トヨタRAV4 2.2 D-CAT 150 インヴィンシブル

公開 : 2013.02.23 13:32  更新 : 2021.01.28 18:34

■どんなクルマ?

来年、デビューしてから20周年を迎えるトヨタRAV4の、最新の第4世代のモデルだ。ヨーロッパでは数少ない成長市場である4×4市場に投入されるニュー・モデルである。

しかし、過去20年間、4×4を求めるユーザーのライフスタイルは大きく変わっている。しかし、この新しいRAV4は、7シーターという実用性のみならず、スポーツ・ダイナミクス、ファッション性、プレミアム・ブランド感、そしてその価格と、非常に価値あるモデルとなっている。また、それまでの保守的なゴツゴツとした乗り心地の4×4モデルに対して、トヨタRAV4はソフトな乗り心地を大きなセールス・ポイントとしている。

しかし、ライバルは多い。日産キャシュカイ、三菱ASXもあり、一方、高級SUV市場にはBMW X3レンジローバー・エヴォークもいる。また、ヒュンダイiX35やアウディQ5もライバルとなる。果たして、RAV4は、本当のところ、どのモデルがリアルなライバルとなるのだろうか。

■どんな感じ?

手頃な使いやすさがRAV4の大きなセールス・ポイントだった。その適切なサイズのため取り扱いも楽だった。実際、そのサイズは、最新のスーパーミニよりも小さいものであった。また、実際、ユーザーの多くが、その運転のしやすさを評価していることをトヨタは市場調査で理解しているのだ。

しかし、この新しいRAV4は、ホイールベースを100m伸ばし、全長も205mm長くした。もちろん、その結果、内部はより実用的なスペースを確保するに至ったが、サイズはミッド・サイズのSUVとなった。トヨタは、それでも10.6mの最小回転半径はクラス・トップだと主張しているが、事実として個性を失ったのは間違いない。少なくとも、エクステリア・サイズは、現代のRAV4というよりは現代のトヨタが目指しているものという風にとれる。

また、リア・スタイルが不恰好になったのも残念だ。RAV4のトレードマークを失ってしまったといって良い。リア・ドアにマウントされたスペア・ホイールのスタイルは変わっていない。また、そのリア・ドアはサイド・ヒンジで開閉するものだが、それがハッチバックよりも実用的というトヨタの主張はおそらく正しいものだろう。

ドライビング・ポジションが30mm低くされたことで、ドライバーはロール・センターにより近い位置に座ることになる。レンジローバーよりもロールを感じることはない優れたポジションだが、その分、退屈なドライビングを強いられることになる。

キャビンは、愉しく、ルーミーで、きちんとした造りがされているが、センスに欠ける。フェイクレザーのステリング・ホイールや、カーボンファイバー風のプラスティックが用いられたセンター・コンソールはいただけない。また、トヨタがエルゴノミクス・デザインとしているスイッチギアのレイアウトも問題がある。スポーツとエコを切り替えるドライブ・モード・ボタンは、ほとんど見えないところに配置されているし、旧い電子レンジを思い起こさせるデジタル・クロックも使いづらい。シンプルでプレーンなアナログ・クロックの方が、どれだけ使いやすいか。

ドライブトーレンは、2.0ℓガソリンの4WD、2.0ℓターボ・ディーゼルのFWD、そして2.2ℓターボ・ディーゼルの4WDが用意され、最後のモデルには6速のオートマティック・トランスミッションが組み合わせられる。われわれがテストしたのは、トップ・グレードにあたる148bhpの2.2ℓターボ・ディーゼル4WDだった。

太いミッドレンジでのトルクと、柔軟性のあるギアボックスによって、本当に運転するのが楽なクルマであった。0-100km/h加速の値もクラス平均。実用燃費も12.5km/ℓ以上あった。

乗り心地は、若干落ち着きがないように感じられた。また、ハンドリングもファミリー向けの4×4としてはレスポンス不足で正確さに欠けた。トヨタは万人向けのセッティングにしたかったのだろうが、若いユーザーはこれでは納得しないだろう。

ロール自体は非常によく抑えられていて、日常的な速度で運転する際には、的確で満足のいくもの。しかし、積極的にコーナリングを愉しむといったものではない。ステアリングの軽さは、初期段階のアンダーステアを隠すのに使われているようだ。また、限界付近では、長いスプリングのトラベルと、サイド・ウォールの高いタイヤのせいもあって、安定性が不足してしまうのであった。

■「買い」か?

この新しいRAV4はアスリートではない。著しく乗り心地が良いわけでもないが、その一方で、その動力性能に問題があるわけでもない。確かに、そのライバルたちよりもRAV4は、オフロード性能が優れているわけでもないが、それはそれでOKだと思う。確かに、RAV4よりも価格の安いモデルでも、オフロード・パフォーマンスに優れるSUVはある。多くの場合、地上クリアランスが大きいクルマだ。

しかし、そういったクルマを望むのであれば、それはそれで良いかもしれないが、RAV4の魅力は、そういったところにないと思う。品質、実用性、メカニカルな改良、そしてバリュー・フォア・マネーというのがRAV4の魅力なのだ。

(マット・ソーンダース)

トヨタRAV4 2.2 D-CAT 150 インヴィンシブル

価格 29,295ポンド(414万円)
最高速度 185km/h
0-100km/h加速 10.0秒
燃費 14.9km/ℓ
CO2排出量 176g/km
乾燥重量 1660kg
エンジン 直列4気筒2231ccターボ・ディーゼル
最高出力 148bhp/3600rpm
最大トルク 34.7kg-m/2000rpm-2800rpm
ギアボックス 6速オートマティック

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