ブルーに染まるベントレー ベンテイガ×3.5リッター・クーペ クルマ作りの本懐
公開 : 2019.07.09 19:50

第2回:100年前のクルマ雑誌 ベントレーをどのように伝えた? 誌面を振り返ってみた
第3回:よく聞く「ブルートレイン」 一体なに? コンチネンタルGTが末裔 そのワケ
第4回:90歳の「年の差」 2台のベントレーに「初志」を見いだせるか? 実車で検証
晴天の初夏。頭上に広がる空とおなじブルーに染まった2台のベントレー。ベンテイガと3.5リッター・クーペだ。2台を同時に試乗することで、筆者はある事実に気づいた。
もくじ
ー ベントレーに流れ込む新たな潮流
ー 時代を越えて響く「ベントレー思想」
ー それでもユーモアを忘れない貴族のように
ベントレーに流れ込む新たな潮流
自動車ジャーナリズム的な穿った見方をすることで見える真実も確かにある。
ブランドの枠を越えて部品を共用し、車体やエンジンの設計にも将来的な伸びしろを含めることで、コストの削減に努める。
工業製品としての正義はもちろん、自動車世界の常識でもある。
そのような流れの中にあって、今なおベントレーのような老舗ブランドが伝統的な物作りに精を出し、眼の肥えたファナティックたちからの支持を集めている事実は興味深い。
小山のようなシルエットだけを見て、ベントレー・ベンテイガを今どきのSUVとして括ってしまうべきではないだろう。

ベントレーのプロダクションカーはいつの世代も過去のアーカイブと結びつくことで、他とは異なる時間軸の中で独自の進化を遂げている。
豪奢なベントレーの世界観に、電子制御AWDの類稀なる走破性とシューティングブレーク風のラゲッジスペースを追加した新時代のモデル、それこそがベンテイガなのである。
ベントレーの歴史を振り返れば、いくつかの潮目を窺い知ることができる。新たな時代の到来を予感させるベンテイガの誕生は、ダービーに工場を移した、いわゆるダービー・ベントレーの時代を重ね合わせると理解しやすいのかもしれない。


ジェットストリームIIと呼ばれるさわやかなブルーのベンテイガV8の横に佇む、2トーンのブルーが眩しい1935年式のベントレー3.5リッター・クーペbyバーカーは、スポーティなスタイルと貴族的な雰囲気が共存する、ベントレーの新時代を象徴として捉えられていたのである。