【飯田章と吉田拓生が吟味】MC20チェロとグランカブリオ 2台のオープン・マセラティから仰ぎ見るブランドの今
公開 : 2025.06.02 11:05
今年で創業111周年を迎えたマセラティ。その中核となるオープンモデル、『MC20チェロ』と『グランカブリオ』に、飯田章と吉田拓生がそれぞれ試乗します。2台から見えてきたブランドの今とは。

もくじ
円熟味を増したマセラティ・ブランド

イタリアはモデナに息づくラグジュアリーカーメーカーである『マセラティ』。今年で創業111周年を迎える老舗は現在、バランスの良いラインナップを揃えている。
ブランドを象徴するのは、もともとレーシングカー作りに端を発する史実を今日に伝えるスーパースポーツモデル、『MC20』と『MC20チェロ』である。

その脇を固めるのは、昨年デビューしマセラティならではのスポーツ性能と優雅さが盛り込まれた1台として話題の『グランカブリオ』と先にデビューした『グラントゥーリズモ』、ブランドの個性をクロスオーバーSUVスタイルのボディに落とし込んだ『グレカーレ』。これらの5台が中心となって、今のマセラティ・ブランドが形成されている。

クルマ好きにとって何より興味深いのは、その心臓部だろう。2020年にカーボンファイバー製のモノコックを核とする『MC20』とともにデビューした3LのV6エンジン、それは『ネットゥーノ』と呼ばれる。

F1をはじめとするレーシングカーの世界では常識となっているテクノロジーだが、プロダクションカーでは誰も実現できなかったプレチャンバーによる燃焼システムを含む、100%メイド・イン・モデナのまさに銘機といえよう。

一方、2年連続でフォーミュラEの東京E-Prixを制して見せ、電動化技術へのアプローチも隠さないマセラティ。だがその軸足が今なお純ガソリンエンジンに置かれているように見えるのは、クルマ好きの贔屓目だろうか?

今回はあらためて、ネットゥーノを搭載した現代のマセラティを代表する2台、グランカブリオとMC20チェロを連れ出して、その仕上がりを確認してみることにした。