ペブルビーチ・コンクール・デレガンス 「フェラーリ・ワンオフ・スペシャル」

2017.08.20

世界に数あるコンクール・デレガンスの頂点に位置するのがアメリカのカーメルにあるペブルビーチ・ゴルフリンクスの18番ホールで行われるペブルビーチ・コンクール・デレガンスです。世界中から特別なクルマたちとギャラリーが集まり、太平洋を望むグリーンの上でその美しさを競いました。

text & photo:Motohiro Yamazaki(山崎元裕) photo:Yasuhiko Sato(佐藤靖彦) Pebble Beach Concours d’Elegance

67回目を迎えたペブルビーチ・コンクール・デレガンス

記念すべき第1回目の開催が1950年。今年でその歴史も67回を数えるに至った、世界屈指のコンクール・イベント、ペブルビーチ・コンクール・デレガンスは、やはりモントレー・カーウイークの中でも特別な存在だった。ちなみに会場となるペブルビーチ・ゴルフリンクスがゴルフコースとして休業するのは、1年の中ではこのコンクール・デレガンスが開催される日曜日のみ。夜明け前からエントラントが18番ホールに参加車を搬入する姿も、ファンにはすでにお馴染みの光景だ。

ペブルビーチ・コンクール・デレガンスには、日曜日のコンクールのほかにも魅力的なサポートイベントが用意されている。木曜日にはコンクール・デレガンスの参加車がモントレー半島をドライブする「ツアー・デレガンス」を楽しむこともできるし、ペブルビーチ近くのスパニッシュ・ベイのホテルでは、さまざまなオートモービリア=自動車雑貨の販売が行われる、レトロオートが木曜日から土曜日までのスケジュールで開催される。これらのイベントを巡るだけでも、モントレー・カーウイークは十分に楽しめるのだ。

今年の特集は、フェラーリとイソッタ・フラスキーニなど

ペブルビーチ・コンクール・デレガンスの面白さは、やはり特集されるメイクスやモデルが、毎年変わることだろう。2017年はフェラーリの70周年や、カスターニャのコーチワークによるイソッタ・フラスキーニ、そしてリンカーン・コンチネンタル、1960年代のアメリカン・ドリームカーなどが特集されたが、とりわけグランドツーリング、コンペティション、メジャー・レースウィナー、ワンオフ・スペシャルの4クラスが用意されたフェラーリには熱い視線が注がれていた。さらにフェラーリ自身も、このコンクール・デレガンスに併せて、独自に70周年イベントをペブルビーチで開催。それはまさにこの週末のためだけのミュージアムといった印象だった。


70年の歴史を物語る、貴重なクラッシックが並んだフェラーリのクラスで、最も注目されたのは、やはりワンオフ・スペシャルということになるだろうか。フェラーリは近年、特別なカスタマーからのリクエストで、ワンオフモデルを製作することに積極的で、そのいくつかの作例は、例のフェラーリによる70周年イベントでも、その姿を見ることができた。だがペブルビーチ・ゴルフリンクスの18番ホール、しかも太平洋を背にするメインステージに並べられた、かつてのワンオフモデルの姿は、それ以上の感動を与えてくれるものばかりだった。このチャンスを逃せば、あるいはそれを二度と見ることはないのかもしれない。このような一期一会の感情も、ワンオフモデルの前からなかなか歩を進めようとは思わなかった理由なのかもしれない。
 

記事に関わった人々

  • 山崎元裕

    Motohiro Yamazaki

    1963年生まれ。青山学院大学卒。自動車雑誌編集部を経て、モータージャーナリストとして独立。「スーパーカー大王」の異名を持つ。フツーのモータージャーナリストとして試乗記事を多く自動車雑誌、自動車ウェブ媒体に寄稿する。特にスーパーカーに関する記事は得意。

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