ロールス・ロイス・ファンタム・ドロップヘッド・クーペ

公開 : 2012.06.16 16:25  更新 : 2017.05.29 19:25

■どんなクルマ?

ロールス・ロイス・ファンタム・ドロップヘッド・クーペのシリーズIIモデルは、そのルックスはほとんど変わりなく、ギアボックスが6速から8速オートマティックになったのが最も大きな変更点だ。その変更に伴って、そのソフトウェアも変更されたが、ロールス・ロイスの関係者によれば、スムーズさとシャープさを両立するのに苦労したという。

8速ギアボックスの導入により、その燃費は6.0km/lから6.8km/lに上がり、CO2排出量は385g/kmから347g/kmに下がっている。

メカニカルな部分の変化は極く僅かで、その正面にあるヘッドランプがリデザインされたぐらいだ。初期のモデルの円形で低い位置にマウントされたヘッドランプは、長方形のものとなり、明るいLEDランプが付けられた。また、ワンピースのフロント・グリルの寺院に似た正面は、4ドアのものよりも小さくなっている。

機能的にはビューカメラ・システムを備えた大きなスクリーンを持つBMW iドライブ・インフォテイメント・システムが取り付けられたことだ。

■どんな感じ?

リア・ヒンジのドアを開け、豪華なフロント・シートに乗り込む。美しくフィニッシュされたウッドが取り付けられたドアとダッシュボードが迎え入れてくれる。その5重に重ねられたファブリックのルーフを折りたたむのは、隠れたクロームのタブに触れるだけで済む。その時間は予想以上に長いが、そのルーフの質量を考えれば決して遅くはない。

ドライビング・ポジションは思いのほか高く、332,400ポンド(4,110万円)の何分の一でしかないSUVとほぼ同じような視界を持つ。

ステアリング・ホイールのボスにある”S”ボタンを押すと、シフトがクイックになるが、それを押す必要は滅多にない。V12エンジンの発する447bhpは、8速オートマティック・トランスミッションによって効果的にデリバリーされるからだ。ちなみに、”S”ボタンを押すと、V12エンジンは73.4kg-mのピーク・トルクを発生することとなる。

コーナーの侵入に際しては、快適な姿勢変化を見せる。そして、サイドウォールの歪みとロールで、ファンタムは基本的にアンダーステアを曲がっていく。従って、ドライバーはスロー・イン・ファスト・アウトという基本を守ることが重要だ。

その2.6トンの重量が乗る21インチ・ホイールは、滅多なことでは狙ったラインを外すことはないが、その巨大なホイールの質量が感じがステアリング・リムを通して伝わってくる。それは2012年の現在においては、許容出来る範囲を超えた粗雑なフィーリングだ。

幸いにもボディはそのオープン構造からくるシミーを感じることはなく、その点では優れているといえる。

■「買い」か?

とても贅沢なファンタム・ドロップヘッド・クーペだが、適度な改善が施されたにもかかわらず、その基本設計の古さを感じさせずにはいられないのは残念なところだ。いくつかの電子制御を備え、21インチ・ホイールの震えを消すことができれば、そのドライブ・フィールは良くなるはずだ。

とはいうものの、その美しく作り上げられた独特の世界感は、印象的であり、十分に満足させられるもので、魅力的なものであることは間違いない。

(リチャード・ブレムナー)

ロールス・ロイス・ファンタム・ドロップヘッド・クーペ

価格 332,400ポンド(4,110万円)
最高速度 240km/h
0-100km/h加速 5.6秒
燃費 6.8km/l
Co2排出量 347g/km
乾燥重量 2630kg
エンジン V12 6749cc
最高出力 453bhp/5350rpm
最大トルク 73.4kg-m/3500rpm
ギアボックス 8速オートマティック

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