■インテリア

“あくまでそんなクルマではないが、フロントの視界は広く、バック・カメラまでついている” ― マット・プライヤー(ロードテストエディター)

超特権階級的なモデルであるにもかかわらず、‘スパイダー’ なる、いささかシンプルすぎる名前を与えられたこのクルマ。

実は、馴染みやすいのは、その名前だけではない。

CFRP製ルーフは拍子抜けするほど脱着が簡単。外した後も、ボンネット下のカーゴのなかにすっぽりとしまうことができる。

厚みのあるサイド・シルと、それより低い位置に座面があるシートのおかげで乗り降りには慣れが必要。

乗り込んでからも一度、膝を顎の下あたりに引き込んでから、ペダルの位置まで足を伸ばす必要があるため、最初はぎこちなくなるかもしれない。

シザーズ・ドアやガル・ウイングを採用しなかったのは、見た目よりも日常の使い勝手を優先したからだという。いかにもポルシェらしい考えだ。

いざ腰をおろし、コックピットを見回すと、その多くがカーボンファイバー製のパネルで覆われていることがわかる。

ドライバーにとって必要なコントローラーはステアリング周辺に集約され、それ以外ははセンター・コンソール上のパネルから操作することができる。

エルゴノミクスはパーフェクト。ただし慣れは必要。ギア・セレクターはトランスミッション・トンネル上ではなく、ステアリングの前方右側にひっそりとある。

同じように、他のポルシェならばセンター・トンネル上の設えられるドライブ・モード・セレクターも、ステアリング上の右下部分にセットされている。

2枚のカラー・インフォメーション・ディスプレイのうち1枚はダッシュボード上、メーターの右側に、もう1枚はセンター・コンソール上にある。

たとえばクルージング時には、上のスクリーンにナビを表示し、コンソール上のスクリーンで音楽をコントロールするなど、使い分けがしやすく助かる。

質感や操作性もトップ・レベルにある。マップに用いるグラフィックは緻密であり、スマートフォンのブルートゥース接続もとても容易にできる。

ヴァイサッハ・パックを選んでいるにも関わらず、600Wのブルメスターのサウンド・システムを装着しているのも特徴だ。

サラウンド・システムは、もちろん言うまでもなく素晴らしい音を鳴らしてくれるが、筆者に言わせてみれば、607psを叩きだすV8サウンドの方が好きだ。

高級感はP1やラ・フェラーリよりも高く、なによりも実際の機能性とルックスのバランスが取れているのが良い。不満らしい不満は見当たらない。

■パフォーマンス

“918スパイダーはP1よりも38.7kg-mトルクが強大。4速時の48-113km/hタイムは25％速い” ― ニック・カケット(ロードテスター)

918のインギア・パフォーマンスに並ぶものはない。

速さはもちろんのこと、極めて柔軟なのである。2速のまま30→60→50→80km/hなんてお手のもの。

177km/h→209km/hまでの4速時の加速タイムはP1が1.9秒、918が2.2秒。

反面、P1は225km/hに達するまでにリミッターが介入するが、918は257km/hまで出せる。

パワー・ウエイト・レシオは542ps/トン、P1は614ps/トン、ブガッティ・スーパー・スポーツは653ps/トンとなる。

エグゾースト・ノートはターボを搭載したライバルを悔しがらせるはずだし、電気モーターの音も心地がいい。

EVモードのみの0-100km/hタイムは6.6秒。