試乗記

2012.11.02

アウディR8 V8 Sトロニック

テスト日 : 2012年11月01日

価格 : 94,475ポンド(1,220万円)

■どんなクルマ?

アウディR8にフェイスリフトが施された。外観では新しいLEDヘッドランプ、メカニズムでは新しい7速デュアル・クラッチ・トランスミッションを得、インテリアに若干のグレードアップをなされ、そして価格がわずかばかり上昇した。エンジンやサスペンションには変更はない。

旧モデルでは、そのエグゾーストでV8がV10かを見分けることができたが、フェイスリフト後のニューR8は、すべて新しいリア・スタイルにされたため、見分けがつかなくなった。

インテリアは、マット・フィニッシュのアルミニウム・トリムが多用されるとともに、iPodコネクト、ブルートゥース、衛星ナビ、そしてナッパ・レザーのシートが新たに採用されている。そのキャビン・デザインは、保守的なドイツ人らしいものと言えよう。

■どんな感じ?

2007年にデビューしたアウディR8は、確かに目新しさはなくなったモデルかもしれない。しかし5年を経た今でもそのパフォーマンスは色褪せていない。確かに、新しいポルシェ911は今現在あなたが対価を支払うにはスマートなクルマかもしれない。また、フェラーリ458イタリアはよりベストなドライバーズ・カーかもしれない。しかし、ポルシェ911はアルミニウムのスペースフレームを持つ2シーターではないし、マラネロ製のスポーツカーは20年前のモデルをよりリファインしたモデルともいうことができる。また、フェラーリは、もはや100,000ポンド(1,300万円)で買えるクルマでもない。

R8は、現在の市場ではユニークな存在かもしれない。多くのスポーツカーは、モノコック・シャシーを持ち、フロントにエンジンを積み、グランド・ツーリングカーとしてのハンドリングを目指してしまっているようだ。もし、R8と同じようなスポーツカーを得ようとするならば、それなりの対価をスーパーカーに支払わなければならない。

スペースフレーム、8000rpmまで回る美しくスムーズでパワフルなV8エンジンを駆使して、コーナーを駆け抜ければR8の魅力はすぐに分かる。R8は、誰でもが扱いやすいアンダーステアを見せながら、そして本当に易しくコーナーを立ち上がる。これはミドシップ・エンジンのモデルとしては異例とも言える事実なのだ。しかも、より激しくコーナーを攻めても充分に愉しいサーキット・サラブレッドでもあるのだ。

そのクアトロ・ドライブトレーンのハンドリングは、4WDのアウディA3のものとは異なる。というのも、R8は基本的にリア・ホイール・ドライブ重視で、通常の場合そのパワーの15%がフロントに配分されるに過ぎない。最大でも30%という値だ。しかし、ドリフトを好むリア・ホイール・ドライブとも異なるハンドリングで、そのグリッピング・パワーは強力だ。

2012年のフェイスリフトで最も変わったのが6速オートメイテド・マニュアル・ギアボックスから変わった7速のSトロニックだ。この2ペダルのトランスミッションは、非常にスムーズで、でしゃばることもない。もちろん、パダルシフトを使えば、完全マニュアル・モードでフルスロットルを与えることもできるものだ。

■「買い」か?

もし100,000ポンド(1,300万円)以下のスポーツカーを購入しようとするならば、R8 V8は最適なクルマかもしれない。2シーターではあるが、8.1km/lの燃費も捨てがたい。確かにポルシェ911は、もう少し日常で使いやすいかもしれないが、ダイナミックさという面ではR8の敵ではない。

実際、R8は、パーフェクトなジュニア・スーパーカーだ。クルマとしてもその仕上がりは素晴らしいし、多少の短所も魅力として見られるクルマでもある。ひとつだけ弱点があるとすれば、それは神秘的な何かを持ちあわせていないということかもしれない。

(マット・ソーンダース)

アウディR8 V8 Sトロニック

価格 94,475ポンド(1,220万円)
最高速度 300km/h
0-100km/h加速 4.3秒
燃費 8.1km/l
CO2排出量 289g/km
乾燥重量 1585kg
エンジン V型8気筒4163cc
最高出力 424bhp/7900rpm
最大トルク 43.8kg-m/4500rpm-6000rpm
ギアボックス 7速デュアルクラッチ

 
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