フィアット・パンダ4×4ツインエアー

公開 : 2012.10.18 15:33  更新 : 2017.05.29 18:52

■どんなクルマ?

そのライバルがすぐには浮かばないクルマであり、私の大好きなクルマでもあるフィアット・パンダの4WDバージョンだ。このセグメントでの4WDモデルというのは他にはなく、しかもシティカーというよりも純粋なオフロード・モデルの血統を持つモデルでもある。

パンダ4×4は、通常のパンダ・ラウンジに対して、どっしりとしたボディ・パーツと、専用の15インチ・アロイホイール、47mm上がった車高、そして700mm上げられたエア・インテイクなどが異なる装備だ。

そのボディの中身は、それはパンダというよりもランドローバーに近い組み立てがされていることが一瞥で解る。フルタイムの4WDシステムは、トルク・オン・デマンドと呼ばれ、2つのディファンレンシャルと電子制御のカップリングが組み合わせられたもの。前輪、後輪へのトルク配分は、その道の状況にあわせて分配される。また、50km/h以下では、電子制御のスタビリティ・コントールの下、電子制御のロッキング・ディファレンシャルが働かせることも可能だ。

パンダ4×4が本格的なSUVであることは、アプローチ・アングルとディパーチャー・アングルを見てもわかる。それは、ミニ・カントリーマンや日産キャシュガイよりも大きいのだ。

■どんな感じ?

パンダ4×4は、完璧で、個性豊かで、能力の高いシティカーだ。

われわれは旧いパンダ4×4が好きだった。しかし、毎日路上で使うにはあまりに洗練されていないモデルでもあった。しかし、新しいパンダ4×4は、そのすべてが一新された。

パンダ4×4の着座位置の高いシートに腰を下ろしてスタートさせる。すると、どれだけステアリングの重さが的確であるか、どれだけ6速ギアボックスがスムーズであるか、どれだけ84bhpの0.9リッター・ツインエア・エンジンが高回転まで回るか、そして6速ギアボックスのおかげでどれだけモーターウェイ・スピードで静かかがはっきりと解る。

その乗り心地は極めて良い。ソフトだが、フワ付くことはなく、大きくとられたサスペンション・トラベルが余裕をもってショックを吸収してくれる。ハンドリングも鋭敏だ。しかし、そのボディ・ロールが大きいため、積極的にコーナーを攻めようとは思わない。

エンジンは74bhpの1.3リッター・マルチジェット・ディーゼルも用意されるが、このエンジンには5速マニュアル・ミッションしかつかない。そこで、私がテストしたのは、0.9リッター・ターボと6速マニュアルと言う組み合わせだ。

パンダ4×4の一般道での好印象は、そのままオフロードでのパフォーマンスの良さにも繋がる。私は、フィアット・グループの有名なバロッコのオフロード・テストコースで試乗したが、同じコースのジープ・グランド・チェロキーと同等の能力を持っていた。

■「買い」か?

パンダ4×4は、最もユニークなシティカーで、現在考えられる最高のクルマだ。事実、2クラス上のパフォーマンスを示してくれる。オンロードでもスタンダードなパンダよりも良く、オフロードでの性能は申し分ない。それは改善されたサスペンションとドライビング・ポジションのせいもある。14,00ポンド(178万円)で、これほどまでのパフォーマンスを持つモデルは他になく、明らかにお買い得なクルマと言えるだろう。

(マーク・ティショー)

フィアット・パンダ4×4ツインエアー

価格 14,00ポンド(178万円)
最高速度 169km/h
0-100km/h加速 11.5秒
燃費 21.7km/l
CO2排出量 105g/km
乾燥重量 NA
エンジン 2気筒875ccターボ
最高出力 84bhp/5500rpm
最大トルク 14.8kg-m/1900rpm
ギアボックス 6速マニュアル

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