SRTヴァイバーGTS

■どんなクルマ?

これは完全にリエンジニアされたSRTヴァイパーだ。今、その姿を見ることができるのは、幸せなことだ。というのも、ヴァイパーはTVRと同じような道を辿っていく運命にあったからだ。2008年にクライスラーが破綻した時点で、彼らは600bhpのスポーツカーにPR効果があるとは思っておらず、V10のアメリカン・アイコンは売却される運命にもあった。そこにフィアットが来てクライスラー共々救ってくれたのだ。

クライスラーが、ヴァイバーに、スタビリティ・コントロール、ナビゲーション、クルーズ・コントロール、オート・エアコン、快適なシートなどを装備するのには、驚くことに20年の時を必要とした。その結果、その最新モデルは、今までのどのヴァイパーよりも優雅で「使える」クルマに仕上がっている。

その国々によって、それまでのヴァイパーは、ダッチ・ヴァイパー、クライスラー・ヴァイパー、あるいはダッチSRT-10と呼ばれていたが、現在は、クライスラーのインハウス・ブランドである「ストリート・アンド・レーシンング・テクノロジー」の頭文字を取ってSRTヴァイパーと呼ばれている。

SRTは年間2,200台のヴァイパーを生産することが可能だ。ヨーロッパでは正式に販売されていないため、その売上がこの台数に計上されることはなかったが、2013年からは、いよいよヨーロッパ市場での販売も始められる。

■どんな感じ?

われわれのプレス試乗会は、2013年モデルの生産型に近い車輛が提供されたが、その会場はサーキットのみで、一般公道での試乗は許されなかった。が、幸運なことに、どれだけ新しいヴァイパーが変わったかを知るために、旧いヴァイパーも比較対象として用意されていた。これによって「残忍な獣」がどれぐらい進化したかを十分に理解することができるというものだ。

シャシーの進化は如実だ。サーキットでは奥行きのあるバランスのとれた足回りを披露してくれた。前モデルも非常に速かったのは事実だ。しかし、そのシャシーは洗練されているとは言いがたく、それが致命的ですらあった。

新しいヴァイパーは、まだ油圧式だがリファインされたステアリングは線形で、良い感触と正確さをもたらしてくれる。クロスレシオの6速マニュアル・ギアボックスも631bhpの8.4リッターV10のパフォーマンスを十分に発揮できるパフォーマンスを持っている。

アルミニウムのフライ・ホイールと、上手く調整されたドライブ・バイ・ワイヤー式のストッロルによるエンジン・レスポンスも素晴らしい反応を見せてくれる。また、リファインされたエグゾースト・システムによるサウンドも魅力的だ。

サイド・エグゾーストで熱くなるので、手や足をドアのサイド・シルに触れるのは危険なのは、以前のヴァイパーと変わりない。

ベース・モデルのヴァイパーは、2つのスタビリティ・コントロール・セッティングがある。更に豪華なGTSモデルは、プラスして2つのセッティングが選択可能だ。スポーツ・モードや、トラクション・コントロールをオフにするサーキット・モードが選べるというもの。この全てのセッティングは、ステアリング・ホイールにあるシンプルなスイッチで切り替えられる。

標準的なコントロールでも、十分なパフォーマンスを見せてくれる。ナチュラル・アスピレーション・エンジンでは間違いなく史上最大の83.0kg-mのトルクを、リアに履いた335サイズのピレリがしっかりと受け止めてくれるのだ。

GTSモデルは、ビルシュタインのダンパーと10%固められたスプリングが取り付けられる。そして、この足は2つのセッティングを選ぶことができる。よりソフトなロード・セッティングと、ハードなトラック・セッティングだ。

新型ヴァイパーの大きなニュースは、GTSの贅沢な特徴だ。インテリアはほとんどが本革によって造られ、更にはSRTラグナ・プレミアム・レザーがオプションとして用意される。またNVHにも大きな注意が払われ、標準で12個のハーマン・カルドン・スピーカーが、オプションでは18個のスピーカーを持つオーディオが取り付けられる。

しかし、AUTOCARの読者にとって注目なのは「SRTトラック・パック」だろう。標準のブレンボのブレーキ・キャリパーに、アップグレードされたΦ355のツーピースのスロット・ディスクが装着され、ブラックフィニッシュされたアロイ・ホイールと、ピレリPゼロ・コルサが組み合わせられる。このオプションを選択すると、ヴァイパーの車重は1521kgから26kg軽くなる。そして、その重さは、旧ヴァイパーよりも45kg軽い。

よりグリップのよいPゼロ・コルサはフロント・エンドのステアリング精度を増す。ブレーキは、まだ開発中なのか、それほどの効果は認められなかったが、今後、生産モデルが発売されるまでには改善されるだろう。

ヴァイパーは非常に速いクルマだ。パワー・ウエイト・レシオで言えば、ランボルギーニ・アヴェンタドールよりも優秀な数値をもっているのだ。しかも10分の4の価格で。そして、最高速度も331km/hをマークする。

■「買い」か?

新しいヴァイパーは、軌道を逸した感があるほど速いクルマだ。そして、アメリカ的なクルマの面白さをヨーロッパの人々に伝える面白い存在になるだろう。インテリアも、過去の10年のように深い洞窟ようなものではなく、素晴らしくアップグレードされている。特に、フェラーリへも供給しているサベルトのシートなどは最高だ。なにより重要なのは、リファインされ豪華な装備が施されたとしても、ヴァイパーがアメリカン・スポーツの真髄を失っていないことだ。

(マーク・ノードルース)

SRTヴァイバーGTS

価格 75,000ポンド(939万円)
最高速度 331km/h
0-100km/h加速 3.4秒
燃費 NA
CO2排出量 NA
乾燥重量 1521kg
エンジン V10 8390cc
最高出力 631bhp/6200rpm
最大トルク 83.0kg-m/5000rpm
ギアボックス 6速マニュアル

 
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