クルマ漬けの毎日から

2023.06.04

クルマの品質が高いレベルにある現在、「良いクルマ」が昔よりもずっと多くなりました。スタイリングが良くないからといって、必ずしも「ダメなクルマ」とは限りません。今週、そういう1台に出会いました。

ミニ・カントリーマンを運転して感じたこと【クロプリー編集長コラム】

もくじ

難しくなった クルマの評価
見た目とは 裏腹

translation:Kaoru Kojima(小島 薫)

難しくなった クルマの評価

世の中が進むにしたがって、クルマの品質はますますレベルアップしている。そして、いわゆる「ダメなクルマ」はめっきり減った。

だが、このことが、私たちジャーナリストの仕事を難しくしていると思うことがよくある。

昔は、成功が見込まれるクルマとそうでないクルマとを、比較的容易に見分けることができたものだった。しかし、今はそうはいかない。

クロプリー編集長が今週運転したミニ・カントリーマン(クロスオーバー)・クーパーSEオール4(英国仕様)。

そして今日、そのことを再認識する究極の1台に出会った。

妻のミニ・クーパーS(総走行距離2万8000mile[約4万5060km])を点検のために地元の販売店へ持って行ったところ、代車としてPHEVのミニ・カントリーマン(日本名:クロスオーバー)・クーパーSEオール4を貸してくれたのだ。

見た目とは 裏腹

カントリーマンはイギリスでは「ファット・ミニ(でぶミニ)」と呼ばれたりもしているが、白状すると、私はこのミニを見るといつも、なんだか犬のようだと思っていた。

あまりにも不恰好なので、カントリーマンを見たあとでスーパーで売っているゴツゴツしたジャガイモを見ると、ジャガイモのほうがよっぽどスタイリッシュで、マルチェロ・ガンディーニがデザインしたのかもしれないと思えたりする。

ミニ・カントリーマン(クロスオーバー)・クーパーSEオール4(欧州仕様)

だが、カントリーマンを運転してみると、走り始めて1kmもしないうちに、優秀なクルマだとわかった。

乗り心地は硬めだが、路面の衝撃をよく吸収する。それに、速くて快適なのだ。

ミニ・カントリーマン(クロスオーバー)・クーパーSEオール4(欧州仕様)

ほどよい重さのステアリングホイールは正確にコントロールでき、ロードノイズも低く抑えられている。

それにダッシュボードのディナープレートのような大型メータは、どのような状況でも機能的で使いやすい。

ミニ・カントリーマン(クロスオーバー)・クーパーSEオール4(欧州仕様)

とはいえ、今もカントリーマンを手に入れようとまでは思っていない。

だが最近は、運転後に「予想以上に良かった」と思えるクルマが増えていると、あらためて実感した。

優秀なクルマが増えたことで、自動車ジャーナリストは昔よりも優劣の差が少なくなったクルマの違いを論じなければならない。いったいどうしたものか……

記事に関わった人々

  • 執筆

    スティーブ・クロプリー

    Steve Cropley

    役職:編集長
    50年にわたりクルマのテストと執筆に携わり、その半分以上の期間を、1895年創刊の世界最古の自動車専門誌AUTOCARの編集長として過ごしてきた。豪州でジャーナリストとしてのキャリアをスタートさせ、英国に移住してからもさまざまな媒体で活動。自身で創刊した自動車雑誌が出版社の目にとまり、AUTOCARと合流することに。コベントリー大学の客員教授や英国自動車博物館の理事も務める。クルマと自動車業界を愛してやまない。

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