ポルシェ918スパイダー

公開 : 2015.06.17 23:50  更新 : 2017.05.29 19:04

■特徴

“ホイールはフロントが20インチ、リアが21インチ。硬派ゆえ選択肢などない” ― ニック・カケット(ロードテスター)

918のスタイリングをじっと見てみる。確固たる目的意識をもっていることが、ボディの隅々から感じられる。独創性に欠けた機能一辺倒な部分はなく、CFRPを巧みに加工したボディ・ワークは、ポルシェ史に刻まれたエキゾチックなレーシング・マシンを思い起こさせる。

917、935、906、RSスパイダー……、輝かしき栄光が鮮明に脳裏に再生される。それだけの関係性をもつに相応しい実力ももちあわせている。

車重はマクラーレンP1よりも200kg重い。バッテリーはP1の6.8kWhの倍だ。したがって推進力は遥かに優る。トルク量は50%増しだ。

アンダーボディは、押出のモノコック・タブ。これにエンジンを載せるサブフレームが組み付けられる。サブフレームはCFRP製、ボディ・パネルもドアもCFRP製となる。バンパーはフレキシブルなポリウレタン製だ。

確かに重いものの、可能な限り軽量に仕立てられている。

サスペンションとエンジンは、ポルシェのレーシングカー、2005 RSスパイダーに範をとったもの。よって4.6ℓ V8ユニットはアルミ/チタン/スチール製、マウント位置はミドとなる。最高出力は607ps、9000rpmまで回り、ユニット単体の質量はわずか135kgだ。

サスペンションは鍛造アルミニウム製でPASM可変ダンパーは標準装備。電気機械式リア・ステア・システムは997のGT3から流用している。

搭載するモーターは286psと59.6kg-mを生みだす。リアのモーターは内燃機関に組み合わされるものと同じPDKと接続され、前輪はシングル・スピードのギアを介して回転する。

トータルの出力は886ps/8500rpm、最大トルクは130.5kg-mというのが公表される数値であり、最高速度は344km/hに及ぶ。EUが測定したCO2エミッションは70g/kmだ。

よく考えるとホンダ・エンジンを搭載した2015年のF1マシンよりもパワーがあり、CO2エミッションはホンダ・インサイトよりも少ないということになる。

価格の10%を積めば、ヴァイザッハ・パッケージを選べば軽量化も可能。ただケイマンRで痛い目にあったポルシェは、あまり色々なものが犠牲にならない程度の軽量化に留めている。

軽量化だけではなく、その他のメリットもある。セラミック製のホイール・ベアリングはスチール製のものからたったの700gしか軽量になっていないが、マグネシウム・アロイ・ホイールは各車輪が14.9kgになっている。ちなみにカーボン製シフト・パドルとレザー・ループのドア・オープナーは、それぞれが200gの軽量化に寄与しているとのこと。

合計では41kgの軽量化。

必要かどうかは、読者諸兄の判断に任せたい。

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