アウディA6 2.0TDI ウルトラ

■どんなクルマ?

今回ラインナップに加わったアウディA6ウルトラはBMW 5シリーズやメルセデス・ベンツEクラスなどのライバルを視野に入れる経済性に特化したモデルだ。

経済面で優れたモデルであるだけに、購入価格は£32,515(481万円)からと比較的安価に設定され、CO2の排出量も低減された。また社用車として使用する際には月々に要するコストが安くなることも、このラグジュアリー・サルーンのアピールポイントである。

190psを発生する新開発された2ℓのディーゼル・エンジンが採用され、先代の8速CVTは改良済みの7速デュアル・クラッチへと置き換えられた点が主なアップグレードだ。

先代モデルが177psを発生し、燃費は20.0km/ℓ、CO2排出量が132g/kmであったことと比較すると、今回のエンジンとトランスミッションの組み合わせから得られる22.7km/ℓと114g/kmという値が、いかに進化を物語っているか容易に理解できるはずだ。

我々がテストしたモデルは、£34,365(509万円)のSラインであり、こちらはキセノン・ヘッドライトとLEDテール・ライト、スポーツ・サスペンション、標準モデルと比較すると大径の18インチ・ホイールが奢られる。しかしこちらのモデルでさえ社用車として使用した場合には、英国では40%の自動車税を節約できるのだ。言い替えれば、フォード・モンデオ 2.0 TDCi チタニウム Xよりも約£400(6万円)、先代のアA6 ディーゼルよりも約£550(8万円)の経費削減となる。その一方、個人で購入した場合には年間に要する£30(4千円)の道路税を支払わなければならない。

車重を1735kgに抑える事ができたのは、もはや離れ業とも言える。その上0-100km/h加速を8.2秒でこなし、最高速度は232km/hにのぼると言うのだから実力としては充分だ。

もちろんアウディは、最も安価なモデルにさえも装備において手を抜いておらず、自動点灯ヘッドライト、自動ワイパー、デュアル・ゾーン・エアコン、クルーズ・コントロール、DABラジオ、衛星・ナビゲーション・システム、ブルートゥース接続、メディア・システム用6.5インチ・ディスプレイが標準装備となる。また、自動防眩ミラーや8ピストン・フロント・キャリパー、レザー・トリム等、多岐にわたる装備も充実している。

■どんな感じ?

驚くほど好印象だ。4気筒のディーゼル・エンジンにも関わらず冷間時も相対的に静かで、エンジンが完全に暖まったあとも耳障りではない。メルセデスの2.1ℓディーゼルと比較すると、アウディの方がより洗練され、長距離走行時にもスムーズさの恩恵を多分に受けることができる。

190ps、40.4kg-mを発揮するエンジンはA6の名にふさわしい加速力を発揮し、パンチに欠ける印象はほとんど感じることはない上、Sトロニック・トランスミッションの動作も機敏でスムーズだ。ただひとつ不満を書くとすると、それは軽量テクノロジーを盛り込んだアウディ・ウルトラなるパワートレインで、速度が上昇すると機敏な動きをするが、発進時に時々バタつくことがある。

決してボディは小柄ではないが、俊敏な動きからはボディ・サイズを感じさせられることは少ない。また視界の良さと、標準装備のパーキング・センサーのおかげで駐車を苦にすることもない。ブレーキ性能も効きや調整の細やかさ双方がこれ以上なく良好であるが、低速走行を余儀なくされる道路状況ではブレーキを踏む度に僅かながらにボディを前後に揺らせた。

ステリングに関して言うと、5シリーズのそれに比べると反応が希薄で不感帯が大きいため、僅かな微調整時にも大きめにハンドルを動かしてやる必要がある。もちろん、正確性やレスポンスに欠けるわけではないから、細かなハンドル操作を面倒に思う人や目的地まで楽に移動したいと言う人にとってはピッタリの味付けだと言えよう。

乗り心地に関しては、路面の凹凸をまともに受ける味付けになっているため多くの人が落胆するかもしれない。もちろん、そのお陰とも言うべきか、高速コーナリング時のボディの安定性は高い。

仮により柔らかいスプリングが組み合わされ、ホイールが小さい標準グレードを選べばこれらの不満は解消されA6のクラスに見合った乗り心地になるはずだ。少なくとも、どちらを選んだとしても、A6ウルトラは非常に楽に、その上簡単に運転することが可能だ。

BMW 520d、メルセデス・ベンツE220 CDIは59ℓの燃料タンクを持ち1288kmの航続が可能であるが、こちらのA6の場合は73ℓものタンクを持ち、満タンにした状態から1658kmの航続が可能なのである。ビジネス用途にこの車を使用した場合はかなりのアドバンテージになる。

1600kmを超える航続可能距離が信じがたいという読者ももちろんいるはずだ。しかしながらこの数字は燃費を考慮すれば決して道理にかなわないわけではなく、少なくとも520dやE220の記録を容易に越えられるはずだ。

キャビンのデザインは標準のA6同様にデザインや素材ともに質が高く、その上4人の大人を楽に簡単に収容可能だ。しかし仮に5人目を後部座席の真ん中に座らせた場合は、センター・トンネル上に腰を下ろす事になるため頭上の余裕に苦しむことになるだろう。

時にはロード・ノイズがキャビンに入り込んでくることがあるものの、総じて先代より改善されている。さらに、標準の大容量バッテリーはドライバーを不安にさせることは無いだろう。ブルートゥース接続は容易で、衛星ナビゲーション・システムにも不満はない。ただし、本当に最良のルートかどうかは常にチェックしておく必要がありそうだ。

また、トランク容量は大きく、場所を取らないスペア・ホイールには多くの人が恩恵を受けることになるだろう。

■「買い」か?

もしあなたが、経済的で充分な装備をもつモダンな大きいサルーンカーをお探しならば、アウディA6ウルトラは「買い」だ。

インテリアには心の底から感じ取れる心地よさがあり、外観はスマートだ。また広範囲に及ぶ装備リスト、使い勝手のよさにも惹かれるはずだ。

並大抵のエグゼクティブ車両と比較しても、この車の動力源となる素晴らしいディーゼル・エンジンは所有者を満足させてくれるだろう。

もちろんこれよりも更に安価なA6だってあるが、包み隠さずに告白するとすれば後輪駆動から得られる楽しさはBMW 5シリーズに比べると希薄だ。疑いようもなく、A6を候補に上げる人たちは目先の価格よりも高品質であるか、あるいはパッケージングに隙が無いかに価値を置くはずである。

A6ウルトラは、ベストセラーのモデルの一員となるはずだし、またあなたの最有力候補に値する素性を充分にもっている。

(ルイス・キングストン)

アウディA6 2.0TDI ウルトラ

価格 £34,365(589万円)
最高速度 232km/h
0-100km/h加速 8.2秒
燃費 22.7km/ℓ
CO2排出量 114g/km
乾燥重量 1735kg
エンジン 直列4気筒1968ccターボ・ディーゼル
最高出力 190ps/3800-4200rpm
最大トルク 40.4kg-m/1750-3000rpm
ギアボックス 7速デュアル・クラッチ

 
最新試乗記

人気記事