ミツビシekスペース カスタムT(2WD)

公開 : 2014.03.26 18:44  更新 : 2019.03.12 11:04

一般的に“自動車大国”という表現がしばしば用いられるのは、広大な国土を持つアメリカだったり、モータリゼーション文化の発祥の地でもあるヨーロッパの国々に対してであることが多い。「日本はよいクルマは作るけれど、文化的な側面ではまだ……」というのは、新聞や自動車雑誌などにおいて定型文化しているような気さえする。

本当にそうなのか? 決して広くない国土に8つもの主要メーカーが成立していることは自動車大国の証であり、また日本独自の自動車文化も同時に根付いているとは言えないのだろうか。

日本独自の自動車文化として思い当たるのは、軽自動車の存在だ。軽自動車というのは日本独自の規格であり、販売されているほとんどが国内市場専用車である。世界を舞台にするグローバル企業にとっては極めて閉鎖的だろう市場に、自動車会社各社は次々と新製品を投入。軽自動車のマーケットは拡大を続け、今や全自動車におけるそれの約40%に達している。

その軽自動車マーケットにおいて、販売の主流を占めているのは全高1600mmを超えるハイトワゴン系である。その市場に占める割合は約70%だそうだ。先のように軽自動車全体の販売比率は全自動車の40%。それの70%、つまり日本の自動車販売における約28%は「背の高い軽自動車」が占めていることになる。

さらに背の高い軽自動車にも2種類あって、境界線は1700mmにある。全高1600〜1700mmはトールワゴン、全高1700mmを超えるモデルはスーパートールワゴンと呼ばれ、徐々に人気の中心は後者に移行してきた。起爆剤となったのはホンダのN-BOXの大ヒットであり、ダイハツタントスズキスペーシアといったライバル車種も登場している。三菱eKスペースが投入されるのは、そんな軽自動車の激戦区だ。

激戦区の最前線に投入されるだけあって、eKスペースの開発は力が入っている。昨年に発売された三菱eKワゴン&日産デイズと同様の手法で共同開発されたモデルであり、eKスペースにも日産デイズ・ルークスという兄弟車が存在する。とはいえ両者の違いはほとんどなく、外観上ではグリルのデザインが異なるくらい。ほとんどバッジエンジニアリングモデルといっていい。

eKスペースの魅力は、その名前のとおり圧倒的な室内空間にある。全高は1775mmと、スーパートールワゴンのライバル車であるダイハツ・タントより25mm高く、ホンダN-BOXより5mmだけ低い。前述のようにスーパートールワゴンの条件は1700mmの全高だが、それは「一般的な小学校低学年が車内で立つことができる」だけの室内高を実現するために必要となる高さがそれくらい、と言われている。eKスペースでは天地方向の空間を稼ぐだけでなく、Aピラーの立ち上がる位置を前方に出し、かつ立てて設計したことで、前後方向の室内空間も広く設計している。

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