超・徹底解説 マツダCX-5

公開 : 2016.12.15 03:50

CX-5児玉眞也主査に聞く

こつこつとした改善を行ったニューCX-5

屈強な骨格と強靱な筋肉、それらを包み込む吸い付くような柔らかさを備えた肌。それはすべて黄金比の妥協なきバランスでまとまる。「魂動デザイン」を雰囲気で表するならこんな感じだろう。「人馬一体」やSKYACTIVテクノロジーにしても、設計に込められたマツダのこだわりである。「違えてはならない枠組み」と換言してもいいだろう。それを厳密に運用すれば他社に対しては個性的でも社内相対では没個性になる。所謂「金太郎飴」と言うやつだ。新型となるCX-5で最も気になったのはそこである。新旧をどう変えるか、フル・モデルチェンジらしい進化や違いを演出できるかである。

その問いについて開発主査の児玉眞也氏に伺ったところ、「CX-5(従来車)を出してから、お客さんや市場の要望に合わせて改善した部分もありますし、日々改善されてきたマツダ技術の最新状態を取り込むという両方があります。」とのこと。

児玉氏は続けてユーザーからの要望で改善した例として後席リクライニングを挙げている。後席着座姿勢の自由度向上は新型CX-5の開発コンセプトを理解する上の要点のひとつである。後席乗員も含めた全員が心地よくドライブできることが新型CX-5の狙いのひとつ。その中にはGVC(G-ベクタリング・コントロール)や小さな踏み込みでのわずかな加速反応の違いもあれば、風切り音や車外騒音も含めた静粛性の改善などの総合的な快適性も含まれる。児玉氏の話や資料から見えてくるのは「クロスオーバーSUVとして」ではなく、同等クラス以上のセダンやステーションワゴンと比して勝るとも劣らないクルマで過ごす上質な時間へのこだわりだ。

個人的には諸手を挙げて賛成だが、肌身感覚の馴染みがいい走りは操る楽しみに欠けると錯覚されやすい。瞬間瞬間の対応に操る手応えを求めるマニアも少なくないだろう。この点について児玉氏は「素直すぎて詰まらないんじゃないか、とか下手な人を甘やかして運転技術が進歩しないんじゃないかとか言われる方がいらっしゃるのも事実です。今回のCX-5では販社のみなさんに、滑らかな運転とは何なのか、ということを理解してもらうことから始めました。それを理解してもらえれば我々の狙いも分かってもらえると思います。」と述べている。

SKYACTIV-Dを中心とした走行ハードウェア面の進化に盛り込まれている要素の大半は先日マイナー・チェンジしたデミオやCX-3、あるいはアクセラと共通している。最新仕様にバージョンアップは当然だが、CX-5はフル・モデル・チェンジである。何らかの上乗せも期待してしまうが、児玉氏によればそれは当然とのこと。

ただ、改善点は多々あり、大ネタ一発でドンっと向上という類でないのは前記したとおり。児玉氏の表現を借りるなら「こつこつ」としたソフトウェアの改善の積み重ねによる。「こつこつ」の中にはSKYACTIV技術の基本的な部分もあれば、CX-5への適合性を高める部分もあるだろう。分割噴射等のディーゼルの噴射制御による静粛性の改善やEGRのバイパス制御精度向上による過給タイムラグの減少、中立から切り込んだ時の操舵反力の適正化や騒音の車室侵入対策等々と細かな改善が盛り込まれているが、それらをさらに磨き込み、不快や違和感を極力低減させている。


 
 
 

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