クライスラー・イプシロン1.2Sシリーズ

■どんなクルマ?

今回テストするクライスラー・イプシロンの最上級グレードは、スタイリッシュでミニマルなフィアット500などと同じジャンルに属する。独創的なルックスに好感が持てるだけでなく、充実した標準装備は車両価格を考慮しても魅力的だ。

さらに嬉しいことに、近く大幅な価格改定を行うことによりまだまだ安価になるというではないか。今のところのSシリーズの車両価格は、16インチ・アロイ・ホイール、2本出しクローム・マフラー、BOSEステレオ、エアコン、スタート・ストップ・システム、ブルートゥース接続を含めて£12,795(190万円)となる。今回テストした車両は、上記の標準装備に加えてツートン艶消しペイントが施されていたために £13,495(200万円)のプライスタグが掲げられる。

デビューしてしばらくの月日が経った今もなお、そのルックスは新鮮ではあるが、内装はクラス・トップのライバルに対して一歩譲る。チープなプラスチック製のパネルが多用されているだけではなく、左ハンドル仕様と右ハンドル仕様の作り分けには便利なのかもしれないが中央に寄せ集められたメーターや各種スイッチ類は、操作や確認をするために毎回前方から目を離さなければならない。

それ以外の建て付けに問題はなく、特に高い位置にセットされたシフト・レバーは賞賛に値する。組み合わされるエンジンは1.2ℓの4気筒ガソリン・エンジンで69psと10.4kg-mを発生し、5速マニュアル・ギアボックスを介してタイヤへと伝達される。このエンジンが、イプシロンのシリーズでは最もパワフルな設定となる。

■どんな感じ?

良好ではあるものの、同クラスのベストとは程遠い。特にエンジンの力不足は早くも2000rpmより上で感じられる。ただし、一貫した落ち着きがあり高速道路での速度域でも、キャビンにエンジン音が入り込んでくることは殆どない。

シフト・チェンジを促すインジケーターも装備されるおかげで、常に速度に対して適切なギアを選択することができ、効率よくパワーを引き出すことが可能だ。クライスラーによれば、97km/hまで12.9秒で到達し最高速度は163km/hまで出すことが可能だ。ただ実際は、これらの数値よりもずっと遅く感じられる。

ステアリングはクイックで正確であるため、操作していて楽しい気持ちになれる。シティ・モードに切り替えると、ハンドリングは軽い設定に変化するため市街地では敏捷性に優れる。またノーマル・モードで一般道を走る際には、フィードバックがかなり希薄ではあるが重量感は絶妙だ。

さらに好印象なのは、ベッドフォードシャーのような田舎道によくある舗装の悪い道路での衝撃のいなし方である。ロールを大きめに発生することにより適度な安定感を保ちながら、極めてソフトな乗り心地を提供してくれるのだ。

フロント・シートのサポート性は文句なく、相対的に快適なドライブを実現する。ただし注意すべくはリア・シートのサイズである。こればかりは2、3人の大人で、そう長くない距離を移動するのにちょうどいいと言ったところだ。

■「買い」か?

より安価で、さらに優れるライバルが居るだけに、あまり強くはおすすめできない。クライスラーSシリーズに拘りを持ち、あまり荷物を積まずに、日常の足として使うのであれば悪くはない選択肢ではあるが、それでも筆者なら価格改定をもう少し待ってみると思う。

(ダレン・モス)

クライスラー・イプシロン1.2Sシリーズ

価格 £12,795(190万円)
最高速度 163km/h
0-100km/h加速 12.9秒
燃費 19.6km/ℓ
CO2排出量 118g/km
乾燥重量 965kg
エンジン 直列4気筒1242cc
最高出力 69ps/5500rpm
最大トルク 10.4kg-m/3000rpm
ギアボックス 5速マニュアル

 
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