イベント・レポート

2017.06.18

第17回 Tokyo Bayside Classic Cup

[編集部より]

首都圏からほど近くで愉しめる、フレンドリーなヒストリックカーのサーキットイベントとして人気のTokyo Bayside Classic Cup。6月18日は第17回目にして第5シーズンの初戦となりました。今回は希少な戦前車、1929年型「アミルカーCGSS」も登場、注目を集めました。

text & photo:Daisuke Ebisu (戎 大介)

さらなる盛り上がりが期待されるヴィンテージクラス

TBCCでは1972年までに生産された車両(およびその継続生産車)を対象に、袖ヶ浦でのベストラップタイム別にクラス分けされたカテゴリーで競われるレース形式走行の他、スポーツ走行枠も用意されているが、とりわけ戦前生産車と戦後のリジッドアクスル車はヴィンテージクラスとして区別されている。ヴィンテージクラスには毎回5〜8台ほどの戦前車が参加しており、今回は6台の名車たちがパドックに登場した。

ヴィンテージクラスの今後の展望について自身も1935年型MG PBで参加しているTBCC実行委員の田中伸一さんに伺ってみた。
「現在はまだタウンカーもレースカーも混成でのスポーツ走行ですが、参加車両が15台くらいまで増えればクラス分けやレース形式走行の可能性も見えてきますね」

車齢80年近い戦前車をサーキット走行が可能なコンディションに保つには、多大なる労力と情熱が必要となることが察せられるが、今後いっそうの盛り上がりが期待されるカテゴリーである。

戦前の小さなGTカー、アミルカーが走る

毎回珠玉のヴェテランカーが揃うヴィンテージクラスで、今回特にエンスージァストたちの目を惹きつけた1台のクルマがあった。それが「1929年型アミルカー CGSS」。アミルカーは1920年代にフランスで流行した “サイクルカー” と呼ばれるカテゴリーの小型・軽便な自動車で、その素性の良さを活かして生み出されたグランドツーリングカー CGSSはレースやラリーでも活躍したという。わが国に上陸して日も浅いというこのアミルカーは、現オーナーが欧州の高名なコレクターから譲り受けた車両で、完璧ともいえるコンディションであった。

この車両のオーナーはアミルカーの他にも数多くの名車を所有、「第1回日本グランプリの時には友人とスバル360で鈴鹿まで観に行ったよ」なんてエピソードも飛び出してくるクルマ趣味の大先輩である。わが国におけるモータースポーツを黎明期から愉しんできた粋人は、袖ヶ浦のコースでこの稀少な名車の走りを存分に堪能されていた。


今回登場したアミルカー CGSSのプリペア、メンテナンスを担っているのはスペシャルショップのラ・コルサ・テクニカ。同社代表の佐藤 択さんも車両オーナーよりステアリングを託された1933年型MG Cタイプ・モンテリ・ミジェットで出走していた。様々な年代の車両をサーキットで走らせてきた佐藤さんに戦前車の運転について尋ねてみた。

「戦前のクルマは細いタイヤやシンクロ機構を持たないトランスミッションをはじめ、現代のクルマとはかなり勝手も異なります。現代車ではクルマ側のサポートのおかげで何気なく行える操作のひとつを取っても、戦前車では機械との細やかな対話が要求されます。それをスムーズに速く走らせることができたときに得られる刺激は、洗練された現代のクルマにはないものですね」

限られた性能を引き出すためには高度で危険な作業が必要であった戦前のクルマ。産業技術(と自動車文化)が芽吹き出した頃の先進技術と先人の気概に想いを馳せながら、手作りの宝物のようなクルマを走らせる・・・・・・まさにクルマ趣味の極みといえるだろう。

今回のTBCCは朝こそ薄曇りだったものの、おおよそ2回目の走行枠、各クラスの決勝が始まる頃には雨が降り出し、スーパー/ハイパー・クリスタル・カップ決勝の時点ではヘビーウェットのコースコンディションとなった。しかし、大きなクラッシュなどもなくレースが進行したのは、TBCCのレースカテゴリーがそれぞれに同じぐらいの走行タイム別に分けられているという部分も大きいといえるだろう。

なお、次回のTBCCは9月10日(日)の開催となる。詳細に関してはTBCC公式サイトをご覧いただきたい。
 

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