アウディRS6

■どんなクルマ?

新しいアウディRS6は、より軽く、より速く、より大きく、よりクリーンで、より経済的に生まれ変わった。しかし、前モデルよりもパワフルではない。前モデルが572bhpの5.0ℓV10を積んでいたのに対し、新しいRS6は553bhpの4.0ℓツインターボV8を搭載しているのだ。

しかし、現実的にはパワーは若干低くなったものの、その速さは増している。Vバンクに収められたツイン・スクロール・ターボのお陰で、そのトルクは66.2kg-mから71.3kg-mにあがり、ボディ重量も90kg軽くなったことで、RS6は0-100km/hを並のスーパーカーよりも速い3.9秒で駆け抜ける。それは、間違いなく世界最速のエステート・モデルなのである。

トップ・スピードは、通常は250km/hでリミッターで制限されるが、2レベルのオプションのダイナミック・パックにより、280km/h、304km/hまで引き上げることが可能だ。

と同時に、高い経済性も持ち合わせているのが新しいRS6の特徴。シリンダー・ストップ機構を持ち、低負荷時には4気筒での走行が可能で、その燃費は10.2km/ℓをマークする。また、CO2排出量も31%も低減された229g/kmとなる。

固められたスプリングを持つサスペンションは新しいRS6ではオプションに追いやられ、エア・サスペンションがスタンダートとなったのも特徴だ。セルフロッキング・センター・デフは、通常はフロント40、リア60のトルク配分で、必要に応じてリアへの配分を85まで増やすことができる。また、リア・アクスルには左右のホイールの動きを制御するスポーツ・デフも装着されている。

ちなみにその価格は76,985ポンド(1,177万円)と、ちょっとしたスーパーカー並のプライスタグが付けられている。

■どんな感じ?

ほとんどのメーカーは、アウディほどハイ・パフォーマンス・モデルの差別化が計られていないようだ。しかし、このRS6はクアトロGmBHの手によって、地面に伏せたような獰猛なスタイリングが与えられている。ドラマティックなエア・インテークや、ハニカムのグリルなどによって、ソフトなA6のイメージは一掃されている。鼻先に4リングが付けられていることには変わりないが、四肢は思い切り広くされている。また、漫画のように大きい21インチ・ホイールも特徴的だ。

エクステリアが若々しさを感じるファンタジー溢れる造りなのに対し、インテリアは非常にビジネスライクだ。それは、高額所得のミドル・エイジ層が好むような、ピラノ・ブラックとアルミニウムのトリムを持つ。その装備については、よく設えられたA6と言えよう。

大きなエグゾースト・サウンドを立てるわけでもなく、そのV8の静かな唸り声は洗練されたものだ。しかし、一旦フラットアウトを与えれば、精巧なガソリン・エンジンというよりも、驚愕すべき暴力的なウインチといった感じの牽引力を発揮する。ストレートでは、RS4に搭載されるナチュラル・アスピレーションの高回転型V8を有機的な加速とすれば、このRS6のV8ツインターボはデジタル的な素晴らしい加速を見せる。

確かに、そのフィーリングはスーパーカーのように官能的なものではないかもしれないが、240km/hを越えたあたりの安定感は素晴らしい。神経質なものでもなく、不安をまったく感じさせないものだ。

一旦高速道をを外れて、一般的なスピードとなると、その能力は鈍化する。エレクトロ・メカニカルのステアリングには、もう少しダイレクトさと軽さが欲しいと感じるのだ。

しかし、基本的にドライバーはそのシャシーに対して絶対的な信頼をおいて良いクルマだ。確かに、人によってはフィードバックの少なさを感じる人もいるかもしれないが、それでもRS6は充分に早いクロスカントリー・モデルであるのだ。また、そのハンドリングもRS4の延長線上にある。

残念ながら今回試乗したモデルは、エア・サスペンション・モデルではなく、3ウェイに調節が可能なスティール・スプリング仕様であった。その最も柔らかいセッティングであれば、少なくともドイツの道では快適だが、もしこのまま英国に持ってくるとなると、更なるソフトさが求められよう。

■「買い」か?

確かにそのプライスタグも高いが、素晴らしいクルマであり、そのパフォーマンスについても疑う余地はない。もし、制限を解除されたアウトバーンを毎日通るのであれば、疑いもなく買いとなる1台だ。また、通勤にAロードを50km以上費やすのであれば、リストのトップに並べられるクルマでもある。

また、このアウディRS6は、このクルマで何ができるのかというよりも、何をしたいかが求められているクルマということもできよう。

(ニック・カケット)

アウディRS6

価格 76,985ポンド(1,177万円)
最高速度 280km/h
0-100km/h加速 3.9秒
燃費 10.2km/ℓ
CO2排出量 229g/km
乾燥重量 1935kg
エンジン V型8気筒3993ccツインターボ
最高出力 553bhp/5700-6600rpm
最大トルク 71.3kg-m/1750-5500rpm
ギアボックス 8速オートマティック

 
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