トヨタ・ハリヤー

公開 : 2014.01.26 18:38  更新 : 2017.05.29 18:48

インテリアはさらに賑々しい感じで、先代でも“高級クロスオーバーSUV”らしく、ウッドリムのステアリングなどをちりばめた意匠が目立っていたが、今回はダッシュパネルからサイドのドアトリムまでがステッチの入ったレザー素材で覆われていて、格段にグレードアップした感じがある。特に最上級のプレミアム“アドバンスド・パッケージ”に用意されたディープボルドーと呼ばれるワインレッド色の本革ダッシュと黒いシートという昼間よりも夜間に映える組み合わせは、外観とは少し不釣合いなほどのVIP感(笑)が漂っている。

最初にハイブリッドモデルを試乗したのだが、ドライビング感覚はハリアー伝統の、というべき普通車感に包まれているのだが、フル加速した際のパワー感は相当なものだ。といっても乗り心地の良さを狙った足まわりの功罪で、加速減速コーナリングすべてで上屋が振られてしまうこともパワー感に加担している。前後モーターの制御でピッチングを制御しているというが、フラットな感じでは全然ない。つまりワインディングをハイペースで飛ばす、というより、パワートレインの器用さによって高速道路の巡航や都市部の渋滞まで幅広くストレスフリーな走りを提供する、という性格である。

一方ガソリンの2駆モデルは軽快なイメージで走ってくれるのだが、ハイブリッドを試乗した後だと、インテリアの見た目の高級感と、走りの質感の軽さにギャップを感じてしまう。しかもJC08モード燃費で比べると、ガソリン2駆モデルが16.0km/ℓに対しハイブリッドは21.4km/ℓも走るというのである。新型ハリアーは2駆、4駆、ハイブリッドともにグランド、エレガンス、プレミアムそして最上級のプレミアム“アドバンスド・パッケージ”という4グレードが用意されているのだが、同じグレードで比べた場合、2駆とハイブリッドの差が90万円弱なので、走りの質感とランニングコスト双方においてハイブリッドがお得に見えてくる。

自動車のみならず、今の日本で第一線にいる商品の多くが“高級”ではなく“高級感が漂うもの”、になっているように思う。ファッションの世界で言えばそれは、少し値が張るがファストファッションの域を出ないものたち。ハリアーのようなクルマは、機能や走りが先行してロジカルに構築されるのではなく、マーケティング優先で練られた商品なので、商業的な成功を収めればそれでいいのかもしれない。だがファストファッションがそうであるように、少しトガッたデザインで売ってしまうと飽きがくるのも早い。それがガソリン2駆のモデルならまだしも、ハイブリッドモーターを前後に装備し、緻密に4輪の駆動をコントロールする超ハイテクの中身を持つハイブリッドの場合でも、商品ライフに長い時間を見込んでいないように見えてしまうのは残念だし、結果としてエコでもないと思う。

(文・吉田拓生  写真・花村英典)

トヨタ・ハリアー2WDプレミアム&E-Fourグランド

価格 360.0万円 361.0万円
0-100km/h na na
最高速度 na na
燃費 16.0km/ℓ 21.8km/ℓ
CO₂排出量 145g/km 106g/km
車両重量 1610kg 1750kg
エンジン形式 直4DOHC, 1986cc 直4DOHC, 2493cc
エンジン配置 フロント横置き フロント横置き
駆動方式 前輪駆動 4輪駆動
エンジン最高出力 151ps/6100rpm 152ps/5700rpm
エンジン最大トルク 19.7kg-m/3800rpm 21.0kg-m/4400-4800rpm
圧縮比 10.5:1 12.5:1
変速機 CVT(Super CVT-i) 電気式無段
モーター出力/トルク 143+68ps/27.5+14.2gm
システム出力/トルク 197ps/―
馬力荷重比 93.8ps/t 109ps/t
全長 4720mm 4720mm
全幅 1835mm 1835mm
全高 1690mm 1690mm
ホイールベース 2660mm 2660mm
燃料タンク容量 60ℓ 56ℓ
荷室容量 456-992ℓ 456-992ℓ
サスペンション(前) マクファーソン・ストラット マクファーソン・ストラット
サスペンション(後) ダブルウイッシュボーン ダブルウイッシュボーン
ブレーキ(前) Vディスク Vディスク
ブレーキ(後) ディスク ディスク
タイヤ 235/55R18 225/65R17

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