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アストン・マーティン・ラピードS

■どんなクルマ?

見た目だけでも、このクルマを選ぶ価値は充分にある。しかしながらそんな流麗なクルマを、AUTOCAR的視点で批評すると言うのも悪くはなかろう。

とは言っても、今回アップデートを受けたラピードS、もっとも耳目を集めるのは内外装に新色が追加された点だとおもう。しかし私や熱心な読者諸兄にとって本当に大事なのは、そのボディの内側がどうなっているのか、だということは今さら言うまでもない。

オートマチック・トランスミッションが従来の6速ATからZF製の8速ATに置き換えられたことが、もっとも大きな変更点だと言える。このトランスミッションは最新のヴァンキッシュに用いられるものと同じもので、今後はDB9にも取り入れる予定だそうだ。

おなじみのアストン・マーティン謹製の6速ATは、徐々に退役となっていく方針のようだ。

ラピードの持つ優美な女性的なラインとは対照的に、新しいギアボックスはすぱすぱと手際よく仕事をこなす。その結果0-100km/h加速に要するタイムは削減され、最高速度も先代の20km/h増しの326km/hまで出せるようになった。

性能を受け止めるべく、ブレーキにも手が加えられ、新デザインのアロイ・ホイールの向こう側には実に400mmの大径ブレーキが奢られた。

トランスミッションのおかげで出力やトルクに対する許容範囲が拡大したことを理由に、ボッシュ社によりエンジンにも手が加えられている。

サスペンションもこのモデルのために新設計が施され、それに従うかたちでブッシュも強化された。

見た目は全く変わらぬ、このラピードS。いったいぜんたい、どのようなパフォーマンスを見せてくれるのだろうか。早速見ていくことにしよう。

■どんな感じ?

喩えるならば、先代が鎖や錘で雁字搦めにされていた感じであるのに対して、今回のモデルは自由に飛び回る鳥のような感じだ。それほどに、走りがよい。

トルクや出力がどれほど成長したかなど、そんな話は他のメーカーにまかせておけば良い。単なるマーケティング上の話でしかないからだ。

何より大事なのは、乗ってみてどう感じるかである。そしてこのラピードS。われわれの期待に見事に答えてくれる出来栄えだったのである。

アクセルを蹴り込めば、まずレスポンスの良さに驚かされる。数あるトランスミッションの中で、最高レベルであるDSGに次ぐ素早い変速を行い、一体いままでのギアボックスは何だったのかと感じるほどである。

それに付随するかたちで、磨きがかけられたシャシーのセッティングも実に素晴らしい。明らかに先代に比べて緊張感があり、コントロールしやすくなっているのだ。

もちろん車重は2トンに及ぼうとしているし、立派な体躯の持ち主であるゆえに、スポーツカーのように敏捷だとは言い難いけれど、それでも先代にくらべると、落ち着きある振る舞いを披露してくれた。

■「買い」か?

長いホイールベースを持った4枚ドアのアストン・マーティンだけに、心というよりも頭で考えて購入する向きが多いのは当然のことだ。

しかしながら、このクルマを試乗すれば、衝動的にこのクルマを欲する者は出てきたとしてもおかしくはない。

それほどに新しいギアボックスは、乗る者の心を掻き立て、欠落していたラピードのエッジを明確なものにしているのである。シャシーの洗練によって、運転する楽しみをさらに一つ上のレベルへと持ち上げたことも特筆すべきポイントだ。

すこしばかりサスペンションがスポーティになりすぎた感じがしなくはないが、それでもこれほど進化したことを考えれば、お金を払う価値が間違いなくある。

(アンドリュー・フランケル)

アストン・マーティン・ラピードS

価格 £147,950(2,560万円)
最高速度 326km/h
0-100km/h加速 4.2秒
燃費 7.8km/ℓ
CO2排出量 300g/km
乾燥重量 1990kg
エンジン V型12気筒5935cc
最高出力 560ps/6650rpm
最大トルク 64.3kg-m/5500rpm
ギアボックス 8速オートマティック

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