ルノー・トゥインゴ TCe90 ダイナミック

公開 : 2014.08.30 23:50  更新 : 2017.05.29 19:22

■どんな感じ?

実際に乗ってみて、一般的に想像されるようなリア駆動車特有の乗り味はほとんどない。ルノー独自の方程式を用いることによって、まさに前輪駆動車のような仕上がりになっているのである。

重量配分はフロントが45%、リアが55%になっているけれどリア・ヘビーな印象は皆無。ガスペダルを強めに踏んだとしてもいったいどこにエンジンが載せられているのか推測することは難しいほど遮音性も立派なもの。

ドライビング・ポジションはライバル勢に比べて高く直立しているものの、それといって違和感を覚えることはない。シンプルなダッシュボードも直立しており、ドア・パネルもなるべくキャビンを侵食しないようにデザインされているため見た目以上の広さを体感できる。デザインも視覚的に生き生きとした印象を与えているようだ。

110km/h前後で高速道路を走行したとしてもキャビンがはかなり静かで、同AセグメントのフォルクスワーゲンUp!と比べても、より長い距離を速いスピードで走れそうな気持ちになる。

Aピラーやドアミラーは相応の風切り音を発生するが、普通ならフロントから聞こえてくるはずのエンジン音が無いぶんトータルではプラスマイナスゼロといったところ。

トルクがピークに達するであろう回転域(もどかしいことにタコメーターが設置されないのであくまで予想)では、ワインディングでもまずまずのペースで走らせることができる。シフト動作がやや長すぎるとも感じるが、なにせリンケージが後方まで届かないと行けないことを考慮すれば致し方ないといえば致し方ない。

カーブの続くコースもお手のもの。セットアップこそ目新しさはないが、山道でもポテンシャルは高い。NAのモデルよりもステアリングが0.5回転分クイックになっている点も影響しているのだろう。

約400kmに及んだテストのあとでも機敏な印象が変わることはなかった。しかし全体的にみれば乗り心地はとてもいいのだが、荒れた路面の上を走れば短波の振動が気になることがあった。またタイヤ自体が路面のきめの粗さを拾いやすい傾向もある。

しかしこのクルマはあくまで街乗りに焦点を当てたクルマである。その点においては、並外れた小ささを誇る旋回直径が光輝くのは言うまでもない。

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