アウディA6 TDI コンセプト

■どんなクルマ?

20年前のサーキットで、一体何人の人がディーゼル車がガソリンよりも優位に立つことを想像しただろうか。

しかし現在、そんな夢物語ともいえる出来事が、現実のものとなり得るすぐそこまで来ているのだ。

その立役者となるのが、先日に試乗記事にて紹介した ’ディーゼルのRS’ ことRS5 TDI コンセプト。そして今回テストを行うA6コンセプトだ。

パワフルな兄弟車と同様に、ターボ・ラグを無くすことを目的とした、電子制御の圧縮技術を取り入れたというのが、A6 TDIクワトロ・コンセプトの特記事項だ。7kWと48ボルトの電気モーターで駆動する、新たに追加されたコンプレッサーが、小さなスーパーチャージャーの役割を担うというのが、このシステムのダイジェストである。

元来ディーゼル・エンジンは、ガソリン・エンジンと比べると際立ってしまうターボ・ラグに悩まされてきた。ディーゼル・エンジンの高効率ゆえの欠点と言えるだろう。

新システムの場合、特に低回転時に、タービンを回すエネルギーを少なく済ませることが出来るのだ。

A6 TDIコンセプトには通常のA6に用いられる3.0ℓ TDIシングル・ターボ・エンジンが組み合わされる。おおきく違うのは、そのエンジンに付随するインタークーラーの下流に、従来のターボ・システムと直列に電子制御のコンプレッサーが取り付けられている点だ。

低速回転時にこのコンプレッサーは作動を始め、最も高速の場合、その回転数は250ミリ秒に達するという。そうして、ターボ・ラグを引き起こすトルク差を埋めると言うわけだ。

■どんな感じ?

短時間であったが、A6 TDIコンセプトと、558psを発揮するツインターボ・エンジンを載せたRS6を交互に乗り換えるチャンスに恵まれた。

RS6と同時にスタートしてみる。最初の数百メートルは、即座に流れ込む溢れんばかりのトルクのおかげで、RS6と同じペースでの加速を見せてくれた。いきなりの驚き、である。3.0ℓ TDIのいかに力強いことか。

現段階では8速のトルク・コンバーターATが組み合わされるのだが、今後は最新の7速デュアル・クラッチATに変更されるそうだ。その結果、入力に対するレスポンスもより一層向上するという。

今のところのシングル・ターボTDIエンジンの最高出力は327ps、最大トルクは1500rpmから3500rpmの間で66.2kg-mを発揮するセッティングとなっている。しかしながら1500rpm以下でも、実に弾けるような、RSモデル顔負けの即座のトルク伝達が可能だ。やがてターボが全開で仕事をする頃には、コンプレッサーは静かに仕事をやめる。

低い回転域では豊富なトルクに身を任せ、さらにその上の回転域では淀みなく回るエンジンを楽しむ。そういった2つの美味しさを併せ持ったエンジンだといえるだろう。

今回のテスト・コースのように、コーナの連続するシチュエーションでも、このエンジンがいかに優れるかということを身を持って感じることができた。コーナーの脱出時はとにかくレスポンス良く、また次のコーナーまでは、とても力強く猛進していくのだ。

通常のA6では60km/hから120km/hまでに6速時で13.7秒を要すのに対して、TDIコンセプトの場合はたったの8.3秒しか必要ないという数値が、その素晴らしさを如実に表している。

音や、感覚の観点から見ても既に十分に洗練されている。ガソリン・エンジンと同様のリニアな加速を感じさせてくれると言っても過言ではないだろう。

■「買い」か?

まだ公式には製品化される目処が立っていないのだが、ディーゼル車のオーナーはより高い性能を望んでいるのは、誰もが認める事実だ。

2016年にデビュー予定のSQ7にはこのエンジンの採用が検討されており、その際には12ボルトの既存システムと並行して48ボルトの電気アーキテクチャーを用いるそうだ。

コストや製造工程の複雑さをなど、まだまだ課題は残されてはいるが、当のアウディは完全にやる気のようだ。

(ジェシー・クロッセ)

アウディA6 TDI コンセプト

価格 £79,500(1,380万円):予想
最高速度 NA
0-100km/h加速 NA
燃費 NA
CO2排出量 NA
乾燥重量 1720kg
エンジン V型6気筒2967ccターボ・ディーゼル + 電気式ブースト
最高出力 326ps/
最大トルク 66.2kg-m/1500-3500rpm
ギアボックス 8速 ティプトロニック

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