関わった人々

  • 執筆

    スティーブ・クロプリー

    Steve Cropley

    AUTOCAR UK Editor-in-chief。オフィスの最も古株だが好奇心は誰にも負けない。クルマのテクノロジーは、私が長い時間を掛けて蓄積してきた常識をたったの数年で覆してくる。週が変われば、新たな驚きを与えてくれるのだから、1年後なんて全く読めない。だからこそ、いつまでもフレッシュでいられるのだろう。クルマも私も。

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