SRTバイパーGTS

■どんなクルマ?

オリジナルのダッジ・パイパーは、本当にラフなクルマだった。20年前に登場したこのモデルは、本当に洗練という言葉とは無縁の存在であった。オリジナルのロードスターのルーフはかろうじて機能するものでしかなく、ロングランの後、ドライバーはサイドのエグゾーストの熱で火傷することもしばしばあった。ABS、電子制御のスタビリティ・コントロール、エアバッグ? それは何のことだろうか。重要なのは、そのエンジン・フードの下に収められているV10エンジンでしかなかったのだ。

倒産寸前のクライスラーは、バイパー・ブランドを売却しようと考えていたようだが、新しいクライスラーのオーナーとなったフィアットは、それを阻止した。しかし、それと同時に、そのブランドを冬眠させることとしたのだった。

しかし、クライスラーの新しいブランド、SRTによってバイパーが復活した。この新しいバイパーは、昨年春のニューヨーク・モーターショーでプレビューされ、様々な反応が示された。

プラットフォームはフィアット/アルファ・ロメオに由来し、まったく新しいデザインが採用された。エンジンはフェラーリという噂すらあった。

しかし、実際にステージに上ったのは、デトロイト製のプラットフォームと、アップグレードされたV10エンジンを搭載するモデルであった。

■どんな感じ?

最新の電子制御によるシャシーやブレーキを持ち、ハイファイのオーディオを備えることに、一部の純粋主義者は文句があるかもしれない。しかし、新しいこのバイパー・クーペは、過去のモデルが行ってきたことはすべてできるのだ。

確かに新しいルックスではあるが、その印象は旧いバイパーから大きく受け継がれている。しかし、ニューヨークでの発表の後、変更された部分も少なくない。特に、ワイドになったフロント・フェイシア、フロント・ホイールアーチ前のエアカーテンなどはタイヤ周りのドラッグを減らすのに役だっているのだ。

GTSパッケージをチョイスしたなら、サーキット志向のバイパー・パッケージとはまったく別の、ハンサムで洗練されたインテリアが出迎えてくれる。本革を惜しまず使用したダッシュと、8.4インチのマルチメディア・スクリーン、そして小さなデータ・ディスプレイが並ぶ。

大きな変化は、そのシャシーに付けられた押し出しのアルミニウムによる十字ブレースで、この装着によってボディ剛性は50%も上がっている。われわれはアグレッシブなスラローム・コースと、コーナリングにおいて新旧のバイパーを比較してみたが、そのすべてのおいて現代のGTSの方が、旧いレース・モデルのACRよりも速かった。

ステアリングは敏感で、スロットルとブレーキを操れば、ライン上に並べられたコーンをオーバーステアを見せながらクリアすることもできる。とはいうものの、スタビリティ・コントロールが付いているので、リア・ホイールの流れは穏やかだ。もし、本当に激しいドライビングを見せたければ、そのコントロールのスイッチをオフにすればよいだけのことだが。

乗り心地は、本当に轍だらけのひどい道を走るのでなければ、このバイパーが毎日乗ることのできるクルマに生まれ変わったことが認識できるもの。

もちろん、オリジナルよりも更に40bhp上がった640bhpの8.4リッターV10エンジンのパワーは、スポーツシートの中にドライバーを埋めてしまうだけのものがある。そして、新しい6速マニュアルは、その力を最大限に発揮するのにベストなマッチングだ。

そのパフォーマンスは、330km/hに達するトップ・スピードと、0−96km/h加速が3秒台というもの。乾燥重量で45kgものシェイプアップを果たしたバイパーは、ランボルギーニ・アヴェンタドールよりもパワー・ウエイト・レシオで勝るのだ。

■「買い」か?

75,000ポンド(993万円)という価格は、ライトウエイトなカーボンファイバー・パネルを含んだ価格である。スーパーカーはヨーロッパからしか生産されないと思っている人間に、この新しいバイパーは激しいひと噛みを与えることあろう。新しいバイパーが登場するまで長い時間を待たなければならなかったが、それだけの価値があったということができよう。

(ポールA.アイゼンシュテイン)

SRTバイパーGTS

価格 75,000ポンド(993万円)
最高速度 330km/h
0-100km/h加速 3.5秒
燃費 9.7km/l
CO2排出量 NA
乾燥重量 1497kg
エンジン V型10気筒8390cc
最高出力 640bhp/6400rpm
最大トルク 83.0kg-m/5000rpm
ギアボックス 6速マニュアル

 
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