ベントレー・コンティネンタルGTC V8

■どんなクルマ?

Autocarでは、シルバーストン・サーキットでプロトタイプのGTを走らせた経験はあるが、新しいV8パワーユニットを得たコンティネンタルGTC V8の一般路上における試乗は初めてだ。

新しいツインターボ4.0リッターV8エンジンは、コンティネンタル・クーペとコンバーチブル、両方のボディに用意される。このエンジンは2008 年にデビューした6.0リッターのW12エンジンと比べて、燃費、Co2排出量とも40%もの向上が図られているという。最新のアウディS8に搭載されているものと基本的には同じだが、ベントレーでは若干ならがマキシマム・パワーを落とし、その代わりにトルクを増すセッティングがされている。ベントレー仕様で、500bhp/6000rpm、66.4kg-m/1700rpm-5000rpmのパワー、トルクという値をマークする。GTCの場合、燃料消費率は11km/l、Co2排出量は254g/km、GTの場合は11.5km/l、246g/kmとなる。

ベントレーが「バリアブル・ディスプレイスメント」と呼ぶ可変シリンダーが、燃費とCo2排出量の高い値を稼ぎ出している。別名「シリンダー・ディアクティベーション」と呼ばれるそれは、軽負荷時にそれぞれのバンクの2つのシリンダーを休止させ、V4エンジンとして稼働するという仕組みだ。その切替は40ミリ秒で行われるので、ドライバーにその切り替えには気づかないだろう。

V4モードでのノイズとバイブレーションという潜在的問題は、スイッチで切り替え可能な油圧エンジン・マウントと、エグゾースト・システムからの吐き出される慎重なチューニングのサウンドによってまったく気にならないものとしている。アウディS8に採用されているアクティブ・エンジン・マウントとアクティブ・ノイズ・キャンセルをベントレーはあえて採用しなかったという。

また、燃料消費率をあげるために、W12に組み合わせられる旧式の6速オートマチックに変わって、V8では8速のオートマチック・ギアボックスが用いられている。但し、S8で採用されたストップ・スタート・システムがベントレーには採用されない。これはパッセンジャーの快適性という点からして、あまりにも有害だと考えたからだ。

V8コンティネンタルは、すこしばかり垂直に立ったブラックグリル、赤いバッヂ、よりアグレッシブなフロント・パンバー、8の字型のエグゾースト・パイプなどで、W12との差別化を図っている。また、いくつかのV8オリジナルで用意されるボディカラーとトリム、よりベンチのようなシートに付けられた短いセンターコンソールなども異なるところだ。

V8コンティネンタルは、W12よりも10%ほど安い価格で、クーペが123,850ポンド(1,482万円)から、コンバーチブルが136,250ポンド(1,635万円)からという値段が付けられている。英国での販売は両モデルとも5月からになる。

■どんな感じ?

おそらく今までもっともスポーティなベントレーだろう。それはエンジンを始動させた瞬間からわかることだ。地響きを立てるようなアイドリングでのサウンドが、エンジンの回転を上げるにつれ素晴らしいうなりに変わる。そのサウンドはW12よりも積極的でカリスマ的だ。それはV8とW12の性格の違いを表現している。そして、そのV8サウンドの咆号はキャビンの中よりも外側で聞くほうが魅力的だ。

確かにそのスタート時のパワーはW12にはかなわないかもしれない。しかし、一般公道においては、ドライバーがベントレーに期待するだろうフレシキブルで十分なパワーを出してくれる。そして、キビキビとしたスロットル・レスポンスとギアチェンジで加速して行ってくれる。間違わないで欲しい。GTCは0-100km/hが5.0秒、そして300km/hの最高速を持つ、とてつもなく速いクルマなのだ。

シリンダー・ディアクティベーション状態であること、つまりV4で動いていることは、サウンドからもフィーリングからも見分けることはできない。実にスムーズでとてつもなく静かだ。それでいて、必要なときに必要なパワーが出てくる。V8からV4に変化したことも気付かない。その移行はシームレスだ。

W12に比べてフロントアクスルへの荷重が25kg少ないV8コンティネンタルの特徴はすぐに分かる。GTC自体は2740kgのヘビィ級であるが、素早くなった感じが顕著に感じ取れる。方向を変える時のシャープで軽いフィーリングはステアリングとサスペンションのチューニングの見直しによるものだろう。

すべての点で、GTC V8はW12と同等の素晴らしさを持つ。素晴らしいハンドクラフトの優雅で贅沢なキャビン、フードを上げた時のクーペのような居住性など、すべてにおいて印象は良く、機敏なハンドリングとサウンドが喜びを与えてくれる。更に、W12と比較すると、馬鹿にならないほどのランニング・コストの圧縮がされている。これは、V8を購入する大きな動機の一つになろう。

コンティネンタルは、最高水準に近いV8パワーを手に入れたことによって、寛大な時代遅れのおもちゃから、完全にコンペティティブで、スポーツ・ラグジュアリーなクルマになったといえよう。

■「買い」か?

ベントレーは頑固にW12エンジンを、忠実な顧客のために開発を続け、高価なバージョンを作り続ける。しかし、そうでない顧客にはV8を選択しない理由があまり見つからない。価格も安く、燃費も良く、燃料タンクを満タンにした時の走行距離が倍近いのだから。ボディスタイルが好みでないのであれば別だが、コンティネンタルV8は、現在ベントレーが製造する最高のクルマであろう。

(アラン・ミュール)

ベントレー・コンティネンタルGTC V8

価格 136,250ポンド(1,635万円)
最高速度 300km/h
0-100km/h加速 5.0秒
燃費 11km/l
Co2排出量 254g/km
乾燥重量 2470kg
エンジン V8ツインターボ3993cc
最高出力 500bhp/6000rpm
最大トルク 66.4kg-m/1700rpm-5000rpm
ギアボックス 8速オートマチック

 
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