RETROMOBILE 2017 Part-2

2017.02.08〜12

text & photo:Kunio Okada (岡田邦雄)

 
フェラーリ編に続き、レトロモビルでその存在を主張していたF1マシンとレーシング・スポーツカー、ワンオフ・モデルを始めとする貴重なクルマたちをお目に掛けよう。

今回のレトロモビルの展示車で、いちばん嬉しい驚きだったのが、コスワースの4輪駆動F1である。マクラーレンでレーシングカー開発のノウハウを学んだロビン・ハードを抜擢して制作した実験的なF1であり、実戦には登場しなかった。その当時、英国のオートスポーツ誌に掲載されていた小さな写真を見つけ、同時代の葉巻型のF1とはまったく違う斬新なデザインにときめいた記憶が蘇ったのである。それを先鞭にロータス、マトラ、マクラーレンも4輪駆動のF1を開発したのだった。そのうちのロータスやマクラーレンまでもが飾られているではないか。おまけにマーチ6輪車やティレル6輪車も! こういう思いがけない出会いがあるのも、レトロモビルのわくわくするところである。

英国のビューリー自動車博物館のブースに展示されていたGNを見ることができたのも嬉しかった。第1時世界大戦前に操業が始まり、独特なチェーン駆動を採用した英国ならではのライトウェイト・スポーツカーだ。ちなみにフランスの飛行機エンジン・メーカーであるサルムソンは、GNをフランスで生産するところから自動車メーカーとして出発した。

またドイツ車やイタリア車の展示も多く、貴重なプロトタイプやカロッツェリアの1品制作のショーカーを見ることができるのも、レトロモビルの嬉しいメリットと言えよう。

  • 1960 年アルファ・ロメオ 6C 3000 CM スーパーフロウ Ⅳ。戦前の超弩級アルファ・ロメオの衣鉢を継ぐ6C3000CMがベース。

  • 戦前の血筋を色濃く受け継ぐ6C3000CMは、1953年のミッレ・ミリアではトラブルに見舞われなければ圧勝していたパフォーマンスを有す。

  • 6C 3000 CM スーパーフロウ Ⅳのリヤは、後に登場するデュエットの原型的なデザインで、今回のレトロモビルで最も美しいクルマだった。

  • アルファ・ロメオ2600SZのプロトティーポは、アレーゼのアルファ・ロメオ・ムゼオから運び込まれた。

  • 1960年のアバルト・レコードカー は、ピニンファリーナの風洞でスタイリングを徹底的に突き詰められた。

  • フィアット・アバルト1000ビアルベーロは、アバルト自製のビアルベーロ(DOHC)エンジンを持つ。

  • レイモンド・ロウィが自身のためにデザインしたランチア・フラミニア・ローライモ。具現化を担当したのは名カロッツェリアのロコ・モットである。

  • ランチア・フラミニア・ローライモは1960年のパリ・サロンで発表されると、自動車業界のみならずデザイン界でも大きな反響を呼んだ。

  • 見る角度によって、様ざまな表情を持つ。リヤはアヴァンティのデザインと共通するモチーフが見られる。ルーフ・エンドのウィングが先進的だ。

  • 評価高まる1975年ランボルギーニLP400カウンタック・ペリスコピカ。

  • この365BBは上品なファブリックの内装を持つごく初期の1台。

  • 308GTBのグループ4ラリーカー。パイオニア・カラーが有名だった。

  • 1968年のビッザリーニ5300GT アメリカは、GTOイーターとして近年、再評価されている。

  • 5300GTの弟分1900GTはオペルのエンジンを搭載。1969年に僅か12台のみが生産するにとどまる。

  • 同じくビッザリーニが開発したISO の最強版グリフォ7.4ℓ カンナムも評価が上がった。

  • 1969年のランボルギーニ・エスパーダ初期型 はオリジナル・デザインの凝ったインテリアが魅力的。

  • 1954年のランボルギーニDL25Nは、自社製造の2気筒ディーゼル・エンジンが搭載されていた。

  • 1958年にモンツァで開催されたインディ・レースに登場したマセラティ420Mのギヤボックスは2段のみ。

  • 1968年 コスワース4WD F1。マーチ711のロビンによる最初のスケッチはこれに近いイメージだったが、コスティン流空力ボディに変更となった。

  • 1969年ロータス63 4WD。インディで4WDの経験を得たコリン・チャプマンは49に代わるマシンとし1969年の幾つかのレースに出場させた。

  • 1969年マクラーレンM9A 4WD。マクラーレンはイギリス GPにデレック・ベルの操縦で走らせたが、リタイアに終わり、以後、姿を見せなかった。

  • 生沢徹のロータス69。1970年のホッケンハイムで2位となったマシン。

  • 1976年に成功を収めたティレルP34だが、1977年は振るわなかった。

  • マーチの6輪実験車。空力的なメリットはあっただろうが…。

  • コスワース 4WD F1の透視図。エンジン前面から動力が分配される。

  • ロータス 63 4WD F1の側面図と平面図。駆動系のレイアウトも分かる。

  • マーチ 6輪F1実験車と通常の4輪タイプを比較した2面図。

  • 今年はデビッド・ブラウンの元で生まれたアストン・マーティンDBシリーズも70周年を迎えた。

  • ほとんどのGNはJAPの2気筒エンジンだったが、これはカーチスV8航空機エンジンを搭載!

  • クーパー出身のブルース・マクラーレンが最初に開発したM1Aの発展型となるM1B エルヴァ。

  • クレマーが1981年のル・マンのために新たに造ったポルシェ917K81。

  • エビータ・ペロンの信奉者がカレラ・パナメリカーナを走った356。

  • メルセデス・ベンツが1969年に発表したヴァンケル・エンジン実験車C111。

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