アウディRS5 V6 TDI-e プロトタイプ

■どんなクルマ?

RS5 V6 TDI-eは、アウディ製の3.0ℓV6ターボ・ディーゼルに電気式過給器を組み合わせたプロトタイプの最終型である。

新しいエンジンの重量は192kgと先代よりやや軽量で、今夏に発売されるフェイスリフトされたA6やA7に採用される初予定だ。ちなみにA6の最高出力は218ps、A7は272psとなる予定だ。385psのプロトタイプ版は、初めてディーゼル・エンジンを採用する来年発表予定のRSシリーズに搭載される見込みである。

ここ最近の高出力ディーゼル・エンジンと同じく、ツイン・ターボ過給であり、小さい方のタービンは軽量で容易に回転可能することにより低速でも確実なパワー供給を行う。また大きい方のタービンは高速走行時のパワー供給に徹するのである。

通常のエンジンと違うのは、小さい方のタービンに電気式のアシストを行う点だ。そうすることによって、ほんの少ししか速度が出ていない時にもタービンを速く回転させ、余すことなくパワーを供給するのだ。

エンジンの吸気システムに電気式の送風機をつけることにより、空気を送り込む仕組みだ。

そのe-ブースターはエンジンに備わるインタークーラーの片側と、もう片側の吸気システムとに接続され、スタート・アップ時から3000rpmまでの間で羽根車に空気を送り込む。一方高回転時はe-ブースターは迂回されることになる。

さらに、コーナーが多い道でもこの機能は力を発揮するのである。典型的なディーゼル・エンジンの場合、コーナーに差し掛かる際にブレーキを踏むことによりエンジンの回転が下がる。つまり、パワーを完全に失うのである。そこで再びターボの出力を得るまでのラグが生じるのだ。

しかしe-ブースターを用いることにより、コーナーの差し掛かりでブレーキングする際に、既にターボ・チャージャーが加給の準備を始めるのだ。その結果、即座に最大トルクを発生させ迅速にコーナー出口から立ち上がるのだ。

アウディのエンジニアは、ターボ・チャージャーを電気モーターで直接動作させる実験をしてしていたのだが、皮肉なことに余分な慣性力が生じターボ・チャージャーのレスポンスが遅れることから続投を断念したどそうだ。

ちなみに車体そのものは通例通り12ボルトの電気システムを使用するが、e-ブースターは48ボルトのシステムにて供給を受ける。

■どんな感じ?

ご想像通り、76.5kg-mのトルクを1250rpmで発生するこのクルマは並外れて速い。

テストしたのは、ミュンヘンの近くに位置する、アウディが所有するショート・サーキットだ。たくさんのきつめのコーナーが用意されているため、e-ブースターの能力を試すのにはまさに打ってつけのコースなのである。

まずはアウディ最速のロード・カーであるRS6のペースカーに追従して、RS5プロトタイプがどれほどのパフォーマンスを発揮するのかを試してみる。

0km/h加速からの数秒間、RS6と互角の加速をみせる。疑いの余地なく、このエンジンの立ち上がりは超一流だ。更にその後も絶え間なく、そして留まる勢いを微塵も感じさせずにトルクが流れ込んでくる。

スポーツ・モードにスイッチした際は、最大トルクが2000rpm、最高出力が4200rpmと発生回転域に差があるためにタコメーターが振り切れることはない。

またクランクシャフト、コンロッド、ピストンは通常のディーゼル・エンジンに用いられるものに比べて合計で20kgもの軽量化が図られ、ボディの操作性の向上に寄与する。

先述したようにコーナーを抜ける際には即座にパワーを発生する。6ラップを走った結果、エンジンに力不足を感じることは一切ない。またトルク・ベクタリングにより後輪へのトルク配分も絶妙だ。

純粋主義者に言わせてみれば ”人工的” だということになるかもしれないが、アンダーステアの傾向は皆無だ。また速度によりステアリングの重さが変わることもないため、高速走行する時に操作しやすい。

■「買い」か?

実際にまだ買うことは出来ない。アウディのエンジニアは発売時期などに関しては固く口を噤んでいたが、私自身は来年中にはデビューするのではないかと考えている。

またe-ブーストとの組み合わせによりエンジンの回転は極めて自然になり、いかにもディーゼル・エンジンらしいフィールはほぼ完全に取り除かれているため、RSシリーズに採用される可能性も充分にある。

重要なのは、ガソリン代に目くじらを立てないRSシリーズの顧客もディーゼル・エンジンを搭載したモデルに興味を示すかどうかだ。それに対しては長距離や高速走行などあらゆるシチュエーションでメリットがあるだけに私がインタビューしたアウディのエンジニアは確固たる自信があるようだった。

またアウディはディーゼル・エンジンを用いたレースカーでもル・マン24時間レースで優勝を飾っている。つまりはR8に搭載しても不足なく仕事をするエンジンを手にしたも同然だと言っても良いだろう。

(ヒルトン・ホロウェイ)

アウディRS5 V6 TDI-e プロトタイプ

価格 NA
最高速度 280km/h
0-100km/h加速 4秒以下
燃費 NA
CO2排出量 NA
乾燥重量 NA
エンジン V型6気筒2967ccツインターボ・ティーゼル
最高出力 385ps/4200rpm
最大トルク 76.5kg-m/1250-2500rpm
ギアボックス 8速オートマティック

 
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