海外試乗

2014.02.19

ホンダ・ジェイドVTi

テスト日 : 2014年2月20日

価格 : 183,800元(309万円)

■どんなクルマ?

2013年9月より、ホンダの中国合弁会社である東風ホンダ(東風本田汽車有限公司)が発売しているピープルムーバー。2012年の北京モーターショーで “Concept S” として発表されたコンセプトカーが発端となっており、2013年の北京モーターショーにて “ジェイド(JADE)” という車名とともに生産モデルが披露された。

かつて日本市場で発売されていた250ccのオートバイにも用いられた車名を持つジェイドは、2列シート5人乗り/3列シート6人乗りという2種類のシートバリエーションを持つスタイリッシュミニバン。ボディは全長4660×全幅1775×全高1500mmという3ナンバー・サイズで、エンジンはR18Z6型の1.8ℓ4気筒エンジンを搭載する。

車名のジェイドとは “翡翠” を意味し、深緑色が美しい半透明な宝石のひとつ。とくに中国では古来から人気が高く、様々な置物や装飾品に使用されてきた。その翡翠が持つ美しさと頑丈さをイメージし、日常生活での使用から休日のドライブなど、さまざまなニーズを満たすモデルに仕上げられている。

そんなジェイドを、ホンダが自動車雑誌やジャーナリスト向けに開催された “ホンダミーティング” にて走らせる機会があったので、ここで紹介しよう。中国国内でのみ販売されているモデルとはいえ、日本のユーザーには気になる人も多いはず。なぜならこのジェイドこそ、次期ストリームのベースとなるモデルだからだ。

■どんな感じ?

試乗したのはVTiと呼ばれるモデル。ジェイドのラインナップは非常にシンプルで、トランスミッションにCVTが組み合わされる上位グレードのVTiと、5速ATのEXiという2モデル。それぞれに2列シート5人乗りと、3列シート6人乗り仕様が存在するため計4モデル展開となる。エンジンは前述のとおり1.8ℓ4気筒で、駆動方式はFFのみだ。

運転席のドアを開ける前に、ボディの周囲をぐるっと一周まわってみる。全幅こそ広いものの、全長および全高ともに現行ストリームに比べてひとまわり小さい。しかし、そんな数値上の違いを感じさせないほど、伸びやかでスポーティなデザインは魅力的だ。ストリームもミニバンというよりステーションワゴンという趣きが強かったけれど、その傾向はいっそう強まった。シビック・ツアラーと言われても納得できそうだ。

明るいベージュカラーをふんだんに使用したインテリアは明るく、頭上には大型のサンルーフも備わっていた。シートはスムーズな触り心地が特徴のソフトレザー。なお内装色はベージュのほかブラックが用意されており、ベージュ内装の場合はホワイトアッシュ(風)、ブラック内装にはメープル(風)のウッド調パネルが組み合わされる。

ドライバーの目の前に広がるインパネは、鳥が羽根を拡げた姿を連想させるワイドなデザイン。基本的には、FD型シビックなどでもおなじみの二段式インパネなのだが、その下段部分が全面ウッドパネルになっている、といえばわかりやすいか。速度計や回転計などはすべてダッシュ上にデジタル表示される。

エンジンはプッシュスタート式で、ステアリング・コラム右下に用意された赤いスイッチを押すことで始動する。今やホンダ車におなじみとなった緑のECONボタンは、その反対の左側だ。インパネ全体は左右を対称としたデザインながら、ナビや車両情報を表示する大型のタッチパネル液晶やエアコン操作部などはやや助手席側にオフセットされ、ドライバーの膝周りは余裕がある。ドア内側のアームレストもサイズが大きく、運転席まわりの空間はひとクラス上の車格を感じさせる。

CVTのセレクターレバーをDレンジに入れ、スロットルを開ける。ジェイドに搭載されるR18Z6型ユニットは、現行ストリームに搭載されているR18A型とほぼ同じ。最高出力104kW(140ps)/6500rpm、最大トルク174Nm(17.7kg-m)/4300rpmという数値は、スペック上はとりたてて目立つ性能ではないけれど、これまで様々な車種に搭載されてきたエンジンだけに、パワーデリバリーはごく自然で好感の持てるもの。とはいえ回転上昇はやや硬質に感じるし、燃費性能の面においてもすでに旧世代化している印象は否めない。

おそらく日本市場への発売に際しては、このドライブトレインは一新されることになりそう。”アースドリーム・テクノロジー” としてすでに発表されている、おそらく1.5ℓ4気筒ターボが搭載されて登場することになるだろうが、3列目シートの収納スペースを利用して1.5ℓ直噴DOHC × ハイブリッドという選択肢もあるかもしれない。

■「買い」か?

現在、ホンダの3列シート車はコンパクト・クラスのフリード、ストリーム、そしてオデッセイの3モデルが用意されている。大型ミニバンのエリシオンが消滅し、現行オデッセイがそのカテゴリーの顧客ニーズにも応えるべく大型化したために、”立体駐車場に停められるミニバン” としてはホンダ唯一の存在となる、次期型ストリームの存在意義は大きい。

ボディ・サイズからいっても、3列シート車とはいえ最後列は正直なところ大人が快適に移動するのはやや苦しい。いっぽう3列シート車の2列目は、車体中央にむかって斜めにスライドするロング・シートレールを採用し、リムジン的な車内空間を楽しむこともできるなど、ホンダらしい新たな “遊び” も盛り込まれている。

ジェイドをベースとした新型ストリームは2014年秋にも日本国内で発売されるといわれるが、車体まわりの充実ぶりは現行モデルから大きく飛躍を遂げることは間違いない。あとは新たな時代にふさわしい、どんなパワートレインが組み合わされるかに注目だ。本命は1.5ℓ4気筒ターボだが、もし1.0ℓ3気筒ターボ × DCTあるいは多段ATが組み合わされたら……。日本のミニバン史上における、エポックメイキングな1台になることは間違いないだろう。

(佐橋健太郎)

ホンダ・ジェイド VTi CVT (6人乗り)

価格 183,800元(309万円)
最高速度 187km/h
燃費 14.7km/ℓ
乾燥重量 1508kg
エンジン 直列4気筒1.8ℓ
最高出力 140bhp/6500rpm
最大トルク 17.7kg-m/4300rpm
ギアボックス CVT

 
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